「Surface Go」日本モデルを冷静にチェックする本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/2 ページ)

» 2018年07月19日 06時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 世界中でも日本だけで発表会が設けられたという「Surface Go」。

 単純に2in1カテゴリーの軽量コンパクトモデルとしては、極めてよくできた製品だが、そこはあまり議論のないところだろう。

Surface Go 「Surface Go」日本モデル

Surface Proに近い体験をより小型軽量なモデルで実現

 そもそものルーツをたどれば、Windows 8を立ち上げる際、Windowsの伝統的なユーザーインタフェースとタッチパネルを用いたタブレットのユーザーインタフェースの融合を、ハードウェアでも表現しようとした結果生まれたのがこの「2in1カテゴリー」である。

 初代「Surface」の完成度はいまひとつだったものの、代を重ねる中でよくなっていき、最初はヒドい操作感だったキーボード兼用の画面カバーも改良が進み、タッチパッドだってプレミアムなノートPCに負けないレベルに到達した。

 「ここまで作り込んでしまうと、Windowsのライセンス先であるPCメーカーが勝負しにくくならない?」と、こちらが心配してしまうぐらいの完成度になってきたのが、2017年に登場した「Surface Pro(第5世代)」だった。そして、そのSurface Proのノウハウを、小型軽量の低コストモデルに適用したのがSurface Go――と考えるなら、そもそもの商品性が悪いハズがない。

 むしろキーボード兼用カバーの「Type Cover」はサイズが小さくなる分、剛性面では有利となり、キーボードを斜めにした状態でのタイプの感触はSurface Proよりベターかもしれない、と思えるものだった。もちろん、キーピッチがフルサイズの約19mmから、約17mmへと狭くなっている点は考慮せねばならない。

 しかし世代を重ねて作り上げてきたSurfaceシリーズの「様式」は、小型軽量、そして価格を抑えたSurface Goでもしっかりと守られていた。

 余談だが、慣れてしまうと運指距離が短い約17mmのキーピッチは膝上などでむしろ使いやすいという器用な人もいる。その方が素早く、また膝上などで窮屈に使う場合には、手のひらでパームレストを押さえ込んで使えるので、タイプ速度が速くなったりする場合もある。

Surface Go 左が12.3型の「Surface Pro」、右が10型の「Surface Go」
Surface Go Surface Proと比べて、キーボード兼用カバーの「Type Cover」が小さくなったことで、キーピッチは狭くなったものの、剛性感はむしろ有利になった(写真は英字配列だが、日本語配列モデルも用意)

 「電子文房具的に低価格で使える道具」として捉えるならば、とても魅力的なパッケージだと思う。以前、IntelのAtom x7を搭載した「Surface 3」を使用していたこともあったが、当時の記憶をたどってみると背面に内蔵された「キックスタンド」の調整範囲、ペン入力のフィーリングなどなど、あらゆる面で「上位モデルに近い体験を、より小さなサイズで得られる」ようになっている。

Surface Go 調整範囲の広いキックスタンドを搭載。側面にはSurface ProにはないUSB Type-Cも装備

 もちろん、違いとして大きいのはプロセッサのパフォーマンスだが、1,6GHz動作でデュアルコアのIntel Pentium Gold 4415Yは、「だって、同じ第7世代Intel Coreのm3より遅いんでしょ?」といわれればその通り。サイズ的に近い「iPad Pro」とはOSの作りが全然違うので比較はできないのだが、それを承知でいえばWebブラウザの使用感、応答性はiPad Proの方がいい。

 とはいえ、Surface Goを選びたいという人は、タブレット的な要素を持ちつつも、「Windows PCとして使える」ことを望んでいることだろう。そうした意味では、iPadシリーズはターゲットとなる消費者層が異なるためライバルとはなり得ない。少なくともSurface 3を使っていたときのような「可搬性のために我慢する」という感覚はないため、「まぁいいんじゃないの?」というのが筆者の見解だ。

Surface Goは現代によみがえったサブノートか

 少し視点を変えてみよう。

 実際のSurface Goを見て、触れてみると、ふと懐かしい感じがした。1990年代後半から2000年代初頭にかけて(とりわけ日本で)流行した「サブノートPC」を思い出したからだ。サブノートPCとは、ノートPCの完全な代替といえるほどのパフォーマンスやストレージ容量、光学ドライブなどの機能は確保できないものの、出先に持ち出すには使いやすいPCである。

 当時は10.4型でアスペクト比4:3の液晶を搭載し、キーピッチは17〜18mm程度、重さは1.2〜1.3kg程度の製品が多かった。1.1kgなんて軽さになると、それこそ100〜200g程度の違いだというのに、画期的製品として注目されたものだ。

 あのころは「クラウドコンピューティング」などという言葉もなく、ストレージをオンライン側に押し出してシームレスに結合することで、複数端末の連携を気にすることなく使える……なんてことはなく、ユーザーの創意工夫で「サブ」なノートPCを使いこなしていたのだが、イマドキならばもっと簡単に「持ち出して使いたい部分だけ切り出して使う」という利用スタイルを簡単にできる。

 オンラインストレージサービスであるOneDriveとの連動性はWindows 10になって高まり、さらにアップデートで洗練度も上がってきている。昔懐かしサブノートPC的な使い方も、Surface Goならばもっと快適に使えることだろう。2018年内に発売が予定されているLTE内蔵モデルならばなおさらだ。

 そもそも、昔懐かしサブノートPCという考え方は、持ち出すコンピュータに完全な機能と性能を求めていない。必要な機能と性能、容量だけを切り出して持ち出すというコンセプトだ。そうした意味では、Surface Goはモバイルツールとしての一つの回答になっているともいえる。

Surface Go 持ち出しての利用をアピールするSurface Goのイメージ画像

 しかし、現代のサブノートPC、「iPad ProよりもずっとPCなタブレットとして手放しで褒めてたたえることができるか?」といえば、LTE内蔵モデルの登場まで待ちたいというのが正直なところだ。

 無論、LTEモデムを内蔵する分、価格は高くなるだろうが、本機の位置付けを考えるならば、情報ツールとしての軽快さが求められる。レジュームして使い始める際に、まずはネットにつないで……なんてことはしたくはないし、コンピュータを開いたときにはメールやメッセージはあらかじめ着信していてもらいたい。

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