エプソンは9月2日、年賀状シーズンに向けて、個人向けインクジェットプリンタ/複合機の新製品10機種12モデルを発表した。同日都内で開催した発表会では、製品特徴や事業戦略の説明、新機種の展示を行ったほか、新しいCMキャラクターとなるAKB48の渡辺麻友さんも登場して会場に華を添えた。
今回発表したのは、「カラリオ」シリーズの複合機が7機種(カラーバリエーションを含めて計9モデル)、新設計の小型プリンタが1機種、「カラリオミー」シリーズの小型はがき/フォトプリンタが1機種、「プロセレクション」シリーズのA3ノビ対応フォトプリンタが1機種で計10機種12モデルだ。2014年9月18日から順次発売する。これらの概要は以下の記事を参照いただきたい。
発表会では最初にエプソン販売 代表取締役社長の佐伯直幸氏があいさつ。セイコーエプソン全体の戦略として、精密加工技術、TFT液晶パネル、インクジェットのプリントヘッドといった「コア技術」があり、これを用いて「プリンティング」「ビジュアルコミュニケーション」「生活の質向上」「ものづくり革新」の4大テーマに取り組み、「期待を超える製品により、世の中を大きく変えていきたい」とアピールした。
カラリオの新製品に関しては、「プリンタ市場が成熟してユーザーの買い替え需要が中心になっている中、さらなる家庭での利用促進・拡大を図るため、どのような製品やソフトが必要なのかを練り上げた」と述べ、開発の方向性についてユーザー視点から製品を洗練させることへのこだわりに触れた。
具体的に新製品がどのように進化したのかは、セイコーエプソン 取締役 プリンタ事業部長の久保田孝一氏が説明した。2014年の家庭向けプリンタは「使いやすさとデザインの両立」「さまざまな写真価値の提供」「簡単につなげて、どこからでも印刷できる」の3つの戦略を掲げたという。
1つ目の「使いやすさとデザインの両立」については、2013年モデルで小型化したラインアップのボディデザインを洗練させ、手差しA3印刷対応の複合機ハイエンドモデル「EP-977A3」に光沢のEPSONロゴを採用し、3色展開の主力A4複合機「EP-807A」シリーズでは液晶モニタの操作画面も本体とカラーを統一、さらに液晶モニタのサイズを4.3型ワイドに大画面化している。
これらはプリンタ利用時の準備動作が自動化されているのも特徴だ。USB、無線/有線LANの接続にかかわらず、プリンタが印刷ジョブを受け付けると、自動的に電源がオンになり、操作パネルと排紙トレイが開く。電源オフ時には自動で排紙トレイと操作パネルが閉じる仕組みだ。
さらにPX-047Aを除く複合機6機種とPF-70は、用紙セット時に操作パネルで用紙サイズ/種類を設定する機能を備えており、この設定をメモリカードからのダイレクトプリント時やスマホアプリ「iPhoto」からのワイヤレスプリント時に反映し、設定外の用紙への印刷命令にはエラーを出すことで、印刷時の用紙設定ミスを防いでいる。
EP-977A3については、用紙搬送の見直しにより、A3写真印刷の速度を前機種に比べて約1.5倍高速化し、2分以下でA3印刷が可能になった。
2つ目の「さまざまな写真価値の提供」で仕掛けるのが、主に女性ユーザーを開拓すべく新開発した小型プリンタ「PF-70」だ。2004年春に女性向けの小型フォトプリンタ「E-100」を発表してから10年、次世代コンパクトプリンタのあるべき姿を求め、20〜40代の女性を中心に「プリントを行いたいシーン}を徹底的に検討し、新規に開発した。
検討の結果、PF-70には無駄なく必要な分だけ使える「ロール紙のシール」、継ぎ足しして長期間利用できる「A5サイズの手作りフォトブック」、簡単に操作できる「スマホアプリ」、カードサイズからA5まで対応する「幅広い用紙サポート」の4つを実現した。本体に合わせて、純正のロール紙やフォトブックも新たに発売する。
このフォトブックは複合機のEP-977A3、EP-907F、EP-807AB/AW/ARでも作成可能だ。EP-977A3はスタンドアロンのダイレクト印刷機能として、複数の写真を組み合わせてストーリー調に編集・印刷できるテーマレイアウト機能、A3対応のカレンダー印刷機能も搭載した。
ボディの小型化もPF-70の大きな特徴だ。紙送りローラー、給紙ローラー、センサーなど各部品の小型化・スリム化を徹底的に行い、それらを高密度に実装することで、従来機種の「E-370(カラリオミー)」と比較して体積比約60%、「EP-806A(A4複合機)」と比較して体積比約20%の小型化を実現した。本体サイズは248(幅)×176(奥行き)×85(高さ)ミリで、縦向きにして収納することもできる。
そして3つ目の「簡単につなげて、どこからでも印刷できる」についても、PF-70は配慮している。小型ボディにUSB、無線LAN(Wi-Fi Direct対応)、PictBridge、SDメモリーカードスロット、赤外線通信機能を備えているのだ。スマートデバイス用のアプリとしては、ロール紙印刷用の「Epson マルチロールプリント」を用意した。
PF-70に限らず、エプソンはここ数年、プリンタとスマートデバイス、クラウドサービスとの連携に注力してきたが、今回の新製品でもその点は強化されている。
スマートデバイスとの接続面では、プリンタ本体を無線LANルータに接続したまま、Wi-Fi Directで最大4台までのデバイスを接続可能だ。これにより、来客時には無線LANルータのSSIDやパスワードを教えずに、Wi-Fi Directでスマホからのワイヤレスプリントをしてもらうなどの使い方ができる。
スマートデバイス用のアプリについては、カメラで撮影した原稿を台形補正してプリントできる簡易コピー機能アプリ「Epson カメラでコピー」を新たに用意。従来からあるアプリも機能を追加した。「Epson iPrint」には本体にセットされた用紙情報を読み取ることでの印刷ミス防止機能、「Epson Creative Print」にはフォトブック印刷機能、「3DフレームPrint」には角度を変えることで文字が浮かび上がる機能が加わっている。
それ以外には、テンプレートを増量して宛名面の飾り付け印刷にも対応したキーボード付き小型はがき/フォトプリンタ「E-850」(「カラリオミー」シリーズ)、プレビュー付きFAX機能を備えた4色顔料のビジネス向けA4インクジェット複合機「PX-M650F」、黒濃度を高めた新インクで階調性が向上した「プロセレクション」シリーズのA4ノビ対応フォトプリンタ「SC-PX5VII」が紹介された。
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