「G-Master Cutlass-ITX」の“PCゲーム耐性”をチェックしたこりゃ、かっとぶぞ! ゲェェェム!!(2/3 ページ)

» 2012年09月27日 15時30分 公開
[林.佑樹(撮影:矢野渉),ITmedia]

Mini-ITXにあるまじき拡張性をチェックする

 PCケースの内部では、Mini-ATXフォームファクタのマザーボードを垂直に立てるのではなく、水平に設置するため、高さは404ミリとミニタワーケースクラスだが、幅は水平に設置する分、250ミリと、実はフルタワーのPCケースよりも大きくなっている。そのため、意外なことに設置場所を選ぶことになるだろう。

 「G-Master Cutlass-ITX」には、大型のハイエンドグラフィックスカードを搭載できるほか、3.5インチシャドウベイを2基備えている。Prodigyのドライブベイは「FlexCag」というモジュラー構造で、ベイの取り外しやHDDの増加などが可能だ。ツールフリー構造なのでドライバーなしでケース内にアクセスできる。

サイドカバーは左右とも手回しのネジで取り外せる。左側面からは拡張スロットと電源ユニット、3.5インチシャドウベイにアクセスできる(写真=左)。右側面からはマザーボードと水冷ユニットにアクセス可能だ(写真=右)

3.5インチシャドウベイは工具なしで搭載するデバイスを取り外せる(写真=左)。電源ユニットは、Antecの650ワット級モデルで80PLUS BRONZE認証を得ている「EarthWatts EA-650」を搭載する(写真=右)

 吸気と排気の性能では、フロント部分に12センチ径ファンを1基、背面と天板に12センチ径ファンを2基という構成になっている。背面ファンは、メンテナンスフリーの水冷ユニットでCorsairの「CWCH60」を搭載するため、ケース内部のエアフローではなく、主にCPUの冷却目的といったところだ。

ケースファンはフロント、天板、背面に12センチ径クラスを設けるほか、電源ユニットのファンも利用する。天板とサイドパネル、底面電源ユニットファンには取り外しできるフィルタを用意してホコリの進入を防いでいる

水冷ユニットはCorsairの一体型モデル「CWCH60」を搭載する(写真=左)。内部ではマザーボードを水平に配置している(写真=右)

Cutlassは長時間の戦闘に耐えてくれるのか?

 意外と見過ごされがちだが、ゲーミングPCの命題は、ハイエンドな設定で快適に、かつ、長時間安定して動作するか否かにある。ゲームタイトルにもよるが、オンラインゲームであれば、6時間ぶっ通しなんていうことは多いし、PSO2を12時間ほどプレイして、そのまま放置して仕事ということがよくある。となると、その間もPCは常時高負荷の状態になるわけだ。

 G-Master Cutlass-ITXは、横幅がフルタワークラスで、PCケース内のエアフローについてはあまり心配していなかったが、CPUクーラーユニットが水冷である点が気になる。実際のエアフローをチェックすると、正面から吸気して背面と天板から排気する。内部の奥行きはあるものの、それでも狭いPCケース内であるため、CPUの熱がチューブ経由で背面排気ファンから逃げるとしても、マザーボードの発熱やグラフィクスカードの基板側の放熱でどうなるだろうか。

吸気が青色の矢印で、排気が赤色の矢印で示した。G-Master Cutlass-ITXのエアフローは正面吸気、背面と天板排気になる。エアフロー的に電源ユニットは独立し、グラフィックスカードの吸気は、サイドパネルのスリットからになる。吸気量が少ないように思えるが、排気ファンが多いほか、正面パネル末端部のスリットとサイドパネル吸気口からの自然吸気もある

高負荷ベンチマークテストマラソンでそこまでいける?

 水冷ユニットを用いたMini-ITXフォームファクタのキューブPCは、高負荷条件でどこまで耐えられるのか。チェック方法は二通りある。まずは、PSO2を最高設定に、かつ、解像度を1920×1200ドットのフルスクリーン表示で開始して、プレイヤーの多いロビーで画面を回転し続けてみた。テスト時間は8時間。1時間ほど経過すると、GPUが熱を持ち始めたため、排気音が大きくなったが、ゲームのBGMでかき消せるほどのボリュームだったため、プレイに支障はない。CPU温度は、Hardware Moniterで55度前後、GPU温度は62度前後だった。水冷ユニットとしてはCPUの熱を十分に逃がしている。

 意外と無難な結果だったため、もう1つのチェックは厳しくしてみることにした。ゲーミングPCは「フルスクリーン」で行うというイメージが先行しているが、実際にオンラインゲームをやっていると、WikiのチェックやSNSへの投稿、そして仕事の電話を受けつつ……などなど、“ながらプレイ”になるため、ウィンドウモードが基本になるユーザーも多い。アニメを見ながらプレイするということもあるだろう。

 最近はストリーミング配信を許可するゲームタイトルも増えているため、実況配信をするというユーザーもいる。これは、配信画質を重視しだすと大変な世界で、エンコーダー処理にCPUのパワーを持っていかれるため、最高設定状態でゲーミングとなると、ハイエンド構成でないと厳しい。そのときの負荷は、フルスクリーンのゲーム動作以上に高く、かつ、安定した動作が求められる。

 といった条件を再現した上で、さらに過酷な条件として、Furmark系のベンチマークテストを走らせつつ、Prime95を実行、さらにExpression Encoder 4でFurmark系ベンチマークテストの画面を取り込みつつ、取り込みデータをストレージに保存した。CPUとGPUはフルロード状態で、かつ、マザーボードとHDDにも常時負担をかけ、電源ユニットの負荷も高い。

高負荷チェック終了時の画面。エンコードは1280×720ドットで画面を取り込み、640×360ドットでストリーミングし、そのデータをHDDに保存する。ドロップフレームもなく、スムーズにエンコードを継続しているのが分かる。なお、画面の取り込みにSCFH DSFを使用したため、Windowsはベーシックテーマの表示になっている

 チェックは2時間を2セットで行った。Expression Encoder 4のエンコード時間をタイマー代わりにチェックしていたところ、開始5分ほどでGPU温度が78度に到達し、ファンの騒音がかなり大きくなった。その後は76〜78度を維持している。CPUの温度は、約10分ほどで65〜68度で安定している。HDDの温度については、吸気ファンが直前にあるためか、35度前後を維持している。グラフィックスカード基板の放熱もうまく処理しているようだ。2時間のチェックを2セットとも完走したので、重度のPCゲームプレイヤーも安心だろう。

 吸気ファンと天板の排気ファンは、常に1800rpm前後を維持し、背面排気ファンは、フルロード時に4200rpm前後を維持する。しかし、あまり騒音は気にならなかった。

 なお、実際のゲームタイトルでは、上記のようにCPUもGPUもフルロードになるケースはまずなく(よほどのロースペック機は別)、半分くらいの負荷が長時間続くことになる。そういった面から見ても、上記のチェックをクリアした時点で、長時間のゲームプレイに耐えてくれると評価できるはずだ。

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