中国で“中華ロイド”を買っちゃった!山谷剛史の「アジアン・アイティー」(1/2 ページ)

» 2010年12月10日 16時00分 公開
[山谷剛史,ITmedia]

人柱御用達!の中華ロイドタブレットデバイス

買ってしまった中華ロイド“Fly Touch IIの一種”「Super PAD」は、本体とカバーを一緒に購入しても1万5000円しない

 中国では2010年5月以降、Androidを搭載したタブレットデバイスが次々と登場した。最近の中国で登場するデジモノの多くは、深センで携帯電話などを作っているある程度の技術を持った工場から、淘宝網(TAOBAO)をはじめとしたオンラインショッピングサイトを通して直売される。こういう「ネット直販限定ブランド」は地味に報道されつつ人柱志望のユーザーが購入して、それから企業がメーカー保証をつけてパッケージングした製品を販売する流れになる。この流れの中で、Android搭載タブレットデバイスの多くは、「ネット直販限定ブランド」が流通している段階なので、ほとんどの都市において電脳街や携帯電話ショップの店頭で見ることはない。ニュースで大きく報じられないこともあって、2010年が押し詰まったいまになっても“知る人しか知らない”ガジェットの扱いを出ない。

 そんな中で、飛びぬけた知名度を誇っているのが“iPad”を意識したデザインでなにかと物議を醸し出した国美電器(gome)ブランドの「Fly Touch」(飛触)だ。国美電器は中国2大家電量販店の1つ(もう1つは、日本のラオックスを買収した「蘇寧電器」)で、中国全土の省都をはじめ、省の第2第3の都市にも店舗を持つ。ならば、中国全土に展開する国美電器の店舗で売っていそうだが、店頭販売は北京や上海などの一部地域だけで試験的に行っているだけだ。

 中国有数の規模を持つ量販店が「iPadの対抗製品をiPadよりも低価格で」とリリースしたにも関わらず、中国の掲示板やブログ、そしてIT系ニュースサイトで「iPadのパクリ」と厳しく非難されている。大規模量販店だからできる「保証とプリインストールソフト」という中国製デジタルガジェットでは非常に珍しいサービスを提供しているにも関わらず、中国メディアの多くが「OEM元へに対する仕入れ値の倍の価格設定で暴利をむさぼっている」と糾弾したりと、国美電器にとっては実に厳しい状況になっている。

 それに追い討ちをかけるように、「アプリケーションや保証なんぞいらないでしょ?そんなことより低価格っすよね!」という中国市場の特質をよく理解している多くのオンラインショップから「あの国美電器が売っている“Fly Touch”と同じだから安心できる製品」とアピールする「ノンブランド」の類似品も多数販売されている。

性能向上、サイズも向上のFly Touch後継モデル

本体には説明書のほかHDMIケーブルや液晶保護カバー、イヤフォンがついてきた

 国美電器のFly Touchは2010年6月に発売を開始している。CPUはARM 9ベースのVIA WM8505+(動作クロック533MHz)、7型ワイド(解像度800×480ドット)のタッチパネル内蔵ディスプレイを搭載して本体サイズは128(幅)×199(高さ)×14(厚さ)ミリ、重さは約370グラム。インタフェースとして本体にmicroSDカードスロットと2基のUSB 2.0(専用コネクタに接続する外付けユニットを使って有線LANと一緒に用意される)、ステレオスピーカーなどを備えるほか、IEEE 802.11 b/g対応の無線LANが利用できる。値段は999元(約1万2500円)だ。(記事掲載当初、Fly Touchの発売年に誤りがありました。おわびして訂正いたします)

 さらに、国美電器はFly Touch発売3カ月後の9月末に、Android 2.1を導入した後継機「Fly Touch II」(飛触二代)を発売した。10.2型ワイドディスプレイ(解像度1024×600ドット)を採用したことで本体サイズが171(幅)×271(高さ)×11(厚さ)ミリ、重さ約1280グラムと大きくなったが、CPUにARM11ベースのInfo TM X220(動作クロック1GHz)を採用して高速化した。本体搭載のインタフェースもMini HDMIが加わりmicroSDカードスロットが2基になるなど拡張されている。無線LANもIEEE 802.11b/g/n対応と強化された。

 Fly Touch IIは、国美電器の上海にある一部の店舗限定で1999元(約2万5000円)で販売されているが、その一方で発売して間もないFly Touch IIを淘宝網でも半額の1000元弱(約1万2500円)で扱っており、人気のあるオンラインショップでは月100台以上売れている。

 この好調な販売の理由になっているのが、店頭の半額という価格設定のほかに、100元弱(1000円強)と安価で提供されているキーボード内蔵の専用ラバーケースだ。本体購入者の多くが一緒に購入している。かくいう筆者も、Fly Touch IIには何の興味も持たなかったのだが、かつてキーボードレスタイプのVAIO Type Uで用意された専用キーボードに似たデザインを見た瞬間に、購入ボタンを押していた。

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