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» 2019年03月06日 08時00分 公開

本田雅一のクロスオーバーデジタル:「2年に1度なんて買い替えない時代」のスマートフォン選び (1/3)

買い替えサイクルが長くなり、3〜4年あるいはもっと長期の使用が一般的になると予想されるスマートフォン。そんな時代に、端末メーカーはどう対応するのか、またユーザーはどのように製品を選ぶべきか。

[本田雅一,ITmedia]

 筆者の手元で最も動かしているスマートフォンは、自らも開発に携わっていた「NuAns NEO [Reloaded]」だ。2017年発売のミドルクラス機だが、特にパフォーマンスに不満は持っていない。

NuAns NEO 2017年発売のAndroidスマートフォン「NuAns NEO [Reloaded]」。ボディーのトップとボトム、それぞれで素材とカラーを選べる「TWOTONE」が特徴だ

 Googleの「Pixel 3」など幾つかの製品も評価のために手元には置いてある。しかし、自分が関わったという愛着だけでなく、コミュニケーションツールとして使う上で、大きなパフォーマンス面での不満を感じていないため、端末の引っ越しには積極的になれない。

 もちろん、筆者のようなテック系ジャーナリストのように、「iPhone」と「Andorid」のスマートフォンを日常的に併用している人はまれだろう。世代としては古くなったミドルクラスの製品とはいえ、「Android 8.1 Oreo」へのアップグレードを含むファームウェアの更新により、基本機能の部分で大きな遅れを感じずに済んでいるという事情もある。

 また、当時の端末としては同クラスで大容量(iPhone 6sの約2倍となる3350mAh)のバッテリーを積んでいたことも、陳腐化を緩やかに感じさせているのだろうか。

 しかし、最も大きな理由は、「最新のSoC(System on a Chip)でなければパフォーマンスに不満が多くて……」とは思いにくくなっているからに他ならない。NuAns NEO [Reloaded]は、QualcommのSnapdragon 625というSoCを採用しているが、これはあくまで“中上位”のプロセッサだ。それでもなお(最新の3Dゲームはともかくとして)多くのアプリがよどみなく動いている。

【訂正:2019年3月11日午前2時30分 記事初出時にSnapdragonのモデル名が誤っていました。おわびして訂正いたします】

 ここ2〜3年のスマートフォンはカメラの大幅な性能向上が買い替えを促してきたが、今年、MWC 2019(毎年2月にスペイン・バルセロナで開催される世界最大級の携帯通信関連イベント)までに発表されている製品を俯瞰(ふかん)する限り、そうした「新しいモデルでの違い」を出すのも、なかなか難しくなってきたようにみえる。

 毎年の買い替えを促すことがナンセンスであることはもちろん、2年に1度の買い替えも現実的ではなくなっている。一部のアーリーアダプターを除けば、3〜4年に1度の買い替え、あるいはもっと長期の使用が一般的になってくるだろう。

 もっとも、これはパソコンを昔から使ってきた読者にとっては「昔来た道」である。

製品選びのモードチェンジがスマートフォンにも

 かつてはパソコンの新機種が出る度に、あらゆるメーカーの製品をテストしたものだ。パフォーマンスは必ずしも、使っている主要部品だけで決まるわけではなく、快適性やメンテナンス性を含めると、横並びで評価を繰り返す意味があった。

 それも「少しでもパフォーマンスが欲しい」「少しでも快適な方がいい」「少しでもバッテリーの持ちがいい方がいい」「少しでも発熱が少ない方がいい」と、多くのユーザーがパフォーマンスに対して渇望していたからに他ならない。

 しかし、デスクトップPCの性能に対する要求が(一部のユーザーを除き)飽和し始めると、主な評価対象はノートPCへと移り変わっていった。もちろん、パソコンは高パフォーマンスな方がいいが、毎年のように買い替えていくのが当たり前だった時代があったことを考えると、製品選びのモードが大きく変わってきたことをあらためて感じる。

 画面サイズや使い勝手など、多様な要素を含むスマートフォンの場合、PCよりも事情は複雑だが、製品選びに対するスタンスはやはり大きく変化してきている。

 2年契約でスマートフォンを購入し、更新するというサイクルで新しいスマートフォンが浸透していくことを前提とした商品企画と、ユーザーの「買い替えたい」という欲求の高まりの速度感がバランスしなくなってきている、そんな感覚を遠くバルセロナにおける新型スマートフォンの発表会中継、あるいはその直前に行われたSamsungの新型「Galaxy」の発表を見ながら抱いた。

 もちろん、それはAndroid端末だけでなくiPhoneについても同じだ。

 「iPhone X」に搭載されていた「A11 Bionic」と、「iPhone XS」などに搭載されている「A12 Bionic」では大きなパフォーマンスの差、電力効率の差などがあるが、一方で主要なアプリの動きに大きな差があるわけではない。

iPhone XS iPhoneの2018年モデル「iPhone XS」

 もちろん、進化とは「積み重ね」だ。1年で大きな違いを生み出すことはできなくとも、数年にわたって改良を加えていくことで、前には進んでいける。

 ここ数年でいえば、ニューラルネットワーク処理の能力を高めるとともに、カメラの画質を向上させることが一つのテーマとなってきた。しかし、そうした直接的な機能、性能の進化とは別の視点での変化が求められるようになっている。

 それは「4年以上、同じ端末を使い続ける人が増える」ことを意識した商品戦略だ。

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