テレビ機能と並び、ビデオエディションの機能面での柱となるビデオ編集については「Adobe Premiere Elements 4」を中核に、ソニーオリジナルのPremiere用プラグインである「VAIO Edit Components」と、音声編集ツールの「DigiOnSound 5 L.E.for VAIO」、そしてこちらもオリジナルのBD/DVDオーサリングソフト「Click to Disc」で補完するという構成を従来モデルから継承している。
Premiere Elements 4は、同じくバンドルされるフォトレタッチソフト「Adobe Photoshop Elements 6」と連動して、素材を整理するウィンドウの内容が自動でリンクするといった見逃せない魅力もある。片方で読み込んだ素材は他方でも同時に表示されるだけでなく、素材に4色のタグを付けて検索しやすくする機能も両ソフトをまたいで利用できるため、Premiere Elements 4で使う静止画素材をPhotoshop Elements 6でレタッチするといった作業もスムーズに行なえる。
VAIO Edit Componentsは、Premiere Elements 4の弱点であるAVCHD非対応という問題を解消してくれるほか、3Dパーティクルメーカーなどのユニークなビデオエフェクトが追加される(市販のPremiere Elements最新版Ver.7はAVCHDに対応)。何より、PCにとって負荷の高いHDビデオカメラの映像をスムーズに編集すべく、解像度を落とした中間ファイル(プロキシ)を編集に代用することで、最終的に出力される作品の画質を損ねることなく、快適な編集を実現しているのがポイントだ。
なお、セカンドディスプレイをプレビューモニタとして使えるPremiere Elements 4の機能を使えば、HDMIで接続したテレビに編集結果を映しながらの編集という、実際の色味を確認しながらの作業にも対応するが、HD映像のプロキシ編集時はプレビューされる映像も中間ファイル特有の粗い映像になってしまう。といってプロキシ編集をやめてオリジナルのままで編集を行なうと、AVCHDの素材では負荷がかかりすぎて再生時にコマ落ちが発生するため、こちらも現実的でない。
YouTubeでの公開を目的とした動画編集など、基本的な視聴方法がPCのディスプレイで完結する場合は必要ないが、Blu-ray DiscやDVDに保存する場合は、完成品と同じ画質でプレビューできる機能があるとうれしいと感じた。
Click to Discは、ポップアップメニュー付きのBDディスク(BD-J形式)を簡単に作成できる「Click to Disc」と、素材のカット編集などにも対応する「Click to Disc Editor」の2本からなるオーサリングソフトだ。今回のバージョンアップで、作成したBD-Jディスクでのマウス操作が可能になった。
もちろん、BD-Jだけでなく、DVD-Video、DVD-VR、BDMV、BDAVのオーサリングも行なえるが、目玉機能であるBD-J形式でのディスクオーサリングは、高機能なビデオディスクを手軽に作れるというだけでなく、素材の撮影日や撮影した内容ごとにディスク内の映像を検索できることから、2層ディスクで50Gバイトという容量を持つBDメディアへのアーカイブにも使える。どんどん大容量化していく静止画・動画データの保存にはもってこいの1本だ。
動画や静止画、音楽の素材と、「旅行」「ウェディング」といった36種類のテンプレートを選ぶだけで、雰囲気のよいショートムービーを自動作成してくれる「VAIO Movie Story」も、撮影した静止画や動画を活用できるソフトとして注目したい。
今回のモデルチェンジでは、BGMの解析機能がさらに進化し、いわゆる「サビ」の部分を検出できるようになったため、作成者が優先利用を指示した動画や静止画のシーンをサビの部分に割り当てる「サビキメ」の機能が実現した。
また、テンプレートの選択後、BGMを決める際にも、HDDに蓄積された音楽ファイルの中から、テンプレートの雰囲気にあった楽曲が一覧表示されるレコメンド機能が新たに搭載され、自分の気に入った曲をテンプレートとマッチさせやすくなった。さらに、笑顔の検出や、人物の顔以外の被写体でも正しく中心部を把握するといった映像解析機能の進化も図られており、より高精度での素材の抽出を実現している。
VAIO Movie Storyで用いられる音楽解析の結果は、音楽プレイヤーソフトのVAIO MusicBoxでも生かされており、サビの部分だけを次々に再生していくといった楽しみ方もできるようになった。
このように、VAIOのオリジナルソフトでは、録画したテレビ番組の視聴から音楽再生に至るまで、あらかじめコンテンツを解析し、ソフトに応じて「使いどころ」を自動的に見つけ出す機能がフルに活用されているのが特徴といえる。これらの解析機能は、素材の種類ごとにオン/オフを切り替えられるが、基本的には初期設定のまま、すべてオンにしておくべきだろう。
半面、解析中はパフォーマンスの低下が避けられないため、快適に編集を行ったり、視聴を楽しむためには、コンテンツをVAIOに読み込んだら、解析が終了するまでしばらくは作業をしないでおくのがよい。これはVAIO Edit Componentsの中間ファイル作成時でも同じことがいえる。
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