プリインストールOSはAndroid 4.4を導入している。大きな表示でフォルダを並べた独自のタイル状ユーザーインタフェース(UI)を実装していることが特徴だ。タイルは用途別に分かりやすく分類されている。
巨大なタイルで目を引く「ショッピング」「ゲーム」「インターネット」「動画・本・写真」は、どこからアクセスしても起動するのは同じ標準ブラウザであったりするわけで、慣れているユーザーには無駄に思えるが、ドン・キホーテが想定しているであろう「慣れていないユーザー」向けにはこれでよいのだろう。これまでスマートフォンもタブレットも使ったことがないような初心者には、すんなりと受け入れられそうだ。

独自のタイルUIを実装している(画面=左)。用途別にアプリやWebサイトへのショートカットが分類されていて分かりやすい。標準のアプリ一覧(画面=右)。ファイルマネージャ(File Manager)と動画再生アプリ(OWLプレイ)がある程度だ。Googleアプリもないため、非常に少ない
「ゲーム」のタイルをタッチすると表示されるアイコンは、すべてGoogle Playのダウンロードページへのショートカットだ(画面=左)。アプリインストール後は自動でアプリに置き換えられる……というような仕様には当然なっておらず、インストールしたアプリはアプリ一覧画面に表示される。自分でアイコンを置き換えない限り、実際ゲームをプレイするには「アプリの一覧」から起動しなければならない。「ショッピング」フォルダ内には「お買い物」というアイコンがぽつんと1つだけある(画面=右)。タッチすると標準ブラウザでAmazon.co.jpが開く(ドン・キホーテの通販サイトへのリンクにしなくていいのだろうか……)
「インターネット」フォルダの中(画面=左)。ここも「検索」アイコンが1つだけだ。何とかならなかったのか、と思わなくもないが、タッチするとYahoo! JAPANのポータルを標準ブラウザで開く。「動画・本・写真」フォルダの中(画面=左)。「動画」はYouTubeを、「コミなび」は同サイトを、それぞれ標準ブラウザで開く。「ギャラリー」はおなじみの写真表示アプリだただし、インターネットの設定、Googleアカウントの設定など、しなければならないことは他のAndroidタブレットと変わらない。入門者用の設定ウィザードなども特に用意されておらず、入門者が利用するにはこれがハードルになる。
また逆にアプリをダウンロードして使用する場合、他のAndroidタブレットではあまり見られないダウンロード許可の設定をすることが必要になる点も注意したい。電子マニュアルには記載されているのだが、Androidの操作に慣れているユーザーは戸惑うところだ。この操作を行なうことで、Google Playストアアプリが自動的にインストールされる。
このダウンロード許可の設定をしないと「ゲーム」フォルダ内にあるゲームも遊べない。というよりは、このフォルダ内にあるのはすべてGoogle Playのダウンロードページへのショートカットであり、Google Playからユーザーが自分でアプリをインストールして利用するようになっている。

Google Playなどからアプリをインストールするには「ディスプレイ」の項目にある「アプリのダウンロード」にチェックを入れておく必要がある(画面=左)。標準ではこの設定が無効なので注意したい。標準では「Google Playストア」アプリは有効になっていないが、「アプリのダウンロード」にチェックを入れることで「アプリの一覧」に追加される(画面=右)
Googleブックス、GoogleマップなどのアプリもGoogle Playストアからインストールして使うことができた(画面=左)。設定画面の「アプリ」の項目では、アプリの詳細情報を確認でき、microSDへの移動などもここからできる(画面=右)。ストレージ容量が少ないので、移動できるアプリはmicroSDに移動して使うとよいだろう(一部できないアプリもある)
プリインストールのファイルマネージャ「File Manager」は英語表示だが、分かりやすいインタフェースで実用的だ(画面=左)。プリインストールのメディアプレイヤー「OWLプレイ」は、このように小さい画面で映像を表示できる(画面=右)ここで問題になるのは、前述のダウンロード許可を設定せず、このゲーム内にあるアイコンをタッチしてGoogle PlayのWebサイトにアクセスしても、この端末にアプリをインストールできないことだ。そのうえ、ダウンロード不許可による認証プロセスの負荷が大きいのか、システムのレスポンスが極端に遅延し、ストレスがたまる。
また、ゲームフォルダについては、それぞれのゲームアプリをインストールした後は、自分で削除や入れ替えを行わない限り、すでにインストールしたアプリのダウンロードページのリンクが置かれているだけという状態になる。「ゲーム」というフォルダ名であるからには、そこからゲームが起動できると思うのが自然だろう。
少ないストレージ容量の問題もあるだろうが、なぜ普通にプリインストールしておかなかったのか。デフォルトでアプリのダウンロードが不許可設定になっていることと合わせて、疑問が残る。
もっとも、これらは一度理解してしまえば問題ないことだ。また、ソフトウェアのちょっとした変更ですぐ対応できることだけに、今後の改善は期待できるかもしれない。
気になるパフォーマンスについても定番ベンチマークテストでチェックしていこう。Quadrant Professional Edition 2.1.1のスコアは2394、AnTuTu Benchmark 5.2のスコアは12109だ。2〜3年くらい前に出たAndroidタブレットの性能レベルと見てよいだろう。

Quadrant Professional Edition 2.1.1のスコア(画面=左)とAnTuTu Benchmark 5.2のスコア(画面=右)。JavaScriptテストのOctane 2.0は途中でエラーが出てしまい、実行できなかった| ベンチマークテストの結果詳細 | |||
|---|---|---|---|
| Quadrant Professional Edition 2.1.1 | |||
| スコア | カンタンPad (RM-AT701-BKOR) | YOGA Tablet 8 (B6000-F) | Venue 8 (3000シリーズ) |
| TOTAL | 2394 | 8342 | 14032 |
| CPU | 3887 | 30242 | 44990 |
| Memory | 2184 | 3506 | 14715 |
| I/O | 2087 | 5135 | 7785 |
| 2D | 397 | 439 | 333 |
| 3D | 3414 | 2389 | 2338 |
| AnTuTu Benchmark 5.2 | |||
| スコア | カンタンPad (RM-AT701-BKOR) | YOGA Tablet 8 (B6000-F) | Venue 8 (3000シリーズ) |
| Score | 12109 | 16218 | 32155 |
| UX/マルチタスク | 1841 | 2789 | 5166 |
| UX/Dalvik | 619 | 1000 | 2667 |
| RAM/ RAM演算能力 | 803 | 1330 | 1546 |
| RAM/RAM速度 | 640 | 1421 | 2692 |
| CPU(multi-thread)/整数演算 | 469 | 1257 | 1829 |
| CPU(multi-thread)/浮動小数点演算 | 1085 | 1605 | 2100 |
| CPU(single thread)/整数演算 | 1208 | 799 | 1362 |
| CPU(single thread)/浮動小数点演算 | 688 | 881 | 2063 |
| GPU/2Dグラフィックス | 1645 | 818 | 1652 |
| GPU/3Dグラフィックス | 2371 | 2269 | 9094 |
| IO/Storage I/O | 375 | 1419 | 1339 |
| IO/Database I/O | 365 | 630 | 645 |
| ※参考までに、YOGA Tablet 8(B6000-F)とVenue 8(3000シリーズ)のスコアも併記した | |||
OSの基本操作やWebブラウズ、レスポンスは若干もっさり感があるという程度で、それほど悪くない。画像の多いWebページへ初めてアクセスした際は明らかに待たされる感覚があるが、実用上はギリギリ許容できる範囲内にある。電子書籍もページを高速にめくり続けたり、離れたページにジャンプしたりする際に少し読み込み待ちができるくらいで、普通に読み進めるぶんには問題ないだろう。
高性能化してきた最近のスマートフォンやタブレットでのプレイを想定した3Dゲームなどは、1Gバイト以上のメモリが必要なものも少なくないため、そうしたゲームは対象外になってしまうが、比較的低スペックのスマートフォンも想定してデザインされたゲームならば十分に動く。
試しにスクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY V」を少しの間プレイしてみたが、特に問題なくプレイできた。発熱については、しばらく使っていると裏面の半分(端子類のある側)がじんわりと熱を持ってくる。FINAL FANTASY Vのプレイ中は室温22度でボディ表面温度が37〜38度になっていた。
バッテリー駆動時間のテストは、液晶ディスプレイの輝度を約半分に設定し、Wi-Fiをオン、音量は53%(ヘッドフォン出力)という条件で、MPEG-4 AVC/H.264(Baseline Profile)形式の1080p動画ファイルをリピート再生させて行なった。
結果はバッテリーの残りが15%となって警告が表示されるまで4時間10分動作した。このペースで最後まで使い切るとすると5時間近く(0%になるまで使えるとすれば、4時間55分程度)動作できることになり、今回のテスト条件では公称値の約3時間よりかなり長く動作できることになる。
考えてみれば、バッテリーの容量は8.51ワットアワーと、少ないながらも8型クラスの上級Androidタブレットの半分前後の容量はある。このくらいは動作できても不思議はないだろう。
重量といい、画面サイズといい、microSDXC対応といい、公式仕様はいろいろとアバウトなようだ。もしかしたら、製造上のバラツキを考慮してマージンを見て公表しているのかもしれない。油断がならない半面、使っていくうちいろいろと新しい発見があって面白い製品ではある。
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