IvyBridge世代のCPUに対応するIntel 7シリーズチップセットがUSB 3.0をネイティブにサポートしたことで、これまでより10倍(理論値)も高速なUSB 3.0が本格的な普及期に入った。最近では、シーケンシャルな読み書きで一昔前のSSDに匹敵する転送速度を持つUSBメモリも登場している。
USBメモリの用途では外付けストレージが一般的だが、Ultrabookに代表されるような光学ドライブを搭載しない薄型ノートPCが増えたことで、OSを格納したUSBメモリを作成し、OSの再インストールやトラブル時の緊急ブートに備えるといった使い方も考えられる。手軽なサイズかつ内蔵HDDよりも高速なUSB 3.0対応メモリならば、これを1歩進めて、日常的に使うシステムドライブそのものを持ち歩く、といった活用法も現実的だろう。
そこで今回、現行最速クラスの製品としてSandiskの「Extreme USB 3.0 Flash Drive(SDCZ80-064G-X46)」と、東芝の「TransMemory-EX(V3O-064GT)」を取り上げ、各種ベンチマークテストで性能を比較してみた。いずれも64Gバイトの大容量モデルで、転送速度の公称値は、SDCZ80-064G-X46がリード最大190Mバイト/秒、ライト最大170Mバイト秒、V3O-064GTがリード最大220Mバイト/秒、ライト最大94Mバイト/秒だ。なお、高速なUSBメモリではZALMANの「High-speed USB3.0 Flash Drive」シリーズも検討候補に挙がったが、32Gバイトのモデルまでしかラインアップされていないため、日常的に使用するWindows 7(+アプリケーション)をインストールするという観点からここでは除外している。
それではCrystalDiskMarkの結果から見ていこう。2012年2月発売の「VAIO S(SA)」のオーナーメードモデル(Core i5-2520M、メモリ4Gバイト、USBコントローラは Renesas Electronics「UPD720200af1」)に各USBメモリを接続して測定した結果は、SDCZ80-064G-X46がシーケンシャルリードで185.2Mバイト/秒、シーケンシャルライトで151.8Mバイト/秒、V3O-064GTが226.7Mバイト/秒と90.25Mバイト/秒となった。ほぼ公称値通りの非常に高速なUSBメモリといえる。
また、同じコントローラをオンボード搭載するハイエンドなシステム(Core i7-3960X Extreme Edition+Intel X79 Express、メモリ64Gバイト)で試したところ、シーケンシャルリードでそれぞれ210Mバイト/秒、266.9Mバイト/秒とさらに高速な結果も出ている。下に掲載したグラフを見れば分かるように、VAIO S(SA)に搭載されている2.5型HDD(HTS547550A9E384)よりも圧倒的に速い。
ただし、Random Write(512K)の結果を見ると、特にV3O-064GTでは数値の落ち込みが激しく、内蔵HDDよりも劣っているのが分かる。通常はストレージとして利用されるUSBメモリでランダムアクセス性能は重視されないが、自分のPC環境をUSBメモリに入れて(USBメモリからブートして)使うという今回の趣旨では、この辺りがどの程度影響するのか気になるところだ。
次に、アーク情報システムの「BOOT革命/USB Ver.5」を使って、前述したVAIO S(SA)のシステムドライブを各USBメモリにコピーした。BOOT革命/USB Ver.5は、USBストレージや各種フラッシュメモリからWindowsを起動できるようにするソフトで、ウィザードに沿って数クリックするだけで簡単に自分のPC環境を外付けストレージにコピーできるのがウリだ。
また、コピーしたシステムを別のPCに接続して利用できる「どこでも起動」機能を搭載しており、出先で自分の環境を使いたいといった場合にも重宝する(なお、Renesas Electronics やASMedia TechnologyのUSB 3.0ドライバに対応したVer.5.0.2のアップデータが正式公開されている。ソフト側にオートアップデート機能がないため、使用する際は注意しよう)。
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