ところでこうした「値下げ」の本質を見極めるときに、非常に扱いが難しいのがAmazon.co.jpだ。Amazonについてはここまで述べてきたような傾向が当てはまらず、使い慣れた人であってもうっかり手を出して失敗したり、また逆にお買い得品を見逃したりすることが少なくない。
理由は幾つかある。ひとつは販売力が突出しているため、メーカー側が前述のワケあり品をAmazonにだけ流して処分するケースがあることだ。「特定の販売店だけの値下げ」にみえて、実はそうではないというわけである。最近は実質Amazonでしか販売されていない製品もあったり、Amazon向けの独自型番の製品もあったりするので、なおさら傾向が読みにくい。
ツールの存在が足かせになっている場合もある。Amazonには価格の推移を表示できる「Keepa」などのサードパーティー製ツールがあるが、あまりに便利すぎるせいで、他の販売店との価格比較を行うべきところ、うっかりこれ単体で見極めようとしてしまいがちになる。「最安値が出た」と喜んでいたら、実際には他の販売店でも同じくらい下がっていたというケースはよくある。
Amazonマーケットプレイス業者の見極めも難しい。Amazonに出品しているマーケットプレイスの業者は、メーカーとの間に卸業者を挟んでいたり、あるいは大手の販売店と比べて序列が下であったりする。そのせいで、メーカーが値下げを行った場合も前述のような補填を受けられなかったり、受けられても後回しにされたりすることがあるのだ。全てのマーケットプレイス業者にこの傾向があてはまるわけでもないので、見抜くのはなお難しい。
このように、Amazonだけはここまで説明してきた傾向があてはまりにくく、ともすれば逆の判断をしてしまうことも少なくない。複数の販売店の価格を比較する上で、結果的にAmazonが最安値になっていれば選ぶ価値はあるが、Amazonでのみ価格の推移をウォッチしていると視野が狭くなるリスクがあることは、認識しておくべきだ。
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