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第4回 印刷品位をとことんチェック――最も高画質な複合機は?:複合機08-09年モデル徹底検証(2/3 ページ)

» 2008年12月17日 16時45分 公開
[榊信康,ITmedia]

L判写真印刷(メーカー純正の最上位写真用紙/最高画質設定) その2

 「カラー静物/グラデーション/カラーパッチ」に続いて、「カラー人物」と「モノクロ風景」の出力品質を見比べる。

・カラー人物

EP-901F:一様にマゼンタが少しかぶっているが、違和感が発生しない程度で収まった。ただ、被写体の顔が暗く、瞳には光がないため、印象が弱い。髪のシャドーが濁っているのもマイナスな印象だ
EP-801A:EP-901Fからマゼンタが少し弱まり、こちらのほうがオリジナルに近い色が再現できている。ただ、肝心の被写体が沈みがちなのはEP-901Fと同様だ。花の色が派手なだけに余計に気になる

PM-A840S:色の傾向はオリジナルに近い再現ができている。ただ、全体的に明度が低い。ハイライトがくすぶり、シャドーはつぶれがちとなっているので、やや眠たい絵になってしまった
MP980:背景の淡い色を「色かぶり」と判断したのか、全体的に赤みが抜けた。肌は色白になったが、同時にハイライトも飛んだような描写だ。髪のツヤはあるが、シャドーが持ち上がったためか、草花の立体感が少し足りない

MP630:全体的にオリジナルに近い描写が行えている。ただ、トーンカーブのS字がきつく、階調のメリハリが効きすぎた嫌いがある。エッジが切り立っていることもあって、人物と草花の描画がきつめだ
MP620:オリジナルからは少し遠ざかるが、程よい補正で好感が持てる。背景の赤みは補正されたが、人肌は飛ばない一歩手前にとどめている。エッジもさほど際立っておらず、自然な描写ができている

C6380:ハードライトを当てたように陰影が濃く、それでいて全体が暗めなので、暗部の階調がつぶれ気味になった。エッジも際立っており、7台の中では比較的クセのある印象を受ける
元画像:モデル=TargetTVリポーター 綾奈千瑞(あやなちひろ)

・モノクロ風景

EP-901F:かなり強く赤がかぶっている。シャドーがやや浮き気味になっていることもあり、力のない描写になった。草生えや雲は緻密(ちみつ)で違和感なく描写できている
EP-801A:やや赤みが差しているが、EP-901Fほど派手ではない。シャドーもそれなりに締まって見える。雲や草生えの雰囲気も残しており、全体的に悪くない出力だ

PM-A840S:ハイライトではマゼンタが、シャドーではグリーンが強く出ている。このため、全体的に締りがなく、上位2モデルに比べると安定感を欠く印象だ
MP980:グレーインクを搭載しているだけあって、偏りのないきれいなモノクロが再現できている。ただ、シャドーを持ち上げて暗部の階調を出しているためか、少々あっさりとした絵になった

MP630:全体的に青みが強くなっているが、トーンカーブの強さでメリハリがついていることもあり違和感がない。再現性はともかく、これはこれでアリだろう。しかし、雲の微妙な階調は消えてしまった
MP620:一様に薄いグリーンがのっているが、許容できるレベルに抑えている。グレーインク非搭載機としては優秀な描写だ。ただ、ハイライトが飛び気味で、シャドーも力がないため、平坦な絵だ

C6380:全体的にさした赤みと、紙白の青みが混じり合っている。独特の雰囲気を醸しているが、印象は悪くない。際立ちすぎたエッジも、このサンプルではさほど違和感がない
元画像:

 3パターンの画像データを印刷したところ、全体的な傾向としてはトーンカーブのS字補正が目立った。つまり、色濃くメリハリの効いた補正が目立つ。複合機はホームユースが主体なだけに、撮影したままフォトレタッチせずに印刷するケースが多いと思われる。となれば、プリンタ側での強めの自動補正をかけるのは当然といえるだろう。

 個人的には、極端にいじり過ぎた絵よりも、オリジナルの画像データのトーンをなるべく保ちつつ、適度にメリハリも与えたMP980をはじめとしたPIXUS MP系の絵が好みなのだが、異端となるのかもしれない。MP980はグレーインクの搭載が効いており、モノクロ印刷のグレーバランスもよい。

 とはいえ、エプソン機も「Adobe RGB」モードや「EPSON基準色」に設定して印刷すれば、比較的忠実に色やトーンが再現されるので、印刷する写真に応じて試してほしい。日本HPにしても、「Real Life Technology」(RLT)を切るか、ICCプロファイルやプリンタドライバの色変換モードを使用すると、同じプリンタとは思えないほど忠実な描写をしてくれる。蛇足を承知で付け足すならば、最低限フォーカスと露出があっている撮影データはRLTを切ったほうが良好な結果が得られるように思った。

写真補正機能もアップグレード

 複合機の写真補正機能は年々進化しているが、今年もエプソンの「オートフォトファイン!EX」と、キヤノンの「自動写真補正」に新たな要素が取り込まれた。

 まずはオートフォトファイン!EXだが、こちらは逆光写真における補正が、より自然な仕上がりになるように改良された。着目したのは人物と背景の明度差だという。従来は人物が暗すぎる場合に補正を行うと、背景が引きずられて白飛びしてしまった。これを解消するために今年は覆い焼きを行い、人物も背景もバランスよく仕上げるようにしている。

 一方、キヤノンの自動写真補正には赤目補正が追加された。機能の追加はこれだけだが、今回は自動写真補正を利用できるモードを拡張しており、PCからの印刷だけでなく、ダイレクトプリント時やコピーモードからでも利用可能になった。このため、写真の焼き増しや手書きナビ、フィルムプリント(MP980のみ)などでも制約を受けずに利用できる。

 昨年モデルの写真補正機能の検証記事はこちら。



A4カラーコピー(普通紙/デフォルト設定と高速設定の2段階)

 コピー品質の検証については、「カラー静物/グラデーション/カラーパッチ」の印刷サンプルを標準コピーと高速コピーの2モードで出力して見比べる。普通紙はインクの許容量が少ないと思われるので、用紙のたわみにも着目してみた。

 モノクロコピーも使用頻度は高いだろうが、それだけにどの製品も品質が高く、ハズレがないので割愛した。実のところ、カラーコピーでもハズレはないのだが、各機で特色が異なっているので、じっくり見ていこう。

EP-901F:左が「標準」、右が「エコノミー」の出力結果。エプソン機は顔料ブラックインクがないことも影響して、薄紙を1枚かぶせたかのように色が浅いが、打ち込みすぎて用紙がたわんでしまうよりはよい。トランプの模様や文字はかなり再現できており、描写力に不満はない

EP-801A:左が「標準」、右が「エコノミー」の出力結果。EP-901Fと似た傾向だが、色はこちらのほうがやや濃く出た。用紙のたわみは、ワインの辺りで軽度のものが見られた。普通紙にもかかわらず、細部までよく描写できている

PM-A840S:左が「標準」、右が「エコノミー」の出力結果。上位の2モデルに比べて色が少し濃く出た。写真原稿だと、このくらいのほうが映えるかもしれない。それでも用紙のたわみはほとんどなく、RGBカラーバーでわずかに見られる程度だった

MP980:左が「標準」、右が「はやい」の出力結果。ワインやトランプのしまなど、顔料ブラックがほかの色よりも浮き上がって見える。コピーではテキストの黒をしっかりと出そうということなのだろう。最下段のグレーが同色にならず、すべてのステップを描き分けているのはさすがだ

MP630:左が「標準」、右が「はやい」の出力結果。MP980と同様の傾向だ。よりブラックの主張が強いのは、グレーインクを持たぬがゆえだろう。ほかの色も濃度が高いが、それほど破たんはしていない。食器類などは、普通紙でありながら質感を見事に表現できている

MP620:左が「標準」、右が「はやい」の出力結果。MP630よりもわずかに色が濃い。一層のメリハリがつき、金属類は見栄えがするが、中間域でのザラつきが目立つ

C6380:左が「標準」、右が「ドラフト」の出力結果。写真用紙ではうるさく感じたメリハリの強さとエッジの強調が、普通紙では逆に奏功している。たわみもなく、非常に優秀な出力だ。ドラフトでもしっかりとアウトラインを描き、階調もそれなりに残している

 標準モードと高速モードの2つの設定でカラーコピーを行った理由は、高速モードの出力が実用に耐えるかどうか判断するためだが、おしなべて標準モードとの画質差は大きかった。速度の違いはさほどないので、素直に標準モードを使用するのがベストだ。

 結果を見ると、顔料ブラックインクを搭載した日本HPのC6380が優秀だった。新型プリントエンジンのおかげというよりは、ノウハウの蓄積が大きいのだろう。写真用紙への印刷では色とエッジが目立ち過ぎたのだが、普通紙ではこれがうまく働いている印象だ。同じく顔料ブラックインクを採用したキヤノン機も普通紙でシャープな黒が得られる。

 染料6色インクのエプソン機は専用紙への写真印刷が得意な半面、普通紙へのカラーコピーや文書印刷では黒の締まりが見劣りする。ただ、EP-901FとEP-801Aはコピー原稿内の情報をイメージとテキストに分類し、それぞれ最適な自動処理を行う「領域判定コピー」技術が新搭載され、コピー品質が改善された点は触れておく。

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