11月で創業65周年を迎えるPFU。
これまでは同社の歴史や同社ならではの強みとこだわり、そして現状を見てきたが、最終回の今回はイメージスキャナーの開発において使用されている本社にある各種試験設備を紹介しよう。
石川県かほく市にある本社は開発拠点となっており、さまざまな試験設備が設置され、それがPFUから生まれる製品の高い品質を下支えしている。
実際に見学してみて感じたのは、想像を超える水準の試験が行われていることだ。中には、約半年におよぶ連続試験を行っているものもある。同社の品質へのこだわりが、これらの試験設備から分かるだろう。
PFUが本社敷地内に設置している大型試験設備の1つが、10m法電波暗室だ。敷地面積は1500m2、延床面積は1876m2、という大きさを持つ。
EMC(電磁両立性)規制に準拠すべく電磁波を計測する設備で、製品から発生するノイズを出さないこと、他からのノイズに耐えられるかどうかを確認できる。つまり、スキャナーから不要な電磁波を出さないこと、同時にノイズによって誤動作を起こさないことを確認する試験だといえる。
スキャナーは、紙送り機構を始めとして稼働部分が多いため、PC本体などに比べても、より綿密な測定が必要だという。
現在、同社では100カ国以上にスキャナーを出荷しており、日本/北米/欧州/アジアといった各国の規制に合致した仕様になるように、何度も実験を繰り返してから製品化する。スキャナーメーカーで、この規模の電波暗室を持つ企業は他にはなく、海外規格の認証を得る際にも、事前に試験を行えるメリットは大きい。
「過去20年間を振り返っても、Wi-Fiの普及など機器を取り巻く電波環境は大きく変化している。自社で電波暗室を持つことで、そういった変化を捉えた試験をいち早く実施できるメリットがある」(PFU ドキュメントイメージング事業本部グローバル戦略統括部の轡田大介さん)と語る。
開発部門と同じ敷地内にあることから、試験結果をすぐに開発部門に反映して改良を加えることができるというわけだ。
スキャナー以外にも、リコーPFUコンピューティングが製品化している組み込み型コンピュータや、PFUが開発したキオスク端末なども試験を行っており、製品化の速度を高めることにもつながっている。
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