先日、Apple新社屋のスティーブ・ジョブズ・シアターで発表された「iPhone X」は、2007年に誕生したiPhoneの10周年を飾るモデルだけあって“プレミアム”なスペックが話題だ。
その一方で、SIMロックフリー版の価格は、64GBモデルが11万2800円、256GBモデルが12万9800円(ともに税別)と余裕の10万円超え。iPhone X登場のニュースに対して、ネットでは「値段が高い」という声も散見されるが、実際、256GB版iPhone 7 Plus(登場時の価格は税別10万7800円)と比べても2万円以上高い。
もちろん、プレミアムスペックのiPhone Xは、iPhone初となる有機ELディスプレイの採用や、ステンレススチールとガラスで構成された新設計のボディー、高精度な顔認証を可能にするTrueDepthカメラ、ワイヤレス充電規格「Qi」のサポートなど、新技術・新機能が盛り込まれており、これらがコストに反映されているのは想像に難くない。
ただ、iPhone 7 Plusと比較して2万円以上の価格差を生んだ理由は、2016年後半から値上がりを続けているNAND型フラッシュメモリが影響している部分もある。
この件についてAppleに問い合わせたところ正式な回答は得られなかったが、同社は直近の業績発表でもNAND型フラッシュメモリの高騰に触れており、今回のスペシャルイベントで発表した新製品に合わせて、iPad Proの値上げも断行している(ただし、エントリーの64GBモデルは据え置き)。このタイミングで、スペック据え置きのiPad Proが6000円も値上げされたことを見ても、NAND型フラッシュメモリ高騰の影響は少なくないことが伺える。
プレミアムモデルのiPhone Xが高価な部分はもちろんあるが、それ以上に、3D NANDフラッシュの安定供給に手間取るサプライヤーの状況が改善されるまでは、“次期iPhone”の割高傾向は今後も続くかもしれない。
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