続いては「ひずみ補正」だ。
現状のVRヘッドセットは、ひずんだ映像を出力してレンズを使って補正することで、人間の目で見たときに画面いっぱいにきちんとした映像が映っているように見せている。しかし、こちらも動的な補正は行われておらず、これを実現するにはレンズの製作やシステム開発に長い期間が必要になるという。
そこで同社では、視線の移動も考慮して歪みの補正を行う「ひずみシミュレーター」を開発した。これにより、物理的なレンズやシステムを作ることなく、ひずみ補正のアルゴリズムを検討できるようになったそうだ。
ザッカーバーグCEOが「ディスプレイ技術における最後の大きなフロンティア」と語ったのが、HDR(ハイダイナミックレンジ)だ。従来の低輝度でダイナミックレンジに乏しいディスプレイを一新させ、より明るく/暗く表示できるようになれば、映像はさらにリアルに感じられる。とはいえ、Meta Quest 2は100ニト程度で、ウェアラブルデバイスでこの数値を超えるのは大きな課題があるという。
そこで、同社が開発したプロトタイプは「Starburst」だ。液晶ディスプレイの背面に明るい光源を取り付けて最大2万ニトを実現した、(同社いわく)世界で初めてのHDR VRシステムとのこと。
ただし、まだ第1世代であり、製品として出荷するのは現実的ではないとザッカーバーグCEOを述べた。
これまで触れてきた要素をまとめたVRヘッドセットとして、紹介されたプロトタイプが「Holocake 2」だ。これまで試作を積み重ねてきたVRヘッドセットの中で、最も薄くて軽く、既存のPC用タイトルを全て動かすことができるという。
その秘密は、従来のようにレンズを通してディスプレイからの光を届けるのではなく、“ホロケーキレンズ”を通して目に届くことと、偏光反射を利用してディスプレイと目の間の距離による影響を軽減することにある。
現状の課題は“光源”で、これまでのLEDではなく半導体レーザー(レーザーダイオード)が必要になるが、安全かつ低コスト、さらにスリムなVRヘッドセットに適したスペックのパーツはまだ世の中になく、今後の技術進化が欠かせないという。
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