内部のパーツチョイスをもう少し見ていこう。まずはマザーボード。チップセットはIntel Z370で、ヒートシンクの大きさからするとメインストリームグレードに相当するだろう。市場で販売されているメインストリームグレードのマザーボードは、LEDを搭載するハデなものが多いが、先に触れた通り、この製品では光るところがない。通電確認用やPOSTを示すLEDくらいあるのではと探したが、ひとたび起動するとやはりどこも光っていない。なかなかこだわりを感じさせるチョイスだ。
CPUはCore i7-8700K。6コア・12スレッドでTDPが95Wといった仕様だ。Limited Editionを除けば現在のIntelのメインストリーム向けで最上位のCPUであり、ゲーミングパフォーマンスは高い。
GPUはNVIDIA GeForce GTX 1080 Ti。執筆時点で市販されている中ではNVIDIAのコンシューマー向け最上位のGPUだ。GPUコア数も多く、動作クロックも高く4Kゲーミングを見据えたGPUであり、高画質なテクスチャを扱っても十分な11GBのGDDR5メモリを搭載している。クーラーについては先に紹介した通り。その他に1つ補足しておけば、ここもLEDは搭載していない。
ストレージは、Cドライブに超高速なM.2 SSD、Dドライブに容量コストに優れたHDDを組み合わせている。NVMe SSD側はWestern DigitalのWD Black PCIe SSD 512GB。PCI Express 3.0 x4接続のSSDで、約2GB/秒のシーケンシャルリードを実現している。市販されている状態のままで、ヒートシンクは搭載しておらず、CPUソケットの下、ビデオカードの1つ上のM.2スロットに搭載している。なお、オプションでM.2シールド(ヒートシンク)を追加できるので、気になる方は装着してみるのもよいだろう。
一方、HDD側はSeagate BarraCuda ST3000DM008 3TBを採用していた。特別モデルとあって、大量のゲームを保存できる大容量HDDが採用されていた。3.5インチシャドーベイは2基あるので、もう1基搭載することも可能だ。
この他、オプションとしては2.5インチSSDも用意されている。おそらく3.5インチシャドーベイに搭載することになるが、実はマザーボード裏にも2.5インチシャドーベイが2基あり、こちらに移設することもできそうだ。この点で、新筐体のストレージ拡張性はなかなか高い。
最後にメモリ。マザーボード上のスロットは4本あるが、特別モデルではその全てのスロットに16GBモジュールを埋め、64GBを搭載する。つまり現在のメインストリームPCでは最大容量まで詰め込んだ状態だ。動作モードはDDR4-2400だが、オプションとしてDDR4-2666の選択肢も用意されている。
ここまで見てきた通り、一切妥協していないスペックで、さすが特別モデルといったところ。「買うなら思い切って最上位PC」という方にふさわしい。間違いなく現状では最高に近いゲーミングパフォーマンスが得られる内容なので調べるまでもないが、実際の性能をベンチマークテストで確かめていこう。
まずはCINEBENCH R15から。結果はCPUスコアが1368と、6コア・12スレッドCPUのマルチスレッドパフォーマンスは強力だ。また、Single CPUについても200ポイント目前で、スレッドの少ない状態でも高いパフォーマンスを発揮できることが分かる。特に水冷による冷却が効き、ブーストの持続時間が長いためか、空冷CPUクーラーで検証した場合よりも若干高いスコアとなる傾向が見られた。
CINEBENCH R15 | |
---|---|
Single CPU | 199.50 |
CPU | 1368.59 |
OpenGL | 155.39 |
PCMark 10はもちろん万能型のスコアになっている。ホーム用途のEssentials、ビジネス用途のProductivity、クリエイティブ用途のDigital Content Creation、そしてGamingと満遍なく高いスコアだ。
PCMark 10 | |
---|---|
Extended Score | 6907 |
Essentials | 10138 |
Productivity | 6114 |
Digital Content Creation | 5275 |
Gaming | 18817 |
3DMarkのスコアでは、まずFire StrikeのPerformanceで2万を軽く上回ってくるところに注目だ。Time Spy Performanceも1万目前だ。フルHD解像度ではDirectX 11/12ともにかなり快適なフレームレートが得られることが期待できるスコアである。
1つ上のWQHD解像度(2560×1440ピクセル)、テストではFire Strike Extremeに相当するが、これも1万ポイントを大きく上回っていることから、快適にプレイできると思われる。
4Kはさすがに負荷がぐっと高まり、Fire Strike UltraもTime Spy Extremeも1万ポイントを下回る。とはいえ、GeForce GTX 1080 Tiを用いてこのスコアなので、現世代のGPUの限界ともいえる。このあたりを実際のゲームベンチでも確認していきたい。
3DMark | |
---|---|
Time Spy Extreme | 4342 |
Time Spy Performance | 9282 |
Fire Strike Ultra | 6939 |
Fire Strike Extreme | 12942 |
Fire Strike Performance | 22456 |
ゲームベンチマークテストでは、3840×2160ピクセルの各種画質プリセットでのフレームレートと、1920×1080ピクセルの最高画質でのフレームレートを計測した。ただし、1920×1080ピクセルのスコアはどれも60fpsを軽く上回る。ここでは4Kゲーミングにフォーカスして分析してみよう。
かなり重いゲームタイトルのTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの4Kでのパフォーマンスは、最も高いプリセットのウルトラで30fpsを超え、高設定で60fpsを満たすことができている。中設定になると最小フレームレートも60fpsを上回るので、スタッタリングなしで楽しみたいならこのあたりになる。
Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands | 設定 | fps |
---|---|---|
3840×2160ピクセル | ウルトラ | 39.35 |
3840×2160ピクセル | 非常に高い | 55.37 |
3840×2160ピクセル | 高 | 62.2 |
3840×2160ピクセル | 中 | 67.28 |
1920×1080ピクセル | ウルトラ | 74.67 |
Assassin's Creed OriginsはゲームエンジンこそTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsと同じだが若干フレームレートは稼げるタイトルだ。最高画質でも51fpsを記録したが、実際に遊べる設定の傾向としてはTom Clancy's Ghost Recon Wildlands同様で、4Kなら中画質がオススメ。
Assassin's Creed Origins | 設定 | fps |
---|---|---|
3840×2160ピクセル | 最高 | 51 |
3840×2160ピクセル | 超高 | 51 |
3840×2160ピクセル | 高 | 59 |
3840×2160ピクセル | 中 | 67 |
1920×1080ピクセル | 最高 | 92 |
Far Cry Primalはもう一段軽いタイトルなので、画質設定「とても高い」で平均60fpsを超え、「高い」設定なら最小フレームレートも60fpsを超えた。
Far Cry Primal | 設定 | fps |
---|---|---|
3840×2160ピクセル | 最高 | 57 |
3840×2160ピクセル | とても高い | 61 |
3840×2160ピクセル | 高い | 67 |
1920×1080ピクセル | 最高 | 120 |
国内タイトルの重量級であるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION。同ベンチマークで4K、快適判定が出たのは軽量品質だ。それよりも上の設定であっても、やや快適判定なので楽しむこと自体は十分可能だ。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION | 設定 | スコア |
---|---|---|
3840×2160ピクセル | 高品質 | 4704 |
3840×2160ピクセル | 標準品質 | 5320 |
3840×2160ピクセル | 軽量品質 | 7639 |
1920×1080ピクセル | 高品質 | 10670 |
この通り、4Kでの画質設定は中〜高画質となった。ただ、GPU側も水冷によってブーストが効く傾向にあるので、同じGeForce GTX 1080 Tiでも、レファレンスクーラーモデルと比べればわずかに高めのフレームレートが得られるようだ。そして、現在主流のフルHD、1920×1080ピクセル環境については、全てのタイトルで、そのゲームの最高画質プリセットで60fpsを軽く上回る快適なフレームレートが得られている。
最後に動作音にも触れておこう。NEXTGEARの動作音は、一般的なゲーミングPCのレベル、つまりW水冷によって空冷モデルと比べると多少マイルドだが、静音志向のモデルと比べればやはり差はある。
ただしその分、冷却性能は十分であり、ゲームプレイ中の安定感は高い。ここは何を求めて何に妥協をするのかといった選択になる。そして当然そこにはコストもかかる。本製品が優先したのはゲームプレイ中の安定性となるだろう。極めて静かであっても、ゲーム中にマシンが熱によって不安定になるようでは快適なゲーミングPCとはいえない。
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