なんとかセットアップが完了し、家庭内LAN環境では利用できるようになった我が家のQNAPくん。現在は複数台のPCでファイルサーバやデータバックアップ用NASとして使っている。特にAndroid端末をいちいちPCに接続せずにデータのやり取りができるようになったのはうれしい。で、この便利さを外部とのやり取りにも広げたいとなるとQNAPに外部からアクセスするための設定を行うことになる。今回はそんなお話。
と、その前に、大事なことを確認しておきたい。
連載開始時にリファービッシュのHDDが認識されないというトラブルによって、NASが使えるようになるまで相当ムダに回数を消化してしまった点は、再度ここでおわびしたいのだが、大事な注意事項としてお伝えしておきたいことがある。
一般向けとはいえ、NASは重要なデータを保存しておくために利用する機器。ということは、HDDにリファービッシュ品を使うのは、なるべく避けたほうがいい。トラブル発生=記事のネタ(=メシの種)になる筆者とは違い、通常はHDDを何度も購入しているわけにはいかない。
しかも、ネタとしてはよかったが、負けを取り返す的な悪ノリで、新たに購入したのがリファービッシュされる前のHDD(ウェスタンデジタル製HDD)だった、というのもあまりほめられた行為ではない。結果は無事、何ら問題なくHDDを認識できたわけだが……。
本来、重要なデータを守るという意味では、ハードウェアも壊れにくい高耐久・高信頼性な製品を選ぶのが基本だ。もちろん、入れ物側のQNAPはその点においても安心できる。しかし、筆者が購入したウェスタンデジタル「WD Green」シリーズは、いわゆる“緑デジ”と呼ばれ、用途が一般ユースであってデータバックアップの用途を含めたNASに使うというのはあまりおススメできない。
NASに搭載するのであれば、高信頼性の「WD Black」やNAS向けの「WD Red」などが用意されているので、本来であればそちらを使うのがセオリーであることをお断りしておく。高耐久・高信頼性のHDDを使うこと、大事なことなので2回言いました。ただ、本連載は「失敗してナンボ、つまずいてナンボの姿勢」が基本なので大目に見てほしい。
それでは本題に移ろう。
さて今回は、LANでアクセスできるようになったQNAP環境を発展させ、外部からQNAPくんにアクセスできるように設定していきたい。QNAPには、外部からNASにアクセスできるサービスとして「MyCloud NAS」が用意されているので、これを設定してみる。
その前にまず、QNAPに外部からアクセスできるメリット・デメリットを整理しよう。まずメリットだが、自己管理なので何より自由度が高いということ。そして初期の導入コストはかかるものの、導入してしまえば、運用で決まった金額が必要ない(もちろんネット回線の料金はかかる)。つまりほとんど無料で使えるということ。
有料・無料のクラウドストレージでは、Flickrが無料ユーザーにも1Tバイトのストレージを割り当てるという発表があったが、QNAPの場合、内蔵HDDの容量がほぼストレージなので、例えば3TバイトのHDDを搭載していれば3Tバイトまで利用できるといった具合で容量的にも十分だ。
また、QNAPに個別にIDを作ってストレージを割り当てることで、数Gバイトのデータの受け渡しも楽に行うことができる。無料のストレージサービスでは、アップロードできる1ファイルのサイズに制限があり、それを超えるようなファイルは、分割するか有料の転送サービスを利用する方法しかなかった。
一方、QNAPであれば、1ファイルの最大サイズに捉われることなく、ファイルをやり取りすることができる。これらをまとめると、
QNAPを外部から利用できるメリット
ということになる。
逆にデメリットを考えてみよう。まず自己管理ということは、メンテナンスを含めてすべて自分で面倒を見ないといけない。ある程度の知識がないと運用できない。トラブル時の対応ももちろん自己責任ということになる。普段の管理が甘かったり、不要なサービスを走らせてしまう、あるいは推測されやすいIDやパスワードの利用といったように、セキュリティ意識が低いと簡単にNAS内部にアクセスされてしまう可能性がある。
QNAPを外部から利用できるデメリット
以上のメリットとデメリットを天秤にかけて、今回は外部からアクセスするほうがメリットになると考えたので、QNAPを外部に公開してみよう。
なお、VPN(仮想プライベートネットワーク)を構築して家庭内LAN全体にアクセス、そしてLAN内部のQNAPにアクセスするという方法もあるのだが、LAN全体に外部からアクセスするよりは、QNAPだけを外部に公開したほうがセキュリティ上好ましいだろう。
ということで、QNAPを外部に公開するためにQNAPの設定を行う管理画面にアクセスする。なお、管理者権限を持たないユーザーIDでアクセスした場合は、QNAP内の管理画面にアクセスできないので注意。必ず管理者権限を持つユーザーIDでアクセスしよう。管理画面はQNAP Finderから呼び出せる。
Webブラウザが開いてQNAPのアクセス画面が表示されるので管理者権限を持つユーザー名とパスワードを入力してログインする。すると、QNAPのWebアクセス画面が表示されるので、そこにあるメニューアイコン「各種管理」を呼び出す。このアイコンは前述したように管理者権限を持つアカウントでアクセスしたときだけ表示される。
各種管理の画面「MyCloud NASウィザード」を起動する。あとは「高速セットアップ」にチェックを入れて、ウィザードにしたがって設定して行くだけだ。まずはネットアクセスのためにQNAPに付けた名前を入力する。入力後に横にある「確認する」をクリックするとチェックされて、グリーンのチェックマークが付けばOKだ。
次に公開するサービスを設定する。ここでは外部からのアクセスで必要なサービスだけにチェックを入れること。ファイルのやり取りだけでいいなら「Web File Manager」だけにして「Multimedia Station」「Photo Station」「Music Station」のチェックを外すか、使わない機能は無効にしておくといいだろう。
設定が完了すると、QNAPの公開用サービスサイト経由で自宅のQNAPが外部に公開されているはずだ。試しにそのサイトにアクセスして自分で設定したNASの名前を入力して検索してみよう。見事検索できたらIDとパスワードを入力してログインしてみよう。「passed」と表示されればログインできている。つまり外部に公開できているということになる。
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