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» 2020年08月12日 11時00分 公開

牧ノブユキの「ワークアラウンド」:PC周辺機器の公称スペックと実物が同じにならないメーカー裏事情 (1/2)

PC周辺機器では、公称値と実機とでスペックがズレているケースはよく発生する。中でも「製品重量のズレ」と「ケーブルの長さ違い」はありがちだ。これらはどのようなプロセスで発生するのだろうか。

[牧ノブユキ,ITmedia]
work around

 PC周辺機器などで、公表されている製品スペックと、実際のスペックが異なるのはよくある話だ。製品をよりよく見せるための故意的な、いわゆる優良誤認という話ではなく、例えば重量が公称値よりほんのわずかに重いとか、あるいは付属のケーブルが1mと書かれているのに1.5mはあるといった、ほとんどのユーザーが気にしないような違いだ。

 大抵の場合は大きな問題にならないのだが、逆になぜこうした間違いが発生するのかをさかのぼってみていくと、製品開発のプロセスが垣間見えて興味深い。今回はこうしたスペック誤表記の中でも比較的多いと思われる「製品重量のズレ」と「ケーブルの長さ違い」を例に、これらがどのような理由で発生するかをみていく。

企画時の仕様が修正されないまま残る「製品重量のズレ」

 まず製品の重量についてだが、これらの取り違えは、主に自社で設計開発を行っているメーカーでよく発生する。自社で作っているのになぜ重量が違ってくるのかというと、企画段階に目標としていた重量が、修正されずに仕様書に残ってしまう場合があるためだ。

 新製品を企画する際、どのくらいの重量を目指すかが決められる。例えば従来のモデルが500gだった場合、軽量化をアピールするために、目標値が450gに定められる。この段階ではあくまでも目標値で、特に裏付けがあるわけではない。かなり適当な値だ。

 ハードウェア担当はこれを目指して、ボディーの素材や強度、部品の点数などをやりくりしながら軽量化を目指すわけだが、当然ながらこの450gぴったりで終わることはない。目標に若干届かず455gで終わることもあれば、うまくいきすぎて438gまで軽量化できてしまうこともある。

 この値は最終的に仕様書に反映されるべきなのだが、企画担当者がうっかりしていて、当初の目標値がそのまま出てしまうことがある。というのも、仕様書の中で最終的に書き換えを必要とする項目は、この重量以外にはほとんどなく、仕様書を修正するというフロー自体が存在しない場合があるからだ。

 最終的に書き換わる可能性がある仕様としては、重量以外ではバッテリーの駆動時間があるが、こちらはテスト環境による値の変動が激しすぎて、不正確な値でも問題になることはまずない。これに対して重量は一目瞭然なので、ズレがあればすぐに発覚する。

 ついでに言うと、重量については、いったん実働サンプルが上がって確定したはずが、その後に生産した量産品で測ったらまたズレていることがあるので始末に悪い。その段階で新製品発売のプレスリリースが出てしまっていたら、直しようがない……となるというわけだ。

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