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お客さまの悩み事を解決して時を生む! コロナ禍を経てTOKIUMが“脱皮”したワケIT産業のトレンドリーダーに聞く!(2/3 ページ)

» 2024年08月27日 12時00分 公開
[大河原克行ITmedia]

B2CでスタートするもB2B向けに注力 ブレイクしたきっかけは?

―― TOKIUMでは、B2C向けの家計簿ソフトの発売後に、B2B市場に事業を拡大していくことになりますね。この理由は何でしょうか。

黒崎 2012年に創業して、約1年後の2013年に家計簿アプリ「Dr.Wallet」(ドクターウォレット)を発売しました。そして、2016年に、B2B向けの「Dr.経費精算」(現TOKIUM経費精算)を発売しています。私自身は、B2C向けの家計簿アプリでビジネスを拡大したいと考えていたのですが、ダウンロード数が300万人を超えた段階でも収益化ができていませんでした。

 ユーザーは無料で利用できる一方で、私たちが収益を得るには、収集したデータを加工して販売するとか、ユーザーに広告を視聴してもらうとかが中心となるのですが、Facebookなどの成功を見て、最初は赤字でも、いいものを提供し続けて利用者が増えれば、収益が生まれるはずだという妄信を実践してしまったところに反省があります。

 全ての事業が決してそうはなりません。やり直すことができるのであれば、1人増えれば、1円でも収益が生まれるという仕組みを最初から構築し、それをスケールすべきだったと思っています。

TOKIUM経費精算の利用イメージ TOKIUM経費精算の利用イメージ

 ただ、会社を維持するためには事業転換をしなくてはなりませんし、サービスを終了すると多くの人たちにご迷惑をおかけします。そのときに考えたのが、家計簿アプリで培ったレシートのデータ化エンジンを、B2B向けに展開することでした。出資をいただいていた金融機関からは、B2C向けでやり切ってほしいとはいわれていたのですが、私自身、B2Bにこのエンジンが使える可能性を感じていました。

 そのきっかけの1つが、創業後に「KDDI ∞ Labo」に参加したときの出来事でした。

 KDDIのような最先端の大手通信会社の社員がコピー機を使って領収書をコピーし、原本はノートにのり付けして管理している様子を知って、とても違和感を持ったのです。不思議に思って、他の大手企業の社員にも聞いてみたのですが、どこも同じことをしている実態が分かりました。

 法人向けの経費精算システムを見てみると、「何十年前のシステムなの?」と思えるようなものばかりで、B2Cでは当たり前だったスマホアプリでレシートを撮影し、経費の管理ができるといったような体験をどこも提供できていないことが分かりました。

 私たちがB2Cで培ったノウハウを、そのままB2Bに持ち込めば、多くの人に喜んでもらえるのではないかという読みがありましたね。

 本当はB2Cで、格好いいビジネスモデルで事業をやることに憧れていたのですが(笑)、B2Bでは困っている目の前の人たちの課題を解決し便利さを感じてもらい、継続的に貢献でき、そこから対価をいただくというビジネスモデルが自分に合っていることに、そのとき気がつきました。

 八百屋さんが毎日おいしい野菜を販売して地域の人たちに喜ばれたり、新聞配達をしてもらったりすることによって、毎朝、自宅で新聞が読めるといったことと同じです。お客さまに喜んでもらうために、絶対に投げ出さないという仕事が、私には合っているようです。

―― ちなみに、家計簿アプリ「Dr.Wallet」のビジネスは黒字化しているのですか。

黒崎 今は子会社のBearTail Xで事業を継続しており、全体として黒字化しています。今後は生成AIを利用して、支出に対するアドバイスをするといったことも可能になりますから、ビジネスを拡大するチャンスがあると考えています。

―― TOKIUM経費精算は、どんなところが評価されたのですか。

黒崎 最初はスマホを使ってレシートを撮影するだけで、経費精算ができるアプリという使いやすさが評価されました。ただ、このアプリの利用企業が爆発的に増加したのは、あるサービスを付加したことでした。

TOKIUM経費精算の流れ。出先からスマホだけでも経費精算が行えるなど、経費精算に関わる手間や時間を大幅に削減できる

 社内にポストを設置して、レシートをスマホで撮影した後に、このポストに原本を捨ててもらい、これを回収するサービスを開始したのです。これによって、オフィスの中では完全なペーパーレス化を実現できること、原本は法律にのっとって当社が整理して10年間保管し、その後は正しく廃棄しますから、安心してデジタル化を進めることができるのです。単にレシートをデジタル化するだけでは、ニーズには応えきれていないことが分かり、このサービスを開始したわけです。

 2019年1月に、領収書のデータ化/回収/点検/保管まで一括代行する「Dr.経費精算 ペーパーレスプラン」の提供を開始したところ、12カ月で業績は3倍に拡大しました。お客さまからは、「法律に準拠しながら、ペーパーレス化するのは無理だと思っていたが、TOKIUMのアプリとサービスを利用することで実現できた」という声をいただいています。

 特に、大手企業のお客さまからの評価が高いですね。今、当社が保管しているお客さまの領収書は、10トントラックで5台分ぐらいになるかもしれないですね。

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