ゲームの神様こと遠藤雅伸氏とカードゲーム作りを楽しんだ週末「あそぶ!ゲーム展」体験レポ(2/4 ページ)

» 2015年12月11日 20時00分 公開
[瓜生聖ITmedia]

シンプル、でも奥が深い「バトルファイブ」

 「バトルファイブ」の基本ルールはシンプル。プレイ前にお互いのカード5枚を見せ合ったのちに、互いに1枚ずつ、カードを出し合って数字の大きさを競う。ただし、じゃんけんシールで勝った方には+1の補正が入る。つまり、4のチョキと3のグーは4対4の引き分けになる。1ラウンドごとに勝ったら3ポイント、引き分けなら互いに1ポイントが入り、5ラウンドを終えてポイントの多い方がゲームの勝者だ。

 基本ルールは以上の通りだが、ラウンドごとにルールが少しずつ異なる。最初と最後は基本ルールのままだが、2ラウンド目は勝者に5ポイントが入るボーナスラウンド。3ラウンド目は強弱が逆転し、数が少ない方が勝ちになる。

 そして4ラウンド目はじゃんけんによる補正が+3になる。カードは5枚の数字の合計が13になるように調整されているので、どのタイミングで弱いカードを出すか(通常ならば3回目に出したいと思うだろう)、その駆け引きが勝敗を決める。

 このルールは単純なようで奥が深い。キーとなるのが5ポイントを得られる2ラウンド目だ。通常よりも得られるポイントが高いので、当然、ここは総力を挙げて強いカードを出したいところだ。

 だが、手札の5がグーだった場合、相手の5のカードがパーだったら負けは確実。相手も2ラウンド目で最強のカードを出してくると読むのならば、このラウンドをあえて落とし、温存した戦力で残りに勝負をかける、という戦略もある。1ラウンド目、2ラウンド目を続けて落としたとしても、その時点で8対0。残り3回すべて勝利すれば8対9となって逆転できる。

 このあたりのデザインはさすが遠藤氏、といったところだ。素人考えだと5ポイントのラウンドは逆転で盛り上がるよう、クライマックスに持ってきた方がいいのでは、と思うのだが、2ラウンド目の方が圧倒的に面白いそうだ。

 なるほど、後半に持ってくると「5ポイントを捨てて勝ちに行く」ということができない。例えば、4ラウンド目にボーナスを持ってくると、5ラウンド目にはもう手が残っていないし、5ポイントのロスは2ラウンドなければ取り戻せない。結局、これでは4ラウンド目をとるか、5ラウンド目をとるかの選択にしかならない。

 しかし、2ラウンド目だとまだ逆転のチャンスもある。点数配分が絶妙なため、あえて捨てる、という戦略も十分成り立つ。なお、5ポイントが得られるラウンドがないと引き分けが続出するそうだ。

 また、3ラウンド目の逆転ルールも扱いが難しいところだ。1などの弱いカードは当然、3ラウンド目に出してしまいたいと思うだろう。しかし、相手の最弱カードに勝ってしまうような半端な弱さのカードは、むしろ相手の最強カードに負けるために使うべきという考え方もある。プレイヤー内で最強のカードと最弱のカードを持っていれば、おそらく確実に2ラウンド目と3ラウンド目は勝利できる。だが、それでもポイントは8ポイント。残りをすべて取られれば敗北する。

 そして4ラウンド目はじゃんけん偏重ルール。3以上であればじゃんけんの強い方が勝つし、1であっても5でなければ引き分けに持ち込むことができる。プレイ前に互いのカードは見せ合うので、記憶力のよいプレイヤーであれば、4ラウンド目には相手にどのカードが残っているか把握できているはずだ。どちらのカードを先に出すか、思考の読みあいになる。

 最後は基本ルール通りだが、これは互いに最後の1枚なので当然の決着がつく。そこに番狂わせはなく、納得できる勝敗が決することになる。そうして次をやりたい、という気持ちが残る、それが遠藤氏の狙いだ。その狙いはまんまと当たり、公式戦4回戦で優勝者が決まったあとも参加者たちは次々と対戦相手を変えながら時間いっぱいまでゲームに興じていた。

対戦開始。まずはお互いの手札を見せ合う。心理戦はすでに始まっている

1回の対戦で5回カードを出しあうが、それぞれ異なるルールで勝敗が決まる

対戦中の様子。勝ったら3ポイント(ただし2ラウンド目は5ポイントの大きなチップを使用)、5ラウンドのトータルで勝敗が決まる

こちらは遠藤ゼミの学生のカード。さすがに上手い! でもボロ負け

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