シマンテックは7月8日、Webベースのペアレンタルコントロールサービス「ノートンオンラインファミリー」の正式版を発表した。ノートンオンラインファミリーは、子どものオンライン動向をモニターまたは制限するための保護者向けサービスで、(子どもが使う)PCにノートンセーフティマインダーと呼ばれる小さなアプレットを導入するだけで簡単に利用できるのが特徴。この手のソフトウェアで一般的なカテゴリ(例えばファイル共有、ポルノ、カルトなど40以上)ごとのフィルタ機能を備えるほか、mixiやGREEをはじめとする日本のソーシャルネットワークサイトにも対応している。また、インスタントメッセンジャーでの会話に対して、知り合いなら許可をし、知らない相手とは話せないように遮断するなど、通信相手ごとの制御も可能だ。
詳細なリポート機能を備えているのも特徴の1つで、子どもが閲覧したWebサイトを時系列でトラックキングし、各Webサイトのサムネイル表示が行えるほか、インスタントメッセンジャーでの会話もすべてログとして保持される。Webベースのサービスになっているため、これらのリポートはiPhoneやiPadなどインターネットが利用できるあらゆる端末から閲覧できる。一方、これまでのペアレンタルコントロールと違うのは、保護者が一方的に子どものインターネット利用を制限するのではなく、子どもからの要請が行えるコミュニケーション機能を備えている点だ。
製品デモを担当したシマンテックコンシューマービジネスユニットマーケティングシニアマネージャーの風間彩氏は、子どもがWebサイトを閲覧しているときと、友だちとIMで会話をしているときの2つのシナリオでノートンオンラインファミリーの機能を説明した。
1つめのWebアクセスでは、子どもが検索エンジンで「日本たばこ」を検索し、「JT(日本たばこ産業)のWebサイト」を閲覧しようとした例で、ノートンオンラインファミリーの制限カテゴリにタバコのチェックが入っていると、「このサイトを見ることは、きん止されています」という警告文が表示される。このとき子どもは、そのWebサイトを閲覧したい理由をブラウザ上で書き込み、保護者に対して解除要請が行える。ここでは「お父さんが働いている会社のサイトを見たいからみさせて!」というメッセージを書き込み、その後、登録した保護者のメールアドレスにその要求が瞬時に転送される様子を披露した。この閲覧要求を受け入れる場合は、ノートンオンラインファミリーの管理画面上からほぼ1クリックで該当サイトの制限を取り除くことができる。手元にインターネットにアクセスできる端末があれば、いつでもどこにいてもこれらのメッセージや監視ログを閲覧可能だ。
もう1つのシナリオは、学校で知り合った友だちと初めてインスタントメッセンジャーで会話をする場合だ。子どもはノートンオンラインファミリーで登録していないアカウントにメッセージを送信することはできず、ここでも警告が表示される。ただし、こちらも親に対して解除要請を送ることが可能で(「隣のクラスのたかしくんだよ! このまえママもあったでしょ!」)、その理由が妥当だと判断したらすぐに通信を許可できる。これはアカウントごとに制御できる。なお、ここで表示される警告文は「きん止されています」のように大人にとってやや違和感のあるものだが、これは10歳くらいの子どもでも読んで理解できるように考慮した結果だ。
このほか、子どもがあらかじめ許可している時間帯を超えてインターネットを利用しようとした場合でも、すぐに通信を遮断するのではなく、監視を強化するなど、段階的な「やわらかい保護」が可能だという。風間氏は「単純に子どもをスパイ活動するのではなく、互いにコミュニケーションを取りながら見たいWebサイトを見られるようにしていく。これは今まで(のペアレンタルコントロール)になかったアプローチ。保護者がさりげなくインターネットを話題にすることで、子どもたちがオンラインで抱えている問題や悩みを共有しやすい環境を作っていける」と語った。
なお、ノートンオンラインファミリーの利用は無料だが、現状では監視ログをローカルに保存することはできない。また、ファイル共有ソフトの通信内容や、インスタントメッセンジャー経由で交換した画像ファイルなども監視の対象外だ(このためIMで手書きチャットを行えばログに残さないで会話ができる)。監視ログの保持期間は今のところ30日程度、将来的にリリースを検討している機能拡張版の有料プレミアムサービスでは90日程度を考えているという。
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