MeMO Pad FHD10のボディは背面に向かって絞り込まれた丸みのあるフォルムで、もっとも薄い部分は2ミリ程度とかなり薄い。本体サイズは約264.6(幅)×182.4(高さ)×9.5(厚さ)ミリと10.1型Androidタブレットの中でも薄い部類に入る。重量も568グラムと軽くとても持ちやすい。バッグへの出し入れもしやすいので、気軽に外へ持ち出せる。
背面は細かな凹凸を施しており、サラサラとした手触りだ。金属素材を使って高級感を演出する製品もあるが、こちらはプラスチックの素材を用いてボディの軽量化を実現しつつ、カジュアルかつ落ち着いたデザインに仕上げている。指紋が目立ちにくいところも好印象だ。
特徴は1920×1200ドット表示に対応したディスプレイだ。視野角の広い(上下/左右178度)IPSパネルを採用しており、10点マルチタッチにも対応する。画素密度は約224ppi(1インチあたりのピクセル数)と高く、“Retinaディスプレイ”ほどではないものの、通常の視聴距離でドットを感じない精細な描写で写真や動画を楽しめる。
輝度は十分に高いが、ディスプレイの表面は光沢仕上げなので、自分の顔や照明がはっきりと映り込む。評価機は初期状態でクセのない発色だったが、ディスプレイの色合いをASUS独自の機能「ASUS Splendid」で調節することも可能だ。色温度や彩度などをユーザーが指定でき、自由に変更できる。こうした画質調整機能はタブレットではまだ珍しく、自分好みの画質に追い込みたいユーザーにもってこいだ。
外部出力はMicro HDMI出力を備えるほか、Wi-Fi Miracastに対応しているので、対応ディスプレイやアダプタを利用し、無線LANで画面の伝送が行える。ただし、外部出力の解像度は最大で1920×1080ドットのフルHDと、本体の解像度よりもやや落ちるところは注意したい。
本製品はAndroidタブレットとしては珍しく“Clover Trail+”世代のCPU、Atom Z2560(1.6GHz)を搭載している。デュアルコアだが、Hyper-Threadingにより4スレッドの同時処理が行える。メモリ容量は2Gバイト(DDR3LM)で、データストレージは16Gバイト(eMMC)だ。今回は同じ10.1型Androidタブレットで、2560×1600ドット表示に対応するグーグルの「Nexus 10」および東芝の「REGZA Tablet AT703」とスコアを比較した。
テスト結果は、Tegra 4を搭載するREGZA Tablet AT703には及ばないものの、Nexus 10に比較的近いスコアとなった。Nexus 10もクアッドコアのGPU(Mali T604 MP4)を搭載していることもあって、グラフィックスではMeMO Pad FHD10のスコアがやや低めとなっているが、CPU関係のスコアでは健闘している。メモリ容量も2Gバイトであるため、ホーム画面の切り替えなどもサクサクと動き、快適にアプリケーションを楽しめた。実利用で不満を感じることはないだろう。
バッテリーテスト(最大輝度でYouTube動画を連続再生)の結果は約6時間半だった。カタログ値の約10時間には及ばないものの、半日外に持ち出すくらいならば、バッテリーの心配をしなくて済みそうだ。輝度を落とせばさらに動作時間は延びる。発熱については、ベンチマークテスト中に背面上部が約33.6度(室温26度)まで上昇したものの、ほんのり温かいと思うくらいで、あまり気にならなかった。
※バッテリー駆動時間テストでは、ディスプレイの輝度を100%、Wi-Fiオン、音量50%に設定し、満充電からバッテリーがなくなるまでの時間を測定
MeMO Pad FHD10の実売想定価格は4万4800円前後だ。弟分とも言える7型Androidタブレット「MeMO Pad HD7」が圧倒的なコストパフォーマンスを備える製品だっただけに、価格面のインパクトはやや弱い。
とはいえ、1920×1200ドットの美しいディスプレイに、高音質のスピーカー、薄型軽量ボディ、隙のない基本スペックと10.1型Androidタブレットに必要な要素はきっちりと抑えている。Google Playでの映画鑑賞や高解像度フォトビュワー、雑誌など細かい文字が多い電子書籍のリーダーといった用途を考えているならば、有力な候補となる。画面の無線伝送が可能なMiracastに対応するなど将来性もあり、長く使える1台になるはずだ。
また、同製品には専用キーボードカバー「Folioキーボード」もオプションで用意している。文書作成など作業用として使うならば、これを導入するのもいいだろう。
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