シマンテックが「ノートンオンラインファミリー」を無償公開子どもを監視するだけじゃダメ

» 2010年07月08日 23時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

今までにない保護者機能を搭載

ノートンオンラインファミリーの管理画面

 シマンテックは7月8日、Webベースのペアレンタルコントロールサービス「ノートンオンラインファミリー」の正式版を発表した。ノートンオンラインファミリーは、子どものオンライン動向をモニターまたは制限するための保護者向けサービスで、(子どもが使う)PCにノートンセーフティマインダーと呼ばれる小さなアプレットを導入するだけで簡単に利用できるのが特徴。この手のソフトウェアで一般的なカテゴリ(例えばファイル共有、ポルノ、カルトなど40以上)ごとのフィルタ機能を備えるほか、mixiやGREEをはじめとする日本のソーシャルネットワークサイトにも対応している。また、インスタントメッセンジャーでの会話に対して、知り合いなら許可をし、知らない相手とは話せないように遮断するなど、通信相手ごとの制御も可能だ。

 詳細なリポート機能を備えているのも特徴の1つで、子どもが閲覧したWebサイトを時系列でトラックキングし、各Webサイトのサムネイル表示が行えるほか、インスタントメッセンジャーでの会話もすべてログとして保持される。Webベースのサービスになっているため、これらのリポートはiPhoneやiPadなどインターネットが利用できるあらゆる端末から閲覧できる。一方、これまでのペアレンタルコントロールと違うのは、保護者が一方的に子どものインターネット利用を制限するのではなく、子どもからの要請が行えるコミュニケーション機能を備えている点だ。

シマンテックコンシューマービジネスユニットマーケティングシニアマネージャーの風間彩氏

 製品デモを担当したシマンテックコンシューマービジネスユニットマーケティングシニアマネージャーの風間彩氏は、子どもがWebサイトを閲覧しているときと、友だちとIMで会話をしているときの2つのシナリオでノートンオンラインファミリーの機能を説明した。

 1つめのWebアクセスでは、子どもが検索エンジンで「日本たばこ」を検索し、「JT(日本たばこ産業)のWebサイト」を閲覧しようとした例で、ノートンオンラインファミリーの制限カテゴリにタバコのチェックが入っていると、「このサイトを見ることは、きん止されています」という警告文が表示される。このとき子どもは、そのWebサイトを閲覧したい理由をブラウザ上で書き込み、保護者に対して解除要請が行える。ここでは「お父さんが働いている会社のサイトを見たいからみさせて!」というメッセージを書き込み、その後、登録した保護者のメールアドレスにその要求が瞬時に転送される様子を披露した。この閲覧要求を受け入れる場合は、ノートンオンラインファミリーの管理画面上からほぼ1クリックで該当サイトの制限を取り除くことができる。手元にインターネットにアクセスできる端末があれば、いつでもどこにいてもこれらのメッセージや監視ログを閲覧可能だ。

日本たばこで検索して開こうとしたJTのWebサイトは、たばこカテゴリに該当していたため表示がブロックされた(写真=左)。ここで子どもはブラウザ上から閲覧理由と解除要請を保護者に送ることができる(写真=中央)。登録されている保護者のメールアドレスに要求メッセージが届く。納得できる理由で閲覧制限を解きたい場合、簡単な操作で解除できる(写真=右)

 もう1つのシナリオは、学校で知り合った友だちと初めてインスタントメッセンジャーで会話をする場合だ。子どもはノートンオンラインファミリーで登録していないアカウントにメッセージを送信することはできず、ここでも警告が表示される。ただし、こちらも親に対して解除要請を送ることが可能で(「隣のクラスのたかしくんだよ! このまえママもあったでしょ!」)、その理由が妥当だと判断したらすぐに通信を許可できる。これはアカウントごとに制御できる。なお、ここで表示される警告文は「きん止されています」のように大人にとってやや違和感のあるものだが、これは10歳くらいの子どもでも読んで理解できるように考慮した結果だ。

知らない相手とのIMを制限できる(写真=左)。Webベースのサービスのため、インターネットに接続できる端末であればどこからでも、ノートンオンラインファミリーの管理画面にアクセスできる。外出先から子どもの動向を監視したり、閲覧要求に許可を出すといったことが可能だ(写真=中央)。子どもが交わしたIMのチャットログを後から閲覧できる(写真=右)

 このほか、子どもがあらかじめ許可している時間帯を超えてインターネットを利用しようとした場合でも、すぐに通信を遮断するのではなく、監視を強化するなど、段階的な「やわらかい保護」が可能だという。風間氏は「単純に子どもをスパイ活動するのではなく、互いにコミュニケーションを取りながら見たいWebサイトを見られるようにしていく。これは今まで(のペアレンタルコントロール)になかったアプローチ。保護者がさりげなくインターネットを話題にすることで、子どもたちがオンラインで抱えている問題や悩みを共有しやすい環境を作っていける」と語った。

 なお、ノートンオンラインファミリーの利用は無料だが、現状では監視ログをローカルに保存することはできない。また、ファイル共有ソフトの通信内容や、インスタントメッセンジャー経由で交換した画像ファイルなども監視の対象外だ(このためIMで手書きチャットを行えばログに残さないで会話ができる)。監視ログの保持期間は今のところ30日程度、将来的にリリースを検討している機能拡張版の有料プレミアムサービスでは90日程度を考えているという。

このほか日米のネット教育専門家が、子どものインターネット利用に関する調査結果を報告した。シマンテックのインターネットセーフティ推進担当、マリアン・メリット氏は、「62%の子どもがオンライン上で好ましくない体験をした」「それらの問題に対して自分に責任を感じると回答した子どもが77%もいる」といったデータを取り上げ、保護者と子どもの間でオンライン動向の認識に対するギャップが存在し、安全なインターネット利用のためには子どもとの会話でギャップを取り除いていくことが重要だと語る。「これは技術的な挑戦ではなく、子育ての挑戦だと思って取り組んで欲しい」(写真=左)。ネット教育アナリストの尾花紀子氏は、「今の20代の人は生まれたときからすでにPCが存在し、高校生より下はそもそもネットのない時代を知らない。このため上の世代は下の世代にどうやって(インターネットの常識を)教育すればいいか分からない」と世代間でインターネットに対する認識に大きなずれがあると指摘。「今後は日本の政策として、子どものICT利用を制限するのではなく、積極的に推進していくという方向性が打ち出されているが、そのとき保護者の理解が子どもを守ることにつながる」と、コミュニケーションの重要性を繰り返した。「ただ単に監視されていると感じさせてしまうものはだめ。むしろ逆効果で、子どもは親に見つからないようにネットカフェや(保護機能のない)友だちのPCを利用しはじめる。日本は親子の共存関係が海外とは違い、何かあると頭ごなしに怒ってしまいがちだが、怒るのでも放任しておくのでもなく、コミュニケーションをとることが何よりも重要」(写真=中央)。ノートンオンラインファミリー(ノートンセーフティマインダー)はMacにも対応する。説明会場に設置されていたデモ機はMacBook Proだった(写真=右)

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