新生「NEXTGEAR」はPCゲーマーの理想か? ダブル水冷プラチナモデルを徹底レビュー(2/3 ページ)

» 2018年08月29日 17時33分 公開
[石川ひさよしITmedia]

特別モデルは妥協を知らないスペック。ゲーミングPCの理想がここにある

 内部のパーツチョイスをもう少し見ていこう。まずはマザーボード。チップセットはIntel Z370で、ヒートシンクの大きさからするとメインストリームグレードに相当するだろう。市場で販売されているメインストリームグレードのマザーボードは、LEDを搭載するハデなものが多いが、先に触れた通り、この製品では光るところがない。通電確認用やPOSTを示すLEDくらいあるのではと探したが、ひとたび起動するとやはりどこも光っていない。なかなかこだわりを感じさせるチョイスだ。

 CPUはCore i7-8700K。6コア・12スレッドでTDPが95Wといった仕様だ。Limited Editionを除けば現在のIntelのメインストリーム向けで最上位のCPUであり、ゲーミングパフォーマンスは高い。

CPU-Zの画面。特別モデルのCPUはCore i7-8700K。6コア・12スレッドでゲームもその他の重い処理もラクラクこなす

 GPUはNVIDIA GeForce GTX 1080 Ti。執筆時点で市販されている中ではNVIDIAのコンシューマー向け最上位のGPUだ。GPUコア数も多く、動作クロックも高く4Kゲーミングを見据えたGPUであり、高画質なテクスチャを扱っても十分な11GBのGDDR5メモリを搭載している。クーラーについては先に紹介した通り。その他に1つ補足しておけば、ここもLEDは搭載していない。

特別モデルのGPUはGeForce GTX 1080 Ti。動作クロックはレファレンス準拠だが、水冷でよりブーストが効く

 ストレージは、Cドライブに超高速なM.2 SSD、Dドライブに容量コストに優れたHDDを組み合わせている。NVMe SSD側はWestern DigitalのWD Black PCIe SSD 512GB。PCI Express 3.0 x4接続のSSDで、約2GB/秒のシーケンシャルリードを実現している。市販されている状態のままで、ヒートシンクは搭載しておらず、CPUソケットの下、ビデオカードの1つ上のM.2スロットに搭載している。なお、オプションでM.2シールド(ヒートシンク)を追加できるので、気になる方は装着してみるのもよいだろう。

CrystalDiskInfoで見たCドライブ。高速なPCI Express 3.0 x4接続で、容量も512GBと十分
CrystalDiskMarkのスコア。転送速度はシステムドライブとして利用していてもリード1.8GB/秒、ライト800MB/秒

 一方、HDD側はSeagate BarraCuda ST3000DM008 3TBを採用していた。特別モデルとあって、大量のゲームを保存できる大容量HDDが採用されていた。3.5インチシャドーベイは2基あるので、もう1基搭載することも可能だ。

CrystalDiskInfoで見たDドライブ。容量3TBでゲームプログラム/データも大量に溜め込める
7200rpmモデルでシーケンシャルリード、シーケンシャルライトは200MB/秒級

 この他、オプションとしては2.5インチSSDも用意されている。おそらく3.5インチシャドーベイに搭載することになるが、実はマザーボード裏にも2.5インチシャドーベイが2基あり、こちらに移設することもできそうだ。この点で、新筐体のストレージ拡張性はなかなか高い。

 最後にメモリ。マザーボード上のスロットは4本あるが、特別モデルではその全てのスロットに16GBモジュールを埋め、64GBを搭載する。つまり現在のメインストリームPCでは最大容量まで詰め込んだ状態だ。動作モードはDDR4-2400だが、オプションとしてDDR4-2666の選択肢も用意されている。

特別モデルは4K解像度での高画質プレイが可能なパフォーマンス

 ここまで見てきた通り、一切妥協していないスペックで、さすが特別モデルといったところ。「買うなら思い切って最上位PC」という方にふさわしい。間違いなく現状では最高に近いゲーミングパフォーマンスが得られる内容なので調べるまでもないが、実際の性能をベンチマークテストで確かめていこう。

 まずはCINEBENCH R15から。結果はCPUスコアが1368と、6コア・12スレッドCPUのマルチスレッドパフォーマンスは強力だ。また、Single CPUについても200ポイント目前で、スレッドの少ない状態でも高いパフォーマンスを発揮できることが分かる。特に水冷による冷却が効き、ブーストの持続時間が長いためか、空冷CPUクーラーで検証した場合よりも若干高いスコアとなる傾向が見られた。

CINEBENCH R15
Single CPU 199.50
CPU 1368.59
OpenGL 155.39

PCMark 10はもちろん万能型のスコアになっている。ホーム用途のEssentials、ビジネス用途のProductivity、クリエイティブ用途のDigital Content Creation、そしてGamingと満遍なく高いスコアだ。

PCMark 10
Extended Score 6907
Essentials 10138
Productivity 6114
Digital Content Creation 5275
Gaming 18817

 3DMarkのスコアでは、まずFire StrikeのPerformanceで2万を軽く上回ってくるところに注目だ。Time Spy Performanceも1万目前だ。フルHD解像度ではDirectX 11/12ともにかなり快適なフレームレートが得られることが期待できるスコアである。

 1つ上のWQHD解像度(2560×1440ピクセル)、テストではFire Strike Extremeに相当するが、これも1万ポイントを大きく上回っていることから、快適にプレイできると思われる。

 4Kはさすがに負荷がぐっと高まり、Fire Strike UltraもTime Spy Extremeも1万ポイントを下回る。とはいえ、GeForce GTX 1080 Tiを用いてこのスコアなので、現世代のGPUの限界ともいえる。このあたりを実際のゲームベンチでも確認していきたい。

3DMark
Time Spy Extreme 4342
Time Spy Performance 9282
Fire Strike Ultra 6939
Fire Strike Extreme 12942
Fire Strike Performance 22456

 ゲームベンチマークテストでは、3840×2160ピクセルの各種画質プリセットでのフレームレートと、1920×1080ピクセルの最高画質でのフレームレートを計測した。ただし、1920×1080ピクセルのスコアはどれも60fpsを軽く上回る。ここでは4Kゲーミングにフォーカスして分析してみよう。

 かなり重いゲームタイトルのTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsの4Kでのパフォーマンスは、最も高いプリセットのウルトラで30fpsを超え、高設定で60fpsを満たすことができている。中設定になると最小フレームレートも60fpsを上回るので、スタッタリングなしで楽しみたいならこのあたりになる。

Tom Clancy's Ghost Recon Wildlands 設定 fps
3840×2160ピクセル ウルトラ 39.35
3840×2160ピクセル 非常に高い 55.37
3840×2160ピクセル 62.2
3840×2160ピクセル 67.28
1920×1080ピクセル ウルトラ 74.67

 Assassin's Creed OriginsはゲームエンジンこそTom Clancy's Ghost Recon Wildlandsと同じだが若干フレームレートは稼げるタイトルだ。最高画質でも51fpsを記録したが、実際に遊べる設定の傾向としてはTom Clancy's Ghost Recon Wildlands同様で、4Kなら中画質がオススメ。

Assassin's Creed Origins 設定 fps
3840×2160ピクセル 最高 51
3840×2160ピクセル 超高 51
3840×2160ピクセル 59
3840×2160ピクセル 67
1920×1080ピクセル 最高 92

 Far Cry Primalはもう一段軽いタイトルなので、画質設定「とても高い」で平均60fpsを超え、「高い」設定なら最小フレームレートも60fpsを超えた。

Far Cry Primal 設定 fps
3840×2160ピクセル 最高 57
3840×2160ピクセル とても高い 61
3840×2160ピクセル 高い 67
1920×1080ピクセル 最高 120

 国内タイトルの重量級であるFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION。同ベンチマークで4K、快適判定が出たのは軽量品質だ。それよりも上の設定であっても、やや快適判定なので楽しむこと自体は十分可能だ。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION 設定 スコア
3840×2160ピクセル 高品質 4704
3840×2160ピクセル 標準品質 5320
3840×2160ピクセル 軽量品質 7639
1920×1080ピクセル 高品質 10670

 この通り、4Kでの画質設定は中〜高画質となった。ただ、GPU側も水冷によってブーストが効く傾向にあるので、同じGeForce GTX 1080 Tiでも、レファレンスクーラーモデルと比べればわずかに高めのフレームレートが得られるようだ。そして、現在主流のフルHD、1920×1080ピクセル環境については、全てのタイトルで、そのゲームの最高画質プリセットで60fpsを軽く上回る快適なフレームレートが得られている。

 最後に動作音にも触れておこう。NEXTGEARの動作音は、一般的なゲーミングPCのレベル、つまりW水冷によって空冷モデルと比べると多少マイルドだが、静音志向のモデルと比べればやはり差はある。

 ただしその分、冷却性能は十分であり、ゲームプレイ中の安定感は高い。ここは何を求めて何に妥協をするのかといった選択になる。そして当然そこにはコストもかかる。本製品が優先したのはゲームプレイ中の安定性となるだろう。極めて静かであっても、ゲーム中にマシンが熱によって不安定になるようでは快適なゲーミングPCとはいえない。

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