“新生VAIO”で変わること、変わらないことSONYロゴのないVAIO(1/2 ページ)

» 2014年07月02日 00時00分 公開
[後藤治,ITmedia]

新生VAIOの哲学は「本質+α」

VAIO株式会社まとめ

  • 従業員240名の変化に強い組織
  • 安曇野を拠点とした設計・製造一体の生産体制と“安曇野FINISH”による品質確保
  • 本質を追求し、ムダをそぎ落としたモノづくり
  • ソニーストアを中心とする販売

 VAIOは7月1日、新会社設立に関する記者説明会を開催した。既報の通り、新生VAIO第1弾としてラインアップされるのは、ウルトラスリムモバイルの「VAIO Pro」と、オールインワンスタンダードノート「VAIO Fit」の2シリーズ計3モデル。同日より個人向け製品の受注を開始しており、価格はVAIO Pro 11が12万円から、VAIO Pro 13が13万円から、VAIO Fit 15Eが10万円からとなってる(いずれも税別)。

 ここでは写真を中心に記者会見を振り返りつつ、これまでソニーで販売してきたVAIOとの違いをまとめてみる。

 新会社VAIOの代表取締役社長に就任した関取氏が記者会見で強調したのは「本質」という言葉だ。

VAIO代表取締役社長の関取高行氏

 現在のPC市場を振り返ると、日常的な作業ではタブレットやスマートフォンのような新しいITCデバイスがその役割を引き継ぎ、PCはかつてのように急成長が見込める市場ではなくなっている。ただしその一方で、関取氏は「生産的な作業、何かを創り出そうとするときにはやはりPCは必要だ。我々はこの先もPCはなくならないという信念を持っている」と述べ、PCを取り巻く環境が成熟したからこそ、その道具としての真価――本質的な機能や性能が求められてるとした。

 これまでグローバルで展開してきたVAIOは、長野県安曇野を拠点とする従業員240名の“小さな会社”のブランドに生まれ変わる。従来に比べて事業規模は大きく縮小されるが、同社が考える本質の追求という点においては利点もある。関取氏はこれを「組織」「設計製造」「商品」「販路」の4つの視点から解説した。

 まず1つは「組織」。240名規模になったことで、変化に強い組織を目指し、思い切った「選択と集中」を可能にする。2つ目の「設計製造」は、安曇野を拠点として製品企画から試作、量産まで設計・製造が一体となったモノづくりを推進する。また、ODM製品も含め、すべて最終的な品質チェックを安曇野で行う“安曇野FINISH”と呼ぶ製造モデルを構築する。

これからのVAIOが目指すのは「本質+α」

美しい風景を残す長野県安曇野で日本発のVAIOが製造される

 3つ目の「商品」も選択と集中を土台とし、ユーザーが本当に求めているものを追求することで、ムダを省いた商品作りを行っていく。例えば、これまではグローバルでフィードバックされるさまざまな意見を製品に反映するあまり、機能がてんこ盛り、悪く言えばPCの本質とは離れた商品になりがちだった。関取氏は「ムダなものをそぎ落とし、(PCの)本質に近づくその過程で、人の心に突き刺さるVAIOらしい製品ができるはずだ」と期待を込める。

 4つ目の「販路」は、直販に絞った販売によって、まずは現行VAIOユーザーに近い層へ訴求していく。具体的にはソニーマーケティングと販売代理店契約を締結し、同社の運営するソニーストアが販路の大部分を占めることになる。このほか、銀座、名古屋、大阪の直営店、また今後は一部量販店の店頭でVAIOを注文可能な場所も用意していくとしている。ただし、ソニーマーケティングとの販売代理店契約は排他的なものではないとしており、将来的に販路を拡大していく意向も示唆している。

まずはじめに投入されるのは「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」と「VAIO Fit 15E」。従来のVAIOファンにリーチしやすい、ソニーストア(販売代理店はソニーマーケティング)を中心に販売を行う

 関取氏は「PCの本質に迫り、一点突破の発想とVAIOの審美眼を哲学とするモノづくりをしていく。ソニーを離れて大丈夫かと不安を感じるかもしれないが、だからこそ本質という原点に立ち返り、ユーザーに愛される日本発のブランドを目指す」と述べ、新生VAIOの方向性を「本質+α」という言葉に集約した。なお、VAIOのコーポレートカラーは、理性の青と感性の紫を合わせた濃紺だ。

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