VR体験コーナーには部屋が2つあり、それぞれ「HTC Vive」と「Oculus Rift」が用意されていた。事前に予約が必要で、しっかりと時間が区切られていたこともあり、大きな混乱もなかったようだ。
Oculus Riftのコーナーでは、2016年後半に発売を予定しているOculus Rift用モーションコントローラー「Oculus Touch」を使って、電車内や駅で銃撃戦が展開するVRコンテンツ「Bullet Train」を試すことができた。筆者も実際に体験したが、これが本当に素晴らしかった。
Oculus Touchは、いわばVR空間で自分の手を再現するデバイスだ。親指と中指があたるそれぞれの位置にトリガー式のボタンが配置されているほか、アナログスティックやボタン、そして手の位置を検出するセンサーが備わっており、ユーザーの手がどんな状態なのかをトラッキングしてVR空間に反映できる。
外観だけを見ると、ただのワイヤレスコントローラーに見えるだろう。しかし、Oculus Touchを実際に手に持ってゲームをプレイした瞬間にそう単純なものではないことに気付かされる。体験したVRコンテンツのBullet Trainは、銃を拾って電車内に現れる敵を倒していくゲームだが、地面に落ちている銃を拾おうとしたときに「手を握る(銃をつかむ)」という手の動作感覚が現実世界と限りなく同じなのだ。「ゲーム中で銃を拾う操作方法を覚える」のではなく、現実と同じ「拾う」という体の動作がそのままゲームに適用できる。この感覚は奇妙で、エキサイティングだ。
さらにその感動体験は続く。一般的なFPSでは、敵に銃を向ける際に、画面中央に表示される点を銃の照準として使うことが多いだろう。しかし、Bullet Trainではそのような点は表示されない。最初は筆者も「照準が敵に合わせにくい……」と感じながらバンバン撃っていたのだが、途中で自分が持っている銃(実際にはOculus Touch本体)を顔の前に持ってくることで、銃自体の照準器で敵に狙いを定められることに気付いたのだ。
これが現実世界で実際にエアーガンなどを撃っている場面であれば、何の迷いもなく自然と銃の照準器に顔を近づけて狙いを定める動作ができていただろう。しかし、ゲームの中でこういった動作が通用するという概念がまず頭の中になかったため、最初にこの感覚を体験したときは鳥肌が立った。この感覚がユーザーにいかに驚きを与えるか、実際に体験していただかないと伝わらないのが非常にもどかしい。
今回の体験で「VR空間で自分の手が使える」ということが、いかに没入感を飛躍的に向上させるかを実感し、今後VRがゲームのスタンダードになることを確信した。それほどのインパクトがVRゲームには存在する。
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