潜入調査!── 中国のちょい“裏”PC市場:山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2008年11月26日 17時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

「3つの財布」で意外と裕福な平均的中国家族

 同じ都市部に住んでいても、大都会生まれ大都会育ちの人々と農村から出稼ぎに来た人で、所得は大きく異なる。ところが、名のある大型家電量販店や大型スーパーの家電売り場では高級品しか扱っていない。しかし、観光客にはまったく知られていない都会の片隅に、出稼ぎ労働者のための“隠れた”家電市場や中古PC市場がある。きれいに飾られた大型電器店や大型スーパーと比べて、そうした市場には、当然のように濃厚な生活の臭いが漂い、そして、ディープなのであった。

 大都市ならどこにでもある、大型家電量販店の「国美電器」や「蘇寧」、そして、大型スーパーの「カルフール」や「ウォルマート」に設けられた家電売場では、ノートPCや大画面液晶テレビが並ぶ。そうした大型店ではブラウン管テレビを探すほうが難しい。扱っている商品の価格は、日本円にして5〜10万円もするが、都市部に住む平均収入の世帯ならなんとか購入できる。

中国を代表する大型家電量販店の1つ「蘇寧」(写真=左)。地方都市でもカルフールに並ぶテレビはすべて大画面液晶テレビだ(写真=中央)。中国でも所得水準が高い深センの蘇寧でも、PCの主流は2スピンドルのノートPCだ(写真=右)

 都市部で生活する世帯の構成は、中国の農村部とかなり異なる。農村部では一戸建て家屋が中心であるが、都市部では集合住宅しか存在しない。都市部に存在する一戸建ては「別荘」という名の超高額郊外物件になる。そういう物件を購入できるのはごく限られた特権階級だ。

 上海や北京など地価の高いところは別として、一般的な都市のマンションは100平方メートルを超える3LDK以上の物件が多い。これは、中国では1つの住居に3世代以上の大家族で住むことが普通だからだ。退職すれば生活に余裕が持てるほどの公的年金をもらえる高齢の夫婦と、給料は安いが働き盛りの子ども夫婦が一緒に暮らすわけだが、中国では共稼ぎが一般的なので、子ども夫婦だけでも平均月収の2倍は世帯として稼げることになる。子ども夫婦には子供が1人いることが多いので、平均的な世帯は5人暮らしということになる。

 世帯全体で見れば、統計における1人あたり平均収入の3倍にも4倍にも達する。このような世帯を中心となって、Netbookには目もくれず2スピンドルのノートPCを物色し、最近では月収以上のデジカメを購入し、結婚記念に大画面液晶テレビを買っている。

独身貴族とはいかない農村出身者が頼るディープな市場

 しかし、農村から単身で都会に出てきた人々はそういかない。もともと平均を下回る月収であるのに、一人暮らしであるから収入を合算して生活費を捻出することもできない。そうした人々は、1万円以下の月収で日々の生活をやりくりしているので、大画面液晶テレビやPCを購入するだけの資金を用意するのは困難を極める(そういう事情もあって、PCを買えない若者でネットカフェは繁盛することになる)。

 農村から都会に出てきた単身生活者が「自分の」PCやテレビを購入するのが、そうした人々を対象とした安物家電が集まる家電市場であったり、安い中古PCが販売されている中古市場であったりする。このような店はどこの都市にも存在する。そうした市場で売られる家電は、中国の農村部ではメジャーな中国メーカー製であるが、その一方で、農村でも(意外にも)見かけることがないニセモノブランドもある。中国メーカー製家電と偽者ブランド家電の割合はおよそ半々だ。製品ジャンルもブラウン管テレビ(さすがに白黒テレビはないようだ)やVCDプレーヤー(中国ではVCDプレーヤーは依然として現役なのだ)やDVDプレーヤー、スピーカーにMP3プレーヤーといったAV家電製品から、冷蔵庫やエアコン、洗濯機といった白物家電まで幅広い。

 携帯電話も 2008年の春頃から台頭してきた「山寨機」と呼ばれるノンブランドケータイが人気で、所得の少ない購入層に受け入れられている。

安物家電を扱う専門店(写真=左)。このような店舗が集まって安物家電街が形成される(写真=中央)。生活に密着した白物家電が集まっているエリア(写真=右)

最近の安物家電街では、日本製の携帯ゲーム機(写真=左)や中古のデジタルカメラも並ぶようになってきた(写真=中央)。こういう流通で主流なのが超マイナーで“ややこしい名称”のメーカーだ(写真=右)

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