――古着の買い取りなんてやったことがないんですが、本当にぼくの服で値段つくんでしょうか……?
及川 スーパーブランドは買い取れないです。例えば、シャネルとか。鑑定が大変なので。
――シャネルはないので大丈夫です!
及川 それから、値段のつけられないような服はキロあたり10円の買い取りになりますね。
――全部10円になりそう……。
手早く古着に値段をつける及川さん。「これなら1500円でいいかな……」とつぶやきながらガンガン査定してゆく。デジタルガジェットを下取りに出すときなんかは、丸一日かかったりすることもあるのに、古着は早い。
査定の書類ができた。古着は4点で合計1170円。意外とまともな値段で売れてびっくりした。
――この書類はぼくが見ちゃっていいんですか? お店での販売金額も載っていますけど……。
及川 うちでは、店頭販売価格の30%をお支払いするって決まっているんですよ。買いたたいてるって思われたくないので。
――下北沢の古着屋さんがこんなに明朗会計だったなんて知らなかったです!
買い取り金額は1170円だが、現金に交換せずに、お店独自のチケットと交換すると倍額になる。このチケットで洋服やお米と交換するのが可能だ。これが査定額の倍のお米がもらえるという仕組みである。
ぼくが獲得したのは2340円分のチケット。米だと25合(約3.8キロ)と交換できる。
ちなみに、これが今回ぼくが売った服。及川さんがシワを伸ばしてハンガーに掛けると、急に良い物に見えてくる。なんかもう、売ったのが惜しい。
でも、交換した分のお米3.8キロ持ってみると、やっぱりこっちの方がいいかなと思えるようになる。2倍のお米はやっぱり良い制度だ。
及川 ちなみに月に一回、店内の物が全て半額になる「青空市」というセールをやっているんですが、そこではお米も半額になります。
――もともと2倍だから、合わせると査定額の4倍になるってことですか?
及川 そうなりますね。
なんかもう耳を疑うサービスである。
――せっかくなんで、ぼくに全身コーディネイトしてもらえませんか?
及川 あ。そういうのめっちゃ燃えますね。
ここからの及川さんの行動は素早かった。すごい勢いで店内を物色してゆく。
――ぼくも下北沢っぽくなりますかね?
及川 これどうですかね? 今ハードロックカフェすごく流行ってるんですよ。
――それJR上野駅の中にあるやつですよね? なんで流行ってるんですか?
及川 読モの人がハードロックカフェの服着てて人気が出たんですよ。
――読モか〜。もう完全にお任せします。
結局南米の昆虫みたいな柄のパーカーと白いオーバーオールを着せられることに。
これがおしゃれなの? いや、確かにこういう人っているかもしれないな……。笑顔を見せているが、もう笑顔になるしかない瞬間だ。
及川 似合いますね!
――もうぼくには全然判断つかないです。
及川 でもこっちの方が似合う!
――これ、似合うと似合わないとか関係あるんですかね?
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