GRANNOTEに導入されたシニア向け仕様の中でも「使いやすさ」や「疲れにくさ」を追求したテンキー付きの日本語キーボードは実に興味深い。
このキーボードで最大の特徴は、約3ミリという深いストロークを確保していることだ。最近の最薄Ultrabookでは1.1〜1.4ミリあたり、通常のノートPCでも2ミリ前後が主流なだけに、約3ミリというのは異例だ。
それは外観からも感じられる。キートップのみを表面から露出するアイソレーションデザインを採用しているが、表面から露出したキートップはまるで地殻変動などで隆起した岩のようでもあり、特別な仕様であることを物語っている。
テンキーを配置したこともあり、キーピッチは約18.4ミリと、フルサイズキーボードの目安である19ミリには及ばないものの、日本工業規格(JIS)の推奨値(キーピッチ19ミリ±1ミリ、キーストローク2〜4ミリ)を満たすことにこだわったという。
また、ユーザビリティ調査の結果に基づき、キーの押下圧を位置に応じて3段階に分けることで、指にかかる負担を減らしているのもポイントだ。具体的には、スペースバーや「かな」キーなど最下段の中央付近は「重く」、その他の中央付近のキーとEnterキーなどは「普通」、端のキーは「軽く」といったように、打つ指の力に合わせて最適な押し心地になるよう、キーによって内部ラバーの反発力が変えてある。
さらには、キートップ手前が高くなるように傾斜をつけてタイプミスを防ぐ「ステップ型キートップ配置」、指を置きやすいよう微妙なカーブをつけた「球面シリンドリカルキートップ」といった「ナチュラルフィット」デザインを採用した。
文字が判別しやすいユニバーサルフォントを採用したほか、キートップ側面を明るいシルバーで着色して視認性を高める「サイドカラードキー」、パームレスト内蔵の近接センサーにより、手を近づけるとじんわりと光り出す「バックライトキーボード」も備えており、キー入力にかける熱意は半端ではない。
実際、タイピングの感触は絶妙だ。特にキートップの指の置きやすさ、スイッチの感触は非常に良好で、3段階の押下圧についても違和感がない。確かに長時間のタイピングでも疲れにくいだろう。パームレスト面に貼られたアクリルパネルは表面がすりガラス風でさらさらした手触りなので、手を置いた触感もよい。
ただし、キーピッチは約18.4ミリと、深いキーストロークに対して少しだけ狭いうえ、それぞれのキートップが大きく飛び出しているため、指を移動する際に隣接したキートップに接触しやすい面がある。もちろん、触れるくらいではスイッチは入らないため誤動作の心配はないが、ここは通常のキーボードに比べて少し慣れが必要に感じた。
キーボードの左奥には、4つのタッチセンサー式ワンタッチボタンも装備している。「MODE」はあわせる設定/ユーザーモード(後述)の切り替え、「ECO」は通常モードと省電力モードの切り替え、「MENU」は@メニュー(利用ガイドソフト)の起動、「SUPPORT」は@メニューのヘルプ項目を開く仕組みだ。
ポインティングデバイスにもこだわっている。ホームポジション直下には2ボタン式のタッチパッドを搭載。センサー面は103(横)×52(縦)ミリと広い。最近採用例が増えている左右ボタンを一体化したクリックパッドではなく、左右クリックに独立したボタンが設けられており、押し心地も良好だ。
このタッチパッドにはアルプス電気のドライバが導入されている。エッジスワイプ操作など、Windows 8.1固有のジェスチャー操作はもちろん、2本指での上下/左右スクロール、2本指の開閉による拡大/縮小など、さまざまなマルチタッチジェスチャー機能が利用可能だ。もちろん、液晶ディスプレイのタッチパネルに指で触れて操作してもよい。
さらにワイヤレスのホイール付きレーザーマウスも付属する。中央ホイールは上下スクロールのほか、押してから回すことで画面の拡大/縮小が可能だ。ここにもシニアのユーザーに向けた配慮が見られる。スクロールホイールは左に倒すとチャーム表示、右に倒すとアプリ切り替えの機能が利用できる。ホイールの下にはスタートボタン、左右側面にはWebブラウザの「戻る/進む」に対応するボタンもある。
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