Windows PCを価格破壊するChromebook――廉価モデルは100〜200ドルが主戦場へ鈴木淳也の「まとめて覚える! Windows 8.1 Update」(2/3 ページ)

» 2014年07月22日 17時30分 公開
[鈴木淳也(Junya Suzuki),ITmedia]
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Netbookの衰退、タブレットの登場、そしてChromebookへ

 いつの間にか話題から外れていったNetbook。その原因は2つあると考えている。

 1つは「スペックが低く、できることが限られている」という点だ。当時のNetbookはIntelのAtom Nシリーズプロセッサを筆頭に比較的安価な部品が採用され、前述のスペック的な制限もあり(搭載メモリが1Gバイト以下など)、ノートPCとして常用するには少々きついものがあった。

 価格帯も400ドル前後で停滞したため、「お金をあと少し出せば、もっと使えるノートPCが手に入る」ということもあり、後期のNetbook需要の多くは「セカンドマシン」あるいは「本格的に投資するほどの予算はないが、PCはほしい」という層が中心だったと考えている。当初MicrosoftやIntelが考えていた「主力のPC事業において、低価格化の圧力を抑える」という目的はある程度達したわけで、自然な流れだったのかもしれない。

 一方でもう1つの潮流がNetbookにトドメを刺したと考えている。それが「タブレット」だ。2010年1月27日、Netbookブームが頂点にさしかかっていたころ、Appleは「iPad」を発表した。当時AppleのCEO(最高経営責任者)だったスティーブ・ジョブズ氏は、Netbookの抱えていた問題を指摘しつつ、MacとiPhoneに続く新カテゴリの製品としてiPadを紹介する。当時はそれほど、Netbookが注目を集めていた。

Netbookのデメリットを解説するAppleのスティーブ・ジョブズCEO(当時)

 Netbookの問題の1つは「PCでありながら、PCとして使うには十分なスペックを備えていない」という点だ。そこでAppleは、iPhoneで使われていたiOSを拡張する形でiPadのシステムを構成し、PC(Mac)とは別系統の製品として扱うことにした。

 「PCではない」と割り切った部分も功を奏し、当時のiPhone人気も相まって、iPadは好調なセールスを記録した。価格は一番安価なモデルで500ドルと決して安いわけではなかったが、それでも人が集まったのは製品としての完成度が高かったからなのだろう。

 後にAndroid OSがタブレット対応を進め、Samsungをはじめとする各メーカーが同じようなデザインコンセプトでAppleに追従したことからも分かるように、Windowsでなかなかブレイクすることのなかった「コンシューマー向けタブレット」というジャンルが成立した。

 先ほど挙げた「セカンドマシン用途」や「PCに投資するほどではないが、それなりの作業はしたい」といったNetbookの需要とタブレットの需要はかぶる部分が大きく、おそらくは2011年ごろを境にNetbookはタブレットへと取って代わられ、自然消滅へと向かったのではないか、と考えている。

このiPadの発表は、やがてNetbookブームに終止符を打つこととなる

 そして今度はChromebookの台頭だ。基本的にChromeブラウザで動くWebアプリの利用のみに特化したChrome OSをベースにしたマシンは、その性質上、それほど高いスペックは要求されないため、ハードウェア本体のコストを抑えやすい。

 もし、OSライセンス費用もかからず、低価格でPCメーカーがハードウェアを出荷できればどうだろう。実際、Chromebookの価格レンジは200〜250ドル程度が中心で、以前のNetbookやiPadなどと比較しても安価だ。

 「Webアプリの利用に、必ずしもPCが必要ではない」ということは、すでにタブレットで証明されているため、実際にChromebookだけで満足するユーザーも一定数はいると思われる。それでも冒頭のNPDの「Chromebookシェア9.6%」というデータは衝撃的で、さらなる分析は必要だが、おそらくはライバルであるMicrosoftやAppleといったベンダーもその存在を意識せざるを得なくなりつつある。

 実際、Googleが直近で発表した四半期(4〜6月期)の決算報告によれば、同四半期だけで学校へのChromebook端末納入台数が100万台を超えたという。同四半期における世界のPC販売台数が7600万台なので、微々たる数字にも見えるが、学校向け、そしてChromebookの提供が行われている地域のみ(おそらくは米国など一部先進国のみ)という条件を考えると、実際の比率はかなりの好成績なのではないかと予想される。

 また7月14日に発表されたばかりのNPDの最新データによれば、2014年1〜5月期の米国の商用販売チャンネルにおけるChromebookの販売台数は年率250%の伸びで、ノートPC全体の35%を占めるにまで至っているという。2013年にはSamsungのほぼ独占状態だったChromebook市場も、現在ではAcerやHewlett-Packard(HP)といったメーカーの比率が全体に高くなっており、競争が生まれつつある様子もうかがえる。

米国のショップでは、Chromebookコーナーが用意されて販売されていることも多い。写真は米ネバダ州ラスベガスのBest Buy店内だ

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