「Evernote Peek」人気を支えた、日本の寿司とお茶の話:EvernoteのCEOが語る(4/4 ページ)

» 2011年06月16日 15時22分 公開
[林信行,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

開発者には「環境柔軟性」が必要

―― WWDCの発表そのものについてはどう考えていますか?

リービン 毎度のことながら、非常に面白かったね。アップルがああいった大がかりな発表をすると、何か業界全体の水準が高まるような印象を受ける。iOS 5についても、NDAで語れることはできないけど、驚くような新機能を満載しているし、iCloudによる音楽提供の方法も、非常に筋が通っていると思う。

 アップルの発表は非常に重みがあって、業界の風景すら変えてしまうところがある。アップルが1歩足を踏み出すたびに、足下の風景が変わってしまうんだ。その大きな影響のせいで、それまでの事業が存続できなくなってしまう開発者もいるし、そうなることを恐れている開発者も多い。

 その一方で、アップルがそういったイノベーションを起こすことで、より多くの人々がテクノロジーを使うようになる。より多くの人々が、PCやスマートフォン、そしてクラウドを使うようになり、長期的な視点で業界全体を見渡すと、非常に大きな恩恵があると思うんだ。

―― アップルの発表によって、開発者が影響を受けることについてはどのように見ていますか?

リービン うまく環境に適合できる柔軟性があれば、逆にそれでチャンスを得る開発者もいると思う。我々自身は常に柔軟な姿勢をなくさないように心がけている。

 そもそも、アップルの発表に関わらず、環境がずっと同じままということはありえないし、開発者はある程度の鋭敏さと柔軟性を持つことが必要だ。大きな環境の変化があったら、その度に、本当に大事なことは何か、もっと面白いことはないか、もはや面白くないものは何か、を自分自身に問う必要があるだろう。

シリコンバレーで流行る伊藤園のお茶

―― ところで、ここはカリフォルニア州マウンテンビューにある本社なのに、あなたがその手に持っているのは、日本の伊藤園が販売している「お〜い、お茶」ですよね?

リービン そうだよ、伊藤園の「お〜いお茶」。ウチの会社では、もうこれを飲むのが当たり前になっていてね。社員もみんな伊藤園が好きなんだ。

 私自身、毎日4〜5本飲んでいるし、だいたい50人ほどの社員が、それくらいの量を飲んでいると思う。オフィス全体での消費量は1日にだいたい200本くらい。とにかく多いよ。

―― そんなにポピュラーなんですか!? これって米国で普通に買える物なんですか?

リービン 最初はAmazon.comからオーダーして冷蔵庫に置くようにしていたんだけど、しだいにみんなが飲むようになってとても追いつかなくなった。

 そこで伊藤園と戦略的パートナーシップ(笑)を結ぶことにしたんだ。今では彼らが、アメリカ限定のショット缶シリーズも含めて、全部の種類を納品してくれている。1カ月でだいたい20から30ケースは飲んでいるね。今度、伊藤園の人が会社にやってきて、“利き茶”をすることになっているんだ。すごく楽しみだよ!

外村 私たちが伊藤園の製品を置くようになってから、伊藤園はシリコンバレー全体で大流行してね……今ではGoogleの本社にも毎月2000箱くらい納品されていると聞いたし、Twitter本社でも伊藤園の導入を始めた。

 いずれは、アップルの基調講演で、ジョブズがエビアンの代わりに「お〜い、お茶」を飲んでいる姿も見られるかもしれないな。

(注:その後筆者がTwitterでこの話題について書いたところ、ほかにもDeNA社傘下のng mocoが伊藤園を導入していることが分かった)

―― いったい「お〜い、お茶」の何がそんなにいいんですか?

リービン 私が飲み始めたのは、日本を訪問した時で、自販機で買ったんだ。砂糖も入っていないから、飲んでて罪悪感を感じることもないし、むしろビタミンCやカテキンを含んでいたりと、身体にはいいことづくめだ。ほとんどの社員は聞いたこともなかったけれど、今ではエンジニアたちも頭がさえると言って飲んでいる。

 おまけにペットボトルは、非常にきれいなEvernote色だし、「ITO EN」という名前も、まるで「ITO Ever Note」の省略形みたいで、なんだか縁を感じるね。

 きっと、Evernoteの会社としての使命に掲げている「記憶力の向上」にも効果があるんじゃないかな。今度、ぜひ調査して欲しいね(笑)。今度、伊藤園アプリケーションでも作ってみようかな……いや、Evernote Peekの伊藤園ノートを作るのが先かな? お茶の種類を記憶するためのノート、なんてどうだろう?(笑)

Evernote本社の冷蔵庫の、一番とりやすい最上段の棚を埋めていたのは「お〜い、お茶」だった。濃い方のお茶が人気なようで、残りわずかになっていた(写真=左)。伊藤園は英語でつづると「ITO EN」。ENはEvernoteの省略形でもある。確かに縁があるのかも。Evernote社のロゴマークが茶葉の絵に変わる日も近いかも(写真=中央)。外村CFOによると、伊藤園米国法人の「お〜い、お茶」ペットボトル版は、わざわざ日本から船便で輸送されているという。これに対して、米国限定発売の缶入りショットドリンクタイプのお茶もある。「Sencha Shot」「Oolong Shot」「Mate Shot」の3種類がある。缶にはAndrew Weilという有名な医師による推薦文も印刷されている(写真=右)

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月26日 更新
  1. 実売3万9800円でノートPCを3画面化! ソースネクストのデュアル拡張ディスプレイ「DGP-DMD1401」を試す (2026年09月25日)
  2. AndroidとChromeOSが融合した次世代PC「Googlebook」の実機を見てきた ――AI統合で何が変わるのか? (2026年09月25日)
  3. 新型「Mac mini」「Mac Studio」徹底レビュー! ローカルAIはついに“実用域”へ エージェントAIに事務仕事を任せて分かった驚異の進化 (2026年09月22日)
  4. なぜ競技用ゲーミングPCは光らない? HPSC久木留所長とマウス軣社長が語るアスリート支援の未来 (2026年09月24日)
  5. 「これはわれわれにとってのTGSだ」 ロジクールGが年に一度の旗艦イベント「Logicool G PLAY Tokyo 2026」を開催 熱気あふれる会場を現地レポート (2026年09月25日)
  6. “Vision Pro級”のMR体験が約100gの軽量グラスで? 最新の「Meta VR Glasses」を試して分かった圧倒的な快適性 (2026年09月25日)
  7. 12インチ「Surface Pro」と13インチ「Surface Laptop」に個人向けの第2世代が登場 Snapdragon X2 Plus搭載でメモリは最大24GBに (2026年09月24日)
  8. ロジクールGの新型マウス「PRO X3 SUPERSTRIKE」や8K対応キーボード「PRO X2 RAPID」を見てきた (2026年09月24日)
  9. GeForce RTX 5080は30万円超えの空気感――GPU高騰の裏で見つけた7割引の水冷パーツと8万円台の小型PC (2026年09月26日)
  10. 天空がCore Ultra 5を搭載した10.51型2in1ノート「TENKU Note Pro AI」を発売 (2026年09月24日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー