第6回 小型軽量ノート6台の性能、発熱、騒音に迫るモバイルノート08年春モデル徹底検証(1/3 ページ)

» 2008年03月13日 16時30分 公開
[前橋豪,ITmedia]
第6回のテーマは、性能、温度、騒音だ(写真はFMV-BIBLO LOOX R70Yが搭載する小型パッケージのCPU)

 重量1.3キロを切るDVDスーパーマルチドライブ内蔵のモバイルノートPCにフォーカスし、最新モデル6台を徹底検証する特集も6回目に突入し、各製品の実力が徐々に明らかになってきている。前回は、各モデルが搭載しているキーボード、ポインティングデバイス、ワンタッチボタンの違いを比較した。

 今回は、ベンチマークテストプログラムによるパフォーマンスの評価に加えて、実際に使ってみると気になることが多いボディの発熱や騒音レベルも調べてみた。携帯性が優先される小型軽量のモバイルノートPCにおいて、十分なパフォーマンスとシステムの冷却性能、そして静音性は維持できているのか、じっくりとチェックしていく。


Windowsエクスペリエンスインデックスで基本性能を見る

 本特集で集めたモバイルノートPCの主なスペックは下表の通りだ。いずれもCPUに低電圧版もしくは超低電圧版のCore 2 Duo 1.2GHzを採用し、チップセットはIntel 945 ExpressかIntel 965 Expressファミリーでグラフィックス機能統合型となっている。

本特集で取り上げるモバイルノートPCの主なスペック
製品名 メーカー CPU チップセット(グラフィックス) メインメモリ HDD 液晶ディスプレイ Vistaエディション
LaVie J LJ750/LH NEC 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) Intel GM965(GMA X3100) 標準2GB/最大3GB(PC2-4200) 160GB(2.5インチSATA/5400rpm) 12.1インチワイド(1280×800ドット) Home Premium
VAIO type G VGN-G2KAN ソニー 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) Intel 945GMS(GMA 950) 標準1GB/最大1.5GB(PC2-4200) 80GB(1.8インチUATA/4200rpm) 12.1インチ(1024×768ドット) Business
VAIO type T VGN-TZ72B ソニー 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) Intel 945GMS(GMA 950) 標準2GB/最大2GB(PC2-4200) 80GB(1.8インチUATA/4200rpm) 11.1インチワイド(1366×768ドット) Home Premium
dynabook SS RX1/T7E 東芝 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) Intel 945GMS(GMA 950) 標準2GB/最大2GB(PC2-5300、PC2-4200で動作) 80GB(2.5インチSATA/5400rpm) 12.1インチワイド(1280×800ドット) Business
Let'snote LIGHT CF-W7 パナソニック 超低電圧版Core 2 Duo U7600(1.2GHz) Intel GM965(GMA X3100) 標準1GB/最大2GB(PC2-4200) 80GB(2.5インチSATA/5400rpm) 12.1インチ(1024×768ドット) Business
FMV-BIBLO LOOX R70Y 富士通 低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz) Intel GS965(GMA X3100) 標準1GB/最大4GB(PC2-5300) 120GB(2.5インチSATA/5400rpm) 12.1インチワイド(1280×800ドット) Business

 基本性能は大きな差がないように思えるが、FMV-BIBLO LOOX R70Yはシステムバス800MHz、2次キャッシュ4Mバイトの低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz)を搭載している点で優位に立つ(ほかのモデルはシステムバス533MHz、2次キャッシュ2Mバイト)。また、VAIO type G VGN-G2KANとVAIO type T VGN-TZ72Bは1.8インチHDDを使用しているため、パフォーマンスが若干不利になることが予想される(ほかのモデルは2.5インチHDD)。

 なお、VAIO type G VGN-G2KAN、Let'snote LIGHT CF-W7、FMV-BIBLO LOOX R70Yの3台については、メインメモリの標準容量が1Gバイトと少なめなので、実際の利用シーンを想定し、VAIO type G VGN-G2KANは最大容量の1.5Gバイト、Let'snote LIGHT CF-W7とFMV-BIBLO LOOX R70Yはほかのモデルと同じ2Gバイトまでメインメモリを拡張した状態でも性能を評価した。また、LaVie J LJ750/LHとLet'snote LIGHT CF-W7は試作機での評価となるため、実際の製品と異なる可能性があることをあらかじめお断りしておく。

 それでは、最初にWindows Vista標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアから見ていこう。

LaVie J LJ750/LH:Intel GM965 Expressチップセット内蔵のグラフィックスコア(Intel GMA X3100)が基本スコアを低くしているが、それ以外のサブスコアは4.2以上を維持しており、6台の中では標準的な評価だ
VAIO type G VGN-G2KAN(1Gバイト):Intel 945GMS Expressチップセット内蔵のグラフィックスコア(Intel GMA 950)により、基本スコアは2.1と低い。1.8インチHDDを搭載するため、HDDのサブスコアも控えめだ
VAIO type G VGN-G2KAN(1.5Gバイト):512Mバイトのメモリを増設した状態で、再度Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアを調査したが、メインメモリ1Gバイトの状態とスコアはまったく変わらなかった

VAIO type T VGN-TZ72B:先に紹介したVAIO type G VGN-G2KANと同様、Intel 945GMS Expressチップセット内蔵のグラフィックスコア(Intel GMA 950)と1.8インチHDDの採用により、スコアは控えめになっている
dynabook SS RX1/T7E:チップセットはIntel GMA 950を統合したIntel 945GMS Expressで、965世代の製品よりスコアが劣る。VAIOの2製品と異なり、HDDは2.5インチを採用するため、HDDのサブスコアは良好だ
Let'snote LIGHT CF-W7(1Gバイト):チップセットはIntel GMA X3100を統合したIntel GM965 Expressだが、メインメモリが1Gバイトの状態ではグラフィックスメモリの容量が減るため、スコアは低くなっている

Let'snote LIGHT CF-W7(2Gバイト):メモリを2Gバイトに拡張した状態では、割り当てられるグラフィックスメモリが最大251Mバイトから最大358Mバイトまで増え、グラフィックス関連のスコアが一気に高まった
FMV-BIBLO LOOX R70Y(1Gバイト):低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz)とIntel GMA X3100を統合したIntel GS965 Expressチップセットの組み合わせにより、メモリ1Gバイトの状態でもスコアは3.0以上と高い
FMV-BIBLO LOOX R70Y(2Gバイト):メモリが2Gバイトの状態では、割り当てられるグラフィックスメモリの最大容量が256Mバイトから最大384Mバイトに拡張される。今回集めた6台の中でトップのスコアとなった

 いずれもCPUやメモリは比較的高いスコアを維持しているが、チップセット内蔵のグラフィックス機能が基本スコアを下げる結果となった。Intel 945GMS Expressチップセット搭載機であっても、Windows Aeroを動作させることは可能だが、Intel GM965/GS965 Expressチップセット搭載機では3Dグラフィックスの性能が大幅に向上するため、Windows Aeroの動作もより軽くなる。HDDのスコアは、やはり1.8インチHDDを採用したVAIOの2台がほかの製品に差を付けられた形だ。

 6台の中では、FMV-BIBLO LOOX R70Yが最も高いスコアをたたき出した点に注目したい。性能面で他機種をリードするCPUの低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz)と、割り当てるグラフィックスメモリの多さが生かされ、唯一すべてのスコアで3.0以上(メモリ2Gバイトの状態では3.5以上)を獲得している。

 次のページでは定番のベンチマークテストを実施し、その結果をチェックする。

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