ベネッセの的場一成さん(小学生事業本部 本部長)は「これからの未来を生きていく子供たちに、生成AIにいち早く触れてもらって学びに生かしてほしい」と話す。
同社が全国の小学3年生から6年生までの子供と、その保護者1032組に行った調査によれば、「ChatGPTを知っている」と答えた518人の保護者の中で「積極的に使ってほしい」「少し使ってみてほしい」と肯定的に答えたのは56%に上った。その中には「新しい技術の活用力を養うよい機会になりそうだから」「子供が新しい興味に出会えそうだから」といった声があった。
一方で、30%の保護者が「あまり使ってほしくない」「全く使ってほしくない」とも答えた。否定的な声には「自分で考えなくなりそうだから」「自分で書いて表現することをしなくなりそうだから」「情報の正誤の判断がつかなさそうだから」といった意見があったという。
ベネッセはこの結果を受け、「いち早く子供たちが生成AIに触れて学びに生かすためには、安心して生成AIを利用できる環境を構築する必要性を感じた」と説明している。
7月12日には、ベネッセが事前に募集した保護者と子供による自由研究おたすけ AIの体験会が開催された。
参加した保護者の1人に話を聞いたところ、これまで子供が生成AIを利用することに抵抗があったという。
「自分自身がネット検索などを多用することで漢字が思い浮かばなくなったり、答えがすぐに提示されることに慣れてしまっていたりする。(子供もそうした環境に慣れてしまうと)調べたり、考えたりする力が失われるのではないかと心配になる」(女性の保護者)
この保護者は自身がChatGPTなどを使った経験はないというが、実際に自由研究おたすけ AIを試したところ、唯一利用経験があった従来型のチャットbotと比較して、その便利さに驚いたという。今回の体験を通じて生成AIについて不安が完全に払拭されたわけではないとしながらも、ベネッセが提供するサービスなら信頼して試せると評価していた。
ベネッセは4月に独自の社内チャットAI「BenesseChat」を導入し、1万5000人のグループ社員が生成AIを業務利用できる環境を整えている。6月には自社のコンタクトセンター業務にも生成AIを活用するなど、生成AIの利用に前のめりだ。今回の自由研究おたすけ AIも、顧客向けサービスで生成AIを活用するアイデアを検討して具現化したものだという。
自由研究おたすけ AIは期間限定サービスではあるが、同社は得られた知見をもとに他サービスでも生成AIを活用する研究開発を進める考えだ。
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