日本マイクロソフトは2月6日、「新しいOffice」の発売に合わせて、製品の概要や販売戦略を説明する記者発表会を行った。新Officeは2013年2月7日に発売する。
説明会では、まず日本マイクロソフト代表取締役社長の樋口泰行氏が登壇し、新OS「Windows 8」の売れ行きについて述べた。「2012年10月末に発売したWindows 8は好評だ。Windows 8のライセンス販売は6000万本を超え、Windows Storeからのアプリダウンロード本数も1億を超えている。Windows 8マシンの需要に対して、タッチパネルの供給が追いついていない部分もあるが、時間とともに解決するだろう。これから春商戦、夏商戦とWindows 8がさらに普及するように引き続き力を入れていく」(樋口氏)。
新Officeの概要は、日本マイクロソフト業務執行役員 Office ビジネス本部 本部長のロアン・カン氏が解説した。今回のOfficeは「ライフスタイルの急激な変化に合わせた」(カン氏)製品だという。カン氏はライフスタイルの変化について、以下の4点を挙げた。
これらの要素を踏まえ、「多様化するデバイスに合わせたUI」「もっと賢く、使いやすく」「クラウド/SNSとの連携」に注力したのが、今回の新Officeだ。
UIや画面デザインの変更は、Windows 8発売後、スマートフォンやタブレット、PCといったさまざまな画面サイズのデバイスが登場したことに加え、キーボードとマウス、タッチ操作、ペン操作と入力方法の種類も増えたことが背景にある。新Officeでは、デバイスによってボタンの大きさを変えたり、カラーパレットの大きさがマウス操作とタッチ操作で変わるなど、すべてのデバイスや入力方法に適したUIになるよう調整している。
「もっと賢く、使いやすく」については、すでに入力したデータから、ユーザーが求めているであろうデータをExcel側が推測して自動で入力する「フラッシュフィル」機能や、表中の数値から、ユーザーの目的に最も合致するであろうグラフの種類をExcel側が候補に挙げる「おすすめグラフ」機能などを紹介した。
「Officeはさまざまな機能を備えているが、PCに慣れていない人の多くはどのような機能があるかを知らない。Officeをより多くの人に使ってもらえるようにするには、リボンUIに機能を追加するだけではダメ。こちら側が機能を提供するのではなく、ユーザーの視点に立った機能も追加した。PCに詳しくない人でもOfficeのメリットを享受できるようにする必要がある」(日本マイクロソフトOfficeプロダクトマーケティング部 エグゼクティブプロダクトマネージャの松田誠氏)
新Officeで作成されたコンテンツはすべてSkyDriveへ保存される。これがクラウド/SNSとの連携機能の根幹となる。SkyDrive上にファイルをアップすることで、クラウド上で複数ユーザーの共同編集が行えることも新Officeの大きな特徴だ。Facebook、LinkedInといったSNSへの投稿も簡単に行える。よりリッチな情報を共有したいというニーズに応えたという。
なお、SkyDriveにアップされたデータは、ローカル側にもキャッシュで保存しており、ネットワーク未接続時にキャッシュデータの編集を行えば、ネットワーク接続時に自動的に同期が行われる。
このほか、新Officeは消費電力を低減する工夫も行った。従来のOfficeでは文字入力の際にカーソルが点滅するが、新Officeでは一定時間操作がないと点滅が止まる。「こうした小さな改善を積み重ねることで、消費電力は下がる」(カン氏)という。タブレットなど、バッテリー容量が比較的少ないデバイスでもOfficeを使用することを想定した機能だ。
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