「GRANNOTE」――富士通の“洗練された大人世代PC”を徹底検証(使い勝手編)注目PC詳細レビュー(1/3 ページ)

» 2014年04月17日 17時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
ココが「○」
・深さ3ミリで使いやすいキーボード
・輝度や色味を自動調整するHCE
・独自のサービスやサポートを用意
ココが「×」
・価格帯が高めの1モデル展開
・データストレージがHDDのみ
・キーピッチはあまり広くない

はじめに:人生を楽しむ、大人世代向けの新PCブランド

 「洗練された大人のパソコンで人生を豊かに」――そんなコンセプトを掲げた富士通の「GRANNOTE(グランノート)」は、60歳を中心とするシニア向けの新しいPCブランドだ。

 これまで同社がシニア層に拡販してきた「らくらくパソコン」は、PC初心者向けの製品だったが、GRANNOTEの開発においては「シニア層=PC初心者」という考え方を改め、仕事などでPCを使ってきた活動的なシニア層が満足できるような製品を目指した。独自仕様を多数盛り込むことで、サービスやデザイン、使いやすさを徹底追求したという。

 今回はGRANNOTEの第1弾として登場した「FMV LIFEBOOK AH90/P」を入手したので、その使い勝手や性能をじっくり検証していこう。

富士通の「GRANNOTE」(FMV LIFEBOOK AH90/P)。ぱっと見は他と変わらない大画面ノートPCに見えるかもしれないが、至るところに「大人世代向け」の工夫が詰め込まれている。富士通 WEB MARTでの直販価格は通常22万6080円(税込)、7%オフクーポン適用時で21万254円(税込)だ(2014年4月17日現在の価格)

 大人世代を意識して上質感にこだわったというボディは、シンプルで落ち着きのあるデザインだ。特にキートップのみを露出するアイソレーションデザインでありながら約3ミリと深いストロークを確保するキーボードは、見た目にもインパクトが大きい。据え置き利用がメインのボディは、サイズが377.1(幅)×263.7(奥行き)×31(高さ)ミリ、重量が約2.8キロ。光学ドライブ搭載の15型ノートPCとしては扱いやすいサイズにまとまっている。

 また、富士通のスマートフォンでおなじみの独自技術「HCE(ヒューマンセントリックエンジン)」を初めてPCに搭載し、使う場所、使う人に応じた最適な使いやすさの提供にこだわり、周囲の環境とユーザーの年代に合わせて画面の輝度や色味、スピーカーの音質をインテリジェントに調整する機能を持つ。

 さらに、ネットショッピングや保険、オンライン将棋など富士通と提携するオンラインサービスを特典付きで楽しむことができ、サービス使用開始時の登録作業を電話やリモート操作でサポートする専用ダイヤル(利用回数/利用期限なし)も利用できるなど、購入後の活用までしっかりフォローするオールインワンPCに仕上がっている。

 液晶ディスプレイは15.6型ワイド画面、表示解像度は1920×1080ドット(フルHD)に対応する。10点マルチタッチ対応のタッチパネルを搭載し、画面に直接触れての操作も可能だ。視野角の広いIPSパネルを採用し、斜めからでも見やすく操作しやすい。

 CPUはUltrabookの上位クラスに採用例が多いCore i7-4500U(1.8GHz/最大3.0GHz)を搭載し、メモリ容量も8Gバイトと余裕がある。データストレージは1TバイトのHDDだ。今回は1モデルの展開で、直販限定のカスタムメイドモデルも用意されず、SSDまたはハイブリッドHDDを搭載できない点は、パフォーマンス志向のユーザーからすると少々惜しい。また、光学ドライブは見栄えがよいスロットイン式のBDXL対応Blu-ray Discドライブを右側面に内蔵している。

 有効画素数約200万画素のフルHDカメラのほか、側面にはSDXC対応SDメモリーカードスロット、USB 3.0ポートを4基、HDMI出力、有線LANを備えるなど、端子類も豊富だ。IEEE802.11a/b/g/nの無線LAN、Bluetooth 4.0+HS、NFCといった通信機能も持つ。随所に流行の仕様を取り入れつつも、使いやすさに関する部分は省略していない、堅実な仕様といえる。

ボディと製品概要:シンプルながら上質感や使い勝手への配慮が好印象

天面は細かなラメの入ったブラック、キーボード/パームレスト面から側面まではシルバー、底面はマット調のブラックだ(写真=左)。天面は艶やかな光沢塗装で仕上げているが、全体的なトーンは落ち着いていて嫌みがない。余計な装飾がなく、天面中央に富士通のシンボルである「インフィニティマーク」をあしらったシンプルなデザインは好感が持てる(写真=右)
液晶ディスプレイを開くと、青みがかったすりガラス風のキーボードベゼル/パームレスト面と、立体的なキーボードの造形が目に飛び込んでくる(写真=左)。キー間隔を離したアイソレーションデザインながら約3ミリストロークのキーボードはビジュアル的にも存在感がある。液晶ディスプレイを開くと、液晶ディスプレイ部の端が接地してスタンド代わりとなり、キーボードに適度な傾斜をもたらしつつ、画面へのタッチ操作が安定する(写真=右)。画面のチルト角度は約155度と大きく開く
液晶ディスプレイのサイズは15.6型ワイドで、表示解像度は1920×1080ドットに対応(写真=左)。広視野角のIPSパネルだが、最大輝度は最近の大画面ノートPCとしては高くないほうだ。斜めから見ると少し暗く感じる。表面処理は光沢と非光沢の中間にあるハーフグレアで、発色と映り込みの少なさを両立している。壁紙は他のFMV LIFEBOOKと異なり、実に落ち着いたデザインだ(写真=右)。画面が15.6型と大きいだけに、等倍表示でもテキストやアイコンの視認性は十分だが、シニア層を意識してか、標準で大きく見やすい設定(125%拡大表示)になっている
キーボードベゼル/パームレストには、すりガラス風の半透明なアクリル素材を貼っている。板材から切削して平滑さを演出したという。テンキー付きのキーボードは、約18.4ミリピッチ、約3ミリストロークを確保(写真=左)。上方からでも側面の端子類の種類が確認できるようアイコンが配置されているのもポイントだ。ホームポジションの直下には、103(横)×52(縦)ミリと十分な大きさのタッチパッドを搭載する。キーボードバックライト点灯時は、このアイコン部分やタッチパッドも光る仕組みだ(写真=右)。そのほか、ワイヤレスのレーザーマウスが付属する
前面(写真=左)と背面(写真=右)にインタフェース類は用意せず、すっきりとまとまっている
左側面は手前から、ヘッドフォン/マイク兼用端子、USB 3.0×3(一番手前が電源オフチャージ対応)、HDMI出力、SDXC対応SDメモリーカードスロット、排気口、セキュリティーロックポートを配置(写真=左)。右側面は手前から、スロットイン式のBDXL対応Blu-ray Discドライブ、USB 3.0、ギガビットLAN、ACアダプタ接続用のDC入力を備えている(写真=右)
グラスファイバー20%混入の強化樹脂を採用した底面もすっきりとしたデザインだ(写真=左)。手前側にパイオニアと共同開発したボックス型ステレオスピーカーを内蔵している。バッテリー(45ワットアワー)はボディに内蔵され、ユーザーが着脱できる構造にはなっていない。バッテリー駆動時間は公称値で約10.5時間(JEITA 1.0)と、こうした大画面ノートPCとしては長時間だ。付属のACアダプタは実測でのサイズが49(幅)×109(奥行き)×30(高さ)ミリ、電源ケーブルを含めた重量が約281グラムと、大画面ノートPCとしては比較的コンパクトで扱いやすい(写真=右)。出力仕様は65ワット(19ボルト/3.42アンペア)だ
OSは64ビット版Windows 8.1を採用。スタート画面には富士通の大人向けSNS「らくらくコミュニティ」や「HCE(ヒューマンセントリックエンジン)」設定メニュー(あわせる設定ユーティリティ)のタイルが用意されている(画像=左)。搭載するアプリ一覧(画像=中央/右)。Microsoft Office Home and Business 2013や電子辞書、富士通独自ユーティリティなど、同社のPCらしくソフトウェアは豊富だ

富士通

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