新「MacBook Air」を試して分かった真の実力 2020年の“標準Mac”が誕生本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

» 2020年03月20日 21時30分 公開
[本田雅一ITmedia]

 新型「MacBook Air」に関しては、3月18日の発表から既に多くの情報が発信されている。この記事にたどり着いた方々の関心事は、「では実機のデキはどうなのだ?」ということだろう。

macbook air 2020 「MacBook Air」の新モデル(左)と旧モデル(右)

 まずは結論を書いておきたい。もし、あなたがWindows搭載機ではなく、Macを選ぼうと既に決めているのであれば、新型MacBook Airはノートパソコンとして「最も標準的な選択肢」だ。

 なぜなら、適応するユーザーの範囲が広いからだ。しかも搭載するキーボードは、過去に使ってきたあらゆるMacBookの中で、最も快適なタイピング体験をもたらしてくれる高品位なものだ。

 少しでも価格を抑えたい(とはいえ安普請ですぐに壊れたり、使い勝手や質感が悪かったりでは満足できない)と思っている方から、薄く軽量だけれどパワフルなスペックのノートパソコンが欲しい方までフィットする製品になった。

 Apple直販価格10万4800円(税別)の最小構成でも十分に高い性能・実用性を発揮し、学生・教員向け割引を活用すれば10万円を切る9万3800円で入手できる。さらに3万円を追加すれば、最新の第10世代Intel Coreプロセッサ(開発コード名「Ice Lake」)をクアッドコアCPUにすることができ、その性能は「13インチMacBook Pro」に匹敵するパワフルな構成となる。

 さらには搭載できるPCIe SSDの容量が従来の2倍、2TBまで選択可能になった。こうした改良によって、以前よりもMacBook Airがスイートスポットとなるユーザーの範囲が広がっているのだ。

macbook air 2020macbook air 2020 天面と底面のデザインは新旧モデルで変わっていない

シングルスレッド処理性能は13インチMacBook Pro超え?

 実際、新型MacBook Airはとても快適に動作する。これまで「性能面での不安がある」とMacBook Airを敬遠していた人たちでさえ十分と考えるだろう。少し長くなるが、まずは性能面について書いていきたい。

 実は約1年半前、MacBook Airが久々のフルモデルチェンジを果たした際、筆者はそのレビューを終えた後、プライベートで使う道具にMacBook Airではなく13インチMacBook Proを選択した。

 ディスプレイサイズもフットプリント(底面積)も同等の両モデルは、さまざまなスペックをそろえていくと価格が近くなるため、今回も比較しながらどちらを選択するか迷っている方も多いのではないだろうか。

 1年半前の選択は簡単だった。筆者が選んだMacBook Pro(2018)は、Coffee Lakeと呼ばれる第8世代Coreを搭載。当時、13型クラスのMacで唯一クアッドコアCPUを搭載していた。仕事の道具として購入する以上、頻繁に買い換えるのではなく、長く使い続けていきたいという気持ちから将来的な余裕を選んだわけだ。

 もっとも、このときに比較した先代MacBook Airが、格段に低性能というわけではない。先代モデルが採用していたのはAmber Lake(開発コード名)世代のCore i5。まるでファンレス設計のように見える、空気導入部が隠されたデザインやくさび形のフォルム、軽さ、価格といった部分よりも重要だと感じたからだ。

 ところが新型MacBook Airで採用したIce Lakeは、前モデルよりも大幅に高性能になっているだけではなく、筆者が使っているCoffee Lake搭載の13インチMacBook Proに勝る部分もあるほどの性能を持っている。

 例えば、前モデル(Amber Lake・1.6GHz・デュアルコア)でベンチマークテストのGeekbenchを動かすと、シングルスレッド(単一処理)性能のスコアは680〜700、これに大して2018年モデルの13インチMacBook Pro(Coffee Lake・2.3GHz・クアッドコア)は900前後だった。

 一方、新型MacBook Airのテストモデルは標準構成上位のCore i5モデル(Ice Lake・1.1GHz・クアッドコア)で1080〜1090程度の値をたたき出した。これは現行MacBook Proのスコアに匹敵する。

macbook air 2020 左が新モデル、右が旧モデル。わずかな違いだが、プロセッサの世代交代に伴い、新モデルは最厚部が0.5mm増して16.1mmに、従量は40g増して1.29kgとなった
macbook air 2020 左が新モデル、右が旧モデル。最薄部はどちらも4.1mmで変わっていない

 また、内蔵GPUであるIris Plus Graphicsの性能も期待通り。Core i5モデルであるテスト機は実行ユニットが64基搭載されており、GeekbenchのGPU演算テスト(Metal)では8400〜8500程度のスコアを出している。前述の13インチMacBook Pro 13(2018)は6000前後のスコアで、こちらも旧モデルとはいえ凌駕(りょうが)している。

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