質実剛健なSkylakeの新機能をIDF 2015で掘り下げる:本当の進化とはこういうこと(1/2 ページ)

» 2015年08月20日 19時07分 公開

細かい電力制御を可能にする「Intel Speed Shift Technology」とは

 「Intel Developer Forum 2015 San Francisco」(以下、IDF 2015)の基調講演では、“Skylake”こと第6世代Coreプロセッサ・ファミリーにはほとんど触れず、逆の意味で聴衆を驚かせることとなった。だが、IDF 2015で設けた複数の技術セッションでは“Skylake”の仕様について細かい説明を行っており、その概要を知ることができた。ここでは、この新世代CPUの新機能と特徴についてまとめていく。

 Intelでは、2014年にIFA 2014で発表した「Core M」以降、Coreアーキテクチャ製品群において、低消費電力CPU「Atom」と製品領域がオーバーラップするようになっており、TDP(熱設計電力)のレンジで上から下まで最大20倍近い開きができている。Skylakeの開発当初は、どちらかといえば高TDP側に寄ったCPU開発を計画していたとみられ(「Core M」のようなCPUは計画外だったのだろう)、これが開発時点と製品化時点でのフォームファクタ数増加やTDPカバー範囲の拡大につながっていると考えられる。結果として、1つのアーキテクチャで幅広い用途をカバーするスケーラビリティや、低いTDPのCPUを実現する低消費電力化のさらなる達成など、数多くの要素を包含してSkylakeは登場することになった。

Skylakeアーキテクチャは開発当初の計画から適用領域を大幅に拡大し、省電力PCとハイエンドでのTDPの差やフォームファクタの種類が増えている

ノートPCまたはタブレット向けのCPUはTDPのレンジのレンジに合わせて3種類(Y、U、H)用意する

 基本的には前世代の“Broadwell”のシステムアーキテクチャや製品構成を踏襲しているが、Skylakeでは、さらに細かい電力制御と省電力化を実現している。またGPUの大幅強化に加え、セキュリティ向けの機能を追加しており、地味ながら着実な改良が進んでいる。

Skylakeにおける新機能と特徴。地味ではあるが、省電力に大きな改良を加えているほか、GPUとセキュリティで新機能を追加している

 Skylakeで特徴的な新機能が「Intel Speed Shift Technology」だ。IntelではPentium III以降、SpeedStep(開発コード名:Geyserville)と呼ぶ技術を導入してCPUの動作モードである「P-State」を動作中でも動的に変化できるようにしている。P-Stateの変更により駆動電圧や動作クロックが変化できるため、例えば、ACアダプタ経由で電源を供給している場合には動作クロックを高くして、バッテリー駆動に切り替わったら駆動電圧を落として動作クロックを下げることで省電力動作が可能になる。もともとはノートPC向けの実装を想定していたが、後にデスクトップを含むPCのフォームファクタ全体で利用できる機能の1つとなった。

 後に“Nehalem”の世代となり、IntelはSpeedStepとは逆の機能ともいえる「Turbo Boost」を導入した。あらかじめ決めた上限と下限の間で動作クロックを適時変化するSpeedStepに対し、Turbo Boostは特定コアの駆動電圧を上げて一時的にコアの動作クロックを引き上げる機能で、CPUが本来許されているパフォーマンスの“一時的なかさ上げ”が可能となる。この2つの電力制御機能を同時実行可能にした場合のP-State遷移では、基本的にOSなどのソフトウェアが管理できるの範囲(P1〜Pn)と、CPUの稼働状況とポリシーに応じてハードウェア的に動作する範囲(P0-1〜P0-n)を規定している。

従来はSpeedStepによるP-Stateの制御とTurbo Boostの領域で制御範囲を区切っていた

 Speed Shiftはこの垣根を取り払い、P0-1〜LFM(Lowest Frequency Mode)の間のステートを自由に制御可能になる。緊急モードであるT-Stateを除き、CPUで許容する最大動作クロックからLFMの100MHzまで(Skylakeの場合)、ソフトウェア的に細かくスムーズな切り替えが可能だ。

新機能のSpeed Shiftでは、P0-1〜LFM(Lowest Frequency Mode)の間のステートを自由に制御可能になる

 この間、「Guarantied Frequency」(保証された周波数)と「Most Efficient Frequency」(Pe) が存在するが、前者はTurbo Boostに入る直前の「P1」を意味し、後者はCPUが計算アルゴリズムから算出した「低消費電力動作に最適な動作クロック」を自動的に割り当てる。このSpeed Shiftにおけるステートの切り替えは自動動作のほか、OS側の対応によりソフトウェアでの制御も可能になる。こちらは現在対応中とのことで、今後のOSアップデートで順次利用可能になる。

自由に設定できる範囲には、Turbo Boostに入る「Guarantied Frequency」と低消費電力動作に最適な動作クロック「Most Efficient Frequency」を設けている

PCUによる自動制御のほか、OS側の対応でソフトウェア的に省電力動作と一時的な高速動作を適時切り替えてアプリケーションをスムーズに動作させることが容易になった

 Speed Shiftは一例だが、Skylakeでは電力制御に加えて低消費電力動作に向けた工夫を随所に施している。特にノートPCやタブレットなどでの総合的なバッテリ駆動時間の改善やパフォーマンス向上に期待したいところだ。

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