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» 2008年02月15日 11時00分 公開

新型Core 2 DuoはAirだけじゃない!:“モバイルノートで大型化”は英断か――「LOOX R」の真価を問う (4/4)

[前橋豪,ITmedia]
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基本スペックの強化がパフォーマンスに反映

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

 ここからはLOOX R70Yの性能を各種テストによって明らかにしていこう。今回はWindows Vista標準のWindowsエクスペリエンスインデックスに加えて、PCMark05、3DMark06、Final Fantasy XI Official Benchmark 3といったPC USER恒例のベンチマークテストプログラムを走らせてみた(電源プランは標準の「バランス」)。LOOX R70Yはメインメモリの標準容量が1Gバイトなので、実際の運用を考慮して、2Gバイト(1Gバイト×2)に拡張した場合でも各ベンチマークテストプログラムを実施している。

 まずはWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアだが、Intel GS965 Expressチップセット統合のグラフィックスコアが足を引っ張る形にはなったものの、低電圧版Core 2 Duoとグラフィックスコア統合型チップセットを搭載したモバイルノートPCとしては高いスコアが出た。

左からPCMark05、3DMark06、FFベンチの結果

 PCMark05と3DMark06では、新採用の低電圧版Core 2 Duo SL7100(1.2GHz)が力を発揮し、同クロックの超低電圧版Core 2 Duo U7600に対して、PCMark05で300前後、3DMark06で100前後の差をつけた。回転数5400rpmの2.5インチHDDの採用により、HDDのスコアもモバイルノートPCの枠内では高めに推移している。メモリ増設によるパフォーマンスの差は3DMark06で目立った。これは、メインメモリを1.5Gバイト以上にすると、グラフィックスメモリの割り当て容量が最大256Mバイトから最大384Mバイトに増えるためだ。

 FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3にもCPU性能が反映され、FINAL FANTASY XI for Windowsをデフォルト状態でストレスなく動作可能な「ちょうどPC」相当のスコアが得られた。こちらはメモリ増設の効果がほとんど見られない。無論、本格的に3Dゲームをプレイできる描画性能はないが、実際の使用では低電圧版CPUを搭載したモバイルノートPCの割にVistaが軽快に動いてくれる印象だった。

LOOX R70Yのデバイスマネージャ画面

 なお、試しに画面輝度を最大、電源プランを「高パフォーマンス」、ファンの制御は標準、音量は真ん中の状態でDVD-VideoをWindows Movie Player 11で連続再生したところ、2時間43分でバッテリーが切れてシャットダウンした。これは非常に厳しい条件でのバッテリー駆動テストなので、画面輝度を下げたり、「省電力ユーティリティ」を活用すれば、倍以上の連続駆動も余裕でこなせるだろう。

「省電力ユーティリティ」では、バッテリー駆動時に光学ドライブ、PCカード、メモリカードスロット、有線LAN、FAXモデム、IEEE1394を無効にし、ディスプレイの輝度を変更することでバッテリー駆動時間の延長が図れる(写真=左、中央)。バッテリーの満充電容量を80%に抑えることで、バッテリーパックの寿命を約1.5倍に延ばすという「バッテリーユーティリティ」も搭載している(写真=右)

隠れた魅力は静かで冷えるボディ

 パフォーマンスの向上とともにLOOX R70Yの魅力となるのが、発熱の少なさと騒音の小ささだ。LOOX R70YはLOOX T70Xより冷却ファンが大型化されているが、本体の厚みを生かしてうまく放熱できているようで、システムに高い負荷がかかった状態でもボディの表面が異常に熱くなることはなく、ベンチマークテスト終了時に最も発熱していたキーボード左側と底面左側を放射温度計で測定してみても、35度程度までしか上がらなかった(室温は約25度)。

 ファンの騒音に関しては、「静音ユーティリティ」で3段階に設定可能だ。デフォルトは騒音よりCPUパフォーマンスを優先するモードだが、こちらの設定でも通常時は静粛で、風切り音がうるさく感じることはない。高負荷時はファンの回転数が状況に応じてこまめに変動するが、もともとの冷却機構に余裕があるためか、システムに高い負荷がかかるベンチマークテスト中でも高速回転し続けるようなことはなかった。

LOOX R70Yの冷却ファンを左に、LOOX T70Xの冷却ファンを右に並べた(写真=左)。LOOX R70Yではファンが大型化するなど、冷却性能と静音性が向上した。LOOX R70Yのファンはサイズが50(幅)×45(奥行き)×8.5(高さ)ミリで重量が約10グラム、LOOX T70Xのファンはサイズが40(幅)×38(奥行き)×6.5(高さ)ミリで重量が約6グラムだった。ファンの排気口は背面にあるので、ユーザーが使用時に熱風を感じるようなことはない(写真=中央)。「静音ユーティリティ」では冷却ファンの制御方法を3段階に設定できる(写真=右)

新設計で実用重視の手堅いモバイルノートに

 持ち運んで利用することを想定したモバイルノートPCは、実際に携帯して試用してみなければ分からない部分が多いが、LOOX R70Yはまさに使用前と使用後で印象が変わる1台だった。正直なところ、最初にLOOX R70Yを見たときは立ち位置がビジネス寄りになったとはいえ、LOOX Tで大事にしてきた数々のこだわり(フラットな天板の薄型ボディ、着脱式ベイ構造、ワンセグチューナーをはじめとする付加機能など)を失ってしまったかのような違和感を覚えたものだ。

 しかし、何日もLOOX R70Yを使ってみると、モバイルノートPCとして成長している部分がしみじみと伝わってきた。それは、画面の視認性、入力環境、パフォーマンス、発熱の少なさ、騒音の小ささ、バッテリーの持ちなど、モバイルPCで大切にされる要素ばかりだ。LOOX R70Yに一度慣れてしまうと、LOOX Tでは物足りなくなってしまう可能性すらある。特に新CPUによるパフォーマンスの高さと、静かで熱くなりにくいボディは、これまでの超低電圧版Core 2 DuoベースのモバイルノートPCに対するアドバンテージに違いない。

 こうした快適さのためにボディのデザインが一部犠牲になっているのは否めないが、見た目のインパクトや世界一を誇れるカタログスペックに固執することなく、冷静に使い勝手の向上に重きを置いて作られているため、道具としての利便性は高い。今回の思い切った方向転換には驚かされたが、それによるユーザーメリットは確実に、そして多数存在するはずだ。この春、Vistaを軽快に使える小型軽量モバイルノートPCを探しているならば、LOOX R70Yはうってつけの1台といえる。

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