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ベネッセがAzure OpenAIを使った「自由研究おたすけ AI」を無償公開 子供×生成AIに不安を覚える保護者はどう感じたか(1/2 ページ)

» 2023年07月13日 04時00分 公開
[山口恵祐ITmedia]

 “進研ゼミ”のベネッセホールディングス(以下、ベネッセ)が、生成AIを使った「自由研究おたすけ AI」を7月25日から9月11日までの期間限定で無償公開する。子供が生成AIを利用することに不安を覚える保護者はどう感じるのか。報道陣に公開された親子体験会を通じて、生の声を聞いた。

photo 「自由研究おたすけ AI」体験会に複数の保護者と子供が参加した

Azure OpenAI Serviceでベネッセが独自開発

 自由研究おたすけ AIは、ベネッセがMicrosoftの「Azure OpenAI Service」を利用して独自にカスタマイズした生成AIサービスだ。子供からの自然言語による質問とキャラクターの返答によるやりとりを通じて、自由研究でどんなテーマを設定すればいいか、その研究に適した観点とは何か、具体的にどう進めればいいかといった工程の考え方をアドバイスする。

photo 質問のやりとり
photo 生成AI特有の質問方法などもガイドする

 同社の通信教育講座「進研ゼミ」などを契約している必要はなく、保護者のメールアドレスを用いた利用登録を行えば、誰でもPCやスマートフォンなどのWebブラウザから専用サイトにアクセスして利用できる。

あくまで子供の思考をサポート 答えは提示しない

 ベネッセが強調するのは、あくまで子供自身が自由研究について考えることをサポートするツールが自由研究おたすけ AIであり、答えそのものを提示するサービスではないということだ。

 例えば、AIの回答文は小学生でも分かりやすいように約200文字という文字数制限が設けられている。さらに、答えをそのまま提示するのではなく、子供自身に考えてもらうことを促す内容を返答するようにカスタマイズされている。1日に質問できる回数にも10回という制限を設けることで、子供が好奇心のまま単純な質問を繰り返さないように工夫しているという。

photo 目的外の利用──例えば読書感想文の代筆をお願いしたり、公序良俗に反する質問をしたりすると、警告メッセージを表示して質問をやめるように促す

 必ずしも正確な内容が回答されるわけではないといった生成AI特有の危険性にも配慮している。サービスが利用される前に「使い方の5か条」と題した、生成AIに関する情報リテラシーのコンテンツを提示する。内容は「必ず保護者と一緒に使う」「個人情報を入力しない」「生成された回答をそのまま使わず、内容が正しいかを調べる」といったものだ。

photo サービスを利用する前に、生成AIの使い方について動画とテキストで案内する

 また、多くの生成AIは入力された内容を精度向上を目的に再利用するケースが目立つが、自由研究おたすけ AIでは入力された質問の内容を再利用することはなく、他の利用者の回答に使われることはないという。

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