シマンテックの調査によると、インターネット犯罪の規模は、金額にして年間1100億ドル(8.6兆円)、1秒間に18人の被害者が生まれるほど拡大しているという。今後はソーシャルメディアやモバイル端末を狙う攻撃が増加するとみられており、成人の約3分の2がモバイル端末からインターネットにアクセスしているといわれる日本に置いても、この傾向は注視するべき状況だ。
こうしたインターネット犯罪の変化を受けて、シマンテックは「ノートン360 マルチデバイス」をリリースした。その名の通り、Windows/Mac/Androidに1本で対応する最新セキュリティスイートとなっている。製品担当者に新製品の特徴や機能を聞いた。
シマンテックはこれまで、ユーザーの持つ情報などを中心としたセキュリティの重要性を強調するために、難しい技術用語を避け、「大切なものを守る」という平易なメッセージでコンシューマーに訴えてきた。今回登場したノートン360 マルチデバイスも、このスローガンに沿う形で「複数のデバイスを守りながらもシンプルで使いやすい製品」を目指したという。
シマンテック リージョナルプロダクトマーケティングシニアマネージャーの吉田一貫氏は、「より安全に」「より簡単に」「より使いやすく」という3つのポイントから、ノートン360 マルチデバイスの特徴を解説した。
まず、安全性を追求した新機能で最も目を引くのが「Webインサイト」(SCAM INSIGHT)と呼ばれる保護技術だ。これは同社の情報セキュリティネットワークを土台とするレピュテーション技術をWebサイトの安全性判断に適用したもの。対象Webサイトの存続期間や登録フォームの有無、ノートンコミュニティ内での利用頻度などを総合的に判断して、詐欺サイトの可能性があれば警告を発する仕組みになっている。
インサイト技術はすでにファイルの危険性判断で利用されており、1.2億台のPC(5000万人以上のコミュニティユーザー)から情報を収集した巨大なバックボーンにより、危険なアプリケーションを定義ファイルの有無によらず排除できるなど、高い成果を上げている。これがフィッシングサイトなどにも適用されるわけだ。
吉田氏は「例えば、Facebookの投稿にリンクが含まれていた場合、ユーザーがURLをクリックすると、ジャンプする前にそのサイトにどういった危険性があるのか警告します。ユーザーはその助言をもとにして、実際にそのサイトへ訪れるかどうかを判断できるのです」と説明する。「この機能はあくまでも、コミュニティの“評判”から判断材料を提示するだけですが、従来通り悪意のあるWebサイトはフィッシング対策機能でブロックすることもできます」と付け加える。
なお、Web利用時の保護機能として、検索サイトの結果に安全か危険かの情報を付加するセーフウェブサイト評価も従来通り利用できる。今回このセーフウェブサイトが「mixi」に対応し、ソーシャルネットワーク経由の危険を低減しているのもトピックだ。今後も国内ユーザー向けに対応SNSを増やしていくという。
このほか、同社がSONARと呼ぶビヘイビアエンジンの改良や、より深いレベルでの定義ファイルベースの保護(買収したベリタスの技術を用いている)など、基本的な保護性能も向上したという。さらに今回、マルウェアの検知や保護機能だけでなく、正常な環境に戻す「修復」機能も加わっている。
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