電子書籍時代の文豪は一太郎で幽玄の境地に ジャストが「一太郎2013 玄」発表

» 2012年12月04日 18時00分 公開
[西尾泰三,ITmedia]

 ジャストシステムは12月4日、2013年2月8日に発売予定の製品群を発表した。発表されたのは「一太郎」「ATOK」の最新バージョン。

 日本語ワープロソフト「一太郎」は、2011年のバージョンからそのバージョンを象徴する漢字が一文字添えられるようになった。2011年は「創」、2012年は「承」、そして今回の一太郎2013に添えられた文字は「玄」だ。

 日本独特の美的理念である“幽玄”。優れた作品は、言葉では言い尽くせない情緒や趣を持つとして「幽玄の境地」と評されることがある。「一太郎2013 玄」では、「言葉」と「写真」に着目、新鮮な気持ちで言葉と向かい合い、その背景に思いを馳せることで、より洗練された文書作成が行えるようにとの思いから、この文字が選ばれた。

 「一太郎2012 承でEPUBに対応した後、弊社では新たな潮流を感じている」と同社コンシューマ事業部企画部の大野統己氏。使い慣れた環境を求めて最新バージョンを求めるユーザーだけでなく、電子書籍の制作環境を求めて同製品を使う新規ユーザーの登場がその顕著な例だ。折りしも2012年は電子書籍市場は個人出版の領域も含め、大きく動き出した年。直近ではAmazonのKindleダイレクトパブリッシング(KDP)などが個人で出版したいというユーザーから大きな注目を集めている。そうした“個人創作時代の執筆スタイル”を担う製品にしたいと大野氏は話す。

洗練された文章を生む新ツール「感太」

 そうしたコンセプトの下開発された一太郎2013 玄では、「感太」と呼ばれる新たなツールを搭載。一太郎画面上に、ことばと写真・イラストを組み合わせたかるたのようなカードを、一定の周期で切り替えて自動で提示し、書き手が文書作成のヒントや新しい発想を得ることを支援するものだ。

感太を使った一太郎編集画面(画面右上が感太)
感太ウィンドウを大きくしたところ

 感太では季節・転向・色表現、オノマトペ(擬声語)などさまざまなジャンルの美しい日本語が提示される。ランダムな提示ではなく、日本語形態素解析技術を用いて本文の内容を解析、季節や作業時間帯などの条件に基づいて行われ、書き手のインスピレーションにつながるよう配慮されている。「極月」「瑞雲」「朱色」など、豊かな四季と情景に紡がれてきた奥深い日本語表現が約2000語用意されており、より洗練された文章を生み出すのに役立つだろう。

 それぞれの言葉にはアマナイメージズの高品質な写真が添えられており、気に入ればその画像を本文に写真素材として取り込むこともできる(商用利用も可能)。ユーザーの要望が多ければ、定期的なアップデートも行いたいとしている。

固定レイアウト型EPUB出力にも対応、mobi形式の出力サポートも

 「すでにテキスト主体の創作といったステージから次のステージに移りつつある」と大野氏。一太郎2013 玄ではEPUB出力に関して、これまでのリフロー型だけでなく、固定レイアウト型も新たに選択可能になった。

 テキスト主体のものであればリフロー型でよいが、図版が多く含まれ、レイアウトに意味があるようなものはリフロー型では意図した通りの出力にならない。そのため固定レイアウト型EPUB出力をサポートすることで、作者が一太郎上で作成した通りの出力を行えるようにした。固定レイアウト型のサポートに伴い、写真などの図版をきれいな形にレイアウトするテンプレートなども用意されている。

 また、リフロー型での出力も改良が図られており、例えばiBooksなどで利用できる脚注のポップアップ表示用のデータを出力できるようになっている。また、一部の外字や異体字、重ね字などを環境依存させないよう自然な形で画像化する設定も用意された。

固定レイアウト型の出力設定
特殊文字の画像化

 そのほか、一太郎2013 玄の発売後ほどなく、AmazonのKindle向けの機能も提供予定と発表された。具体的にはKindle専用フォーマットであるmobiファイルでの出力にも対応するということだ。

 一太郎2013 玄の価格は2万1000円。統合グラフィックソフト「花子2013」、読み上げソフト「詠太3」に加え、国語辞典「デジタル大辞泉 for ATOK」や、美しくて読みやすい活字書体「秀英体」を搭載した上位版「一太郎2013 玄 プレミアム」(2万6250円)と、音声認識ソフト「ドラゴンスピーチ11J」などを同梱した最上位版「一太郎2013 玄 スーパープレミアム」(3万4650円)も併せて発売する。

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