第1回 Airより軽いDVDドライブ搭載ノートを選ぶモバイルノート08年春モデル徹底検証(1/4 ページ)

» 2008年02月20日 16時50分 公開
[前橋豪,ITmedia]

そこにはMacBook AirやEee PCでは味わえない世界がある

狙いは2スピンドルで軽いモバイルノート

 この春、世間を騒がせたモバイルノートPCと言えば、アップルの「MacBook Air」とASUSの「Eee PC」に違いない。前者は、アップルが得意とする洗練されたプロダクトデザインによる厚さ19.4ミリの極薄ボディに、インテルが特別にこしらえた小型パッケージのCore 2 Duo 1.8/1.6GHzを搭載しているのが特徴だ。後者は、世界規模で製品展開を行うASUSのスケールメリットを背景にした圧倒的な低価格戦略により、国内外を問わず人気商品になっている。

 これらはいずれも海外発の製品だが、もちろんノートPCの小型化と軽量化は国内メーカーのお家芸でもある。各社とも切磋琢磨(せっさたくま)し、できるだけ性能、機能、使い勝手を犠牲にしないように、軽さ、小ささ、スタミナ、堅牢性を追求したモバイルノートPCをこれまでに多数投入してきた。店頭に並ぶ各社の最新モデルを見ても、光学ドライブ搭載の2スピンドル構成で重量1.3キロを切る完成度の高いモバイルノートPCが多数存在する。1.3キロという重量は、光学ドライブを内蔵しないMacBook Airの約1.36キロよりも軽い。世界的に見ても、日本のモバイルノートPCは過剰なまでに小型軽量で多機能だ。

 一方、こうした国内メーカーの小型軽量モバイルノートPCは、携帯性や長時間駆動などに配慮して低電圧版/超低電圧版のCPUを採用してきたため、2007年1月にWindows Vistaが登場した際にはパワー不足が指摘されていた。実際、そのころに主流だった超低電圧版Core Soloでは、Vistaを動かすのには少々荷が重く、携帯性を最優先するユーザー以外におすすめしにくかったほどだ。

 しかし、Vistaの登場から1年が過ぎ、低電圧版/超低電圧版CPUの世代もシングルコアのCore SoloからデュアルコアのCore Duoへ、そしてCore 2 Duoへと進化したことで、各社の最新モデルではVistaの快適さがかなり向上している。また、この春は富士通の「FMV-BIBLO LOOX R」やNECの新型「LaVie J」といった新顔も登場し、小型軽量モバイルノートPCを選ぶ楽しさがますます広がった。高い携帯性と利便性を両立したいユーザーにとって、こうした2スピンドル構成の小型軽量モバイルノートPCは魅力的な選択肢と言える。

 そこで本特集では、重量1.3キロを切る2スピンドル構成の小型軽量モバイルノートPCに着目し、最新の6モデルを集めて横並びで比較検証することで、各製品の違いとその実力に迫っていく。第1回は、本特集で比較を行う各モデルの概要を紹介していこう。


LaVie J LJ750/LH(NEC)

「LaVie J LJ750/LH」

 2008年2月20日に発表されたばかりの新型「LaVie J」シリーズでハイエンドに位置するのが「LJ750/LH」だ。従来のLaVie Jシリーズとは外観も中身も一新している。

 ボディは天板をボンネット構造からフラットな形状に変更し、厚さを従来の34〜38.6ミリから29.8ミリへと削減した。フラットな天板を光沢のピアノブラックで塗装することで、シャープな印象にデザインをまとめている。堅牢性は、従来モデルの面加圧150kgfから面加圧300kgfに向上した(点加圧は従来と同じ25kgf耐圧)。液晶ディスプレイも12.1インチスクエアから12.1インチワイド(1280×800ドット)に変更されている。

 本体サイズは292(幅)×214(奥行き)×29.8(高さ)ミリ、重量は約1.279キロ。今回集めた6モデルの中では最も横幅が長く、重い製品となる。標準バッテリーの駆動時間は約6.5時間と短めだ。

天板は細かい傷を自己修復するスクラッチリペア塗装

 CPUは超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz)、チップセットはIntel GM965 Expressを採用し、インテル製の無線LANコントローラとあわせてSantaRosa世代のCentrinoに対応する。メインメモリは標準2Gバイト(最大3Gバイト)、HDDは160Gバイト(2.5インチ/5400rpm)、光学ドライブはDVD±R DL対応DVDスーパーマルチだ。OSはVista Home Premiumをプリインストールしている。

 LJ750/LHは、これまでNEC Direct専用モデルだけの特別仕様だった天板の自己修復塗装「スクラッチリペア」を店頭モデルで初めて採用しているほか、PCI Express接続のWireless USBコントローラを本体に搭載し、Wireless USB対応ハブユニットを標準で付属しているのが特徴だ。また、IEEE802.11n(ドラフト2.0準拠)の無線LAN機能も備えている。Wireless USBハブの付属をはじめ、豊富な機能を持つだけあって、量販店での実売価格は27万5000円前後(実売価格は2008年2月20日現在、以下同様)と高めだ。


VAIO type G VGN-G2KAN(ソニー)

「VAIO type G VGN-G2KAN」

 ソニーがビジネス市場を狙って2006年11月に立ち上げた「VAIO type G」は、日本の企業ニーズに合わせて1024×768ドット表示の12.1インチスクエア液晶ディスプレイを採用し、堅牢性テストの結果を積極的に公表するなど、ほかのVAIOとは一風異なる位置付けにある。今回取り上げる「VGN-G2KAN」は店頭販売向けの2007年秋冬モデルで、2008年春モデルは投入されておらず、継続販売となっている。

 VGN-G2KANでは、キーボード部への水こぼしに配慮してコップ1杯分(約200cc)の防滴性能を備えたことに加えて、液晶パネル表面に耐摩耗性の高いハードコーティングがなされ、ひっかきなどに強くなった。また、平面加圧式振動試験のレベルを120kgfから150kgfに引き上げている。そのほか、動作時における72センチからの落下、20kgfの点加圧、本体ひねりなどの試験を行っている。

天板のマルチレイヤーカーボンファイバーは、マグネシウム合金と比較して約30%軽量にもかかわらず、約200%の強度を誇るという

 ボディの天板と底面にマルチレイヤーカーボンファイバー(カーボンファイバー積層板)、パームレスト面にカーボンモールド(カーボンファイバー強化プラスチック)を採用するなど、積極的にカーボン素材を使うことで、本体を薄型に仕上げつつ強度も確保しているのは、他社の堅牢ノートPCに見られないVAIOならではの個性と言える。本体サイズは277(幅)×215(奥行き)×23.5〜25.5(高さ)ミリで、重量は約1.143キロと薄型軽量だ。標準バッテリーの駆動時間も約11.5時間と長い。

 CPUは超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz)、チップセットはIntel 945GMS Expressを搭載。メインメモリは標準1Gバイト(最大1.5Gバイト)、HDDは80Gバイト(1.8インチ/4200rpm)と、基本スペックでは他機種より少々分が悪い。光学ドライブはDVD±R DL対応DVDスーパーマルチだ。ビジネス向けということで、OSはVista Businessをプリインストールしている。量販店での実売価格は22万5000円前後まで下がっており、6モデルの中では安いほうだ。


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