GeForce GTX 1080/1070の新機能をNVIDIAが解説:Pascalで仮想世界が現実に近づく(1/2 ページ)

» 2016年05月19日 18時42分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

 NVIDIAは5月18日、GeForce GTX 1080/1070の機能について説明会を開催した。GeForce GTX 1080/1070についての仕様は既報の通り。説明会では、どうやってGeForce GTX 980 TiやGTX TITAN Xを超えるまでのパフォーマンスを手に入れたのか、といったところを中心に、米NVIDIAシニアディレクター・テクニカルマーケティングのNick Stam氏が解説した。内容は多岐に渡るが、その中から主要な部分をピックアップしていこう。

NVIDIAがGeForce GTX 1080/1070の説明会を開催。デモを交えながら新機能を解説した

米NVIDIAシニアディレクター・テクニカルマーケティングのNick Stam氏

GeForce GTX 1080 FOUNDERS EDITION。通常版と異なるデザイン性の高い金属製で、高品質部品を採用、冷却にはヴェイパーチャンバー、2200rpmで33dBAという低ノイズファンを採用している

GTX 1080がGTX 980の1.7倍や2.7倍のパフォーマンスとなる理由

 GeForce GTX 1080ではグラフィックスメモリに10GbpsのGDDR5Xが用いられている。GDDR5Xは従来のGDDR5に対して1.4倍のメモリ帯域幅が利用可能だ。そしてMaxwell世代から引き続きデータの圧縮機能を搭載しているが、この効率がPascal世代でさらに1.2倍向上したという。この2つを総合することで、帯域幅は1.7倍に向上したとしている。

GPUのBoostクロックも大幅に向上。これを実現する回路設計技術などもアピール

メモリがGDDR5からGDDR5Xに変わったことで1.4倍、メモリ圧縮技術の向上により1.2倍、トータルで1.7倍パフォーマンスが向上したという

紫の部分が圧縮可能なデータ。Maxwell世代に比べてPascal世代はさらに多くのデータを圧縮できる

 VRに関して2.7倍というのは、VR用に追加した機能による向上が加えられるためだ。ダイナミック・ロードバランシング(Dynamic Load Balancing)は、グラフィックスとコンピュートタスクなどが同時に処理される際のタスクの流れを示している。

 従来は、グラフィックスタスクとコンピュートタスクは、最初にコアの専有率を指定し、処理が完了するまでその占有率が保持される。そのため、グラフィックスタスクが先に終了してしまった場合、次のリフレッシュのタイミングまでコアはアイドル状態となっていた。

 これに対してPascal世代では、グラフィックスタスクの終了後、そのコアは速やかにコンピュートタスクへと切り替えることが可能となった。コアの利用率が向上し、これがパフォーマンスの向上にも繋がる。

上が従来世代のタスクの流れで、黄緑部分のグラフィックスタスクの完了後は白いアイドル状態となっていた。下がPacal世代のタスクの流れで、グラフィックスタスク終了後はコンピュートタスクに切り替えることができる。横軸が時間の流れで、従来世代では白くコアが遊んでいた状態に対し、Pascal世代ではそこに処理を割り当てられるため、処理の完了までの時間が短縮される

 また、プリエンプション(PREEMPTION)もサポートされる。これは、実行中のタスクに対し、それを中断して優先度の高い別のタスクを処理し、再び元のタスクに戻るといったタスク切り替えを意味している。このプリエンプションは、例えばVR環境でプレイヤーが視点を動かした際など、速やかに位置情報を得、映像を処理しなければならないといったシーンで重要となる。

Pascal世代ではプリエンプションをサポート。グラフィックスタスクではポリゴン描画の途中でも、コンピュートタスクではスレッドブロックレベルで、CUDAでは命令レベルで割り込みが可能となる

 また、VR環境のパフォーマンス向上としては、サイマルテニアスマルチプロジェクション(SIMALTANEOUS MULTI-PROJECTION)も重要な機能となる。現在、ディスプレイは1枚のフラット画面から、3面マルチディスプレイ、さらにはVRと、さまざまな出力方法が登場してきた。

 まず、3面マルチモニタを例に挙げると、これまでの技術では、3画面ぶんを1枚の画像として出力していたが、3画面のうちの左右をプレイヤーの視点に合わせて角度を付けて設置した場合、平面の画像が強引に角度を付けられるため、正しい映像とは言えなかった。

 そこでサイマルテニアスマルチプロジェクションでは、ビューポートという概念で画像を作り出すことができ、そこでは角度を付けて設置した左右のディスプレイに対しても正しい角度からの画像が出力可能になる。そしてこのビューポートをVRに最適化することも可能だ。

 すでにVRヘッドセットを体験した方はご存じだろう。VRで出力される映像は、視界に合わせて球形に近い映像となる。この球形に対して、従来の映像出力は四角形であり、余白をカットする形で出力されていた。これに対し、VR時のサイマルテニアスマルチプロジェクションでは、四角形を4分割し、それに角度を加えることで、ほぼ球形に近い出力を行うことが可能になる。余白の部分はレンダリングせずに済み、ここでもパフォーマンスを稼ぐことができるという。

現在、さまざまなディスプレイ出力方法が登場してきており、今後さらに新たな出力方法が登場する可能性もある

3画面マルチディスプレイがフラットな状態で正しい映像も、左右のディスプレイを斜めに設置した場合は正しくなくなる

サイマルテニアスマルチプロジェクションでは、斜めに角度を付けた状態にマッチングした正しい映像を出力できる

VR環境では、球形(レンズ)に近い形で出力することで、余白部分の出力を省くことが可能になる(右の写真では中央の四角形と左右大枠の四角形の間にある八角形部分を出力することになる)

サイマルテニアスマルチプロジェクションにより描画を最適化することで、本来4.2Mピクセルの描画を要した処理が2.8Mピクセルまで圧縮でき、スループットが向上する

GeForce GTX 980より少々上の消費電力でありながらゲーミングパフォーマンスは大きく上というGeForce GTX 1080のポジショニング

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年10月18日 更新
  1. 1箱6キー入りで2万7500円! 特別仕様のROGミニチュアキーキャップセットがアキバに降臨 (2026年10月17日)
  2. NVIDIA「RTX Spark」搭載ノートPCの実力は? ASUS「ProArt P14」実機レビュー 3D描画はRTX 5070 Laptop超えも (2026年10月16日)
  3. ドウシシャ、80年代レトロ筐体を採用したBluetooth対応の大型CDラジカセ 11月4日から「GREEN FUNDING」でプロジェクト開始 (2026年10月16日)
  4. Appleの「HomeView」は日本未発売 ならプライム感謝祭で2万3980円の「Echo Show 8」は買いか? できることを比べてみた (2026年10月16日)
  5. NVIDIAの新SoC「RTX Spark」は何がすごい? Blackwell+Grace統合で薄型PCが“トークン生成工場”に変わる理由 (2026年10月16日)
  6. 個人向けMicrosoft 365のストレージ容量が削減、代わりにAI機能を開放──Microsoftの狙いは? (2026年10月16日)
  7. アイオーデータ製品が15%オフ! TV買い替え時の録画保護に役立つダビング用DVDレコーダーや、PS5/Switch 2対応ディスプレイがお得に買える (2026年10月16日)
  8. “子供にiPadを渡すのが怖い”を解消 『トイ・ストーリー5』のLilypadになれる、BelkinのiPadケースを試す (2026年10月16日)
  9. 「Pixel Watch 5」は買いか? “4”からの乗り換えと失敗しないサイズ選びの鉄則 (2026年10月15日)
  10. セールでゲットすべき? ほぼ半額の5980円で買える「Fire TV Stick 4K」は旧モデルと何が違う? (2026年10月15日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー