1960年に石川県宇ノ気(現在の石川県かほく市宇野気)でウノケ電子工業として創業し、黎明(れいめい)期のオフコンやミニコンなどの市場をリードしたPFU。現在ではリコー傘下で、イメージスキャナーなどによるドキュメントイメージング事業を中心に展開している。
また、プロフェショナルユーザーを中心に高い評価を得ているキーボードの「HHKB」(Happy Hacking Keyboard)も、同社を代表する製品1つだ。
石川県かほく市宇野気にある本社を訪れて分かったのは、優れた技術集団が徹底したこだわりによって、モノ作りを行っているということだ。今回は主力事業であるイメージスキャナーにフォーカスし、同社の取り組みを追った。
PFUの主力事業はイメージスキャナーだ。
1983年にイメージスキャナーの1号機として「U4301A」を発売してから40年以上が経過し、これまでに全世界累計で1600万台を出荷済みだ。この分野において、世界No.1のシェアを維持している。
同社のスキャナー製品は全世界100以上の国と地域で販売されており、金融/医療/官公庁/製造など幅広い用途で利用されているのが特徴だ。
エポックメイキングな製品を中心に、これまでの歴史を振り返ってみよう。
2000年に発売されたのが、イメージデータの再現度を向上させた同社初のカラースキャナー「fi-4750C」である。2013年には世界初の音検知による原稿保護機能を搭載した「fi-7180/7280」を発売。さらに、2016年には、高速読み取りを可能とし、クラス最小サイズのコンパクトさと省スペースを実現した「fi-7460/7480」を投入してきた。
一方、個人向けのScanSnapシリーズは、1998年に前身となるイメージスキャナー「Pragma」(プラグマ)を発売。2001年7月に、ScanSnapシリーズ最初の製品として、パーソナルイメージスキャナー「fi-4110EOX」を国内で販売を開始した。ワンプッシュPDF機能や自動画像処理が高い評価を得た。
さらにScanSnapシリーズは、2002年からグローバル展開を始めた。2005年には世界初のmacOS対応ADFスキャナーである「fi-5110EOXM」を発売し、2006年には業界トップクラスの認識精度を備えたカラー文書認識技術による検索が可能なPDFを出力できる「S500」、2009年にシリーズ初となる超音波センサー搭載の「S1500/S1500M」を販売開始。電子化した名刺や書類などの検索や活用を容易にした。
2011年には、折り畳み傘と同程度のサイズで、約350gの軽量化を実現したモバイルスキャナー「S1100」を発売したのに加え、2013年には新聞や書籍などがそのままスキャンできるオーバーヘッド読み取りが可能な「SV600」をリリースした。ユニークな製品提案もPFUの特徴といえるだろう。
ちなみにSV600は、意外な用途でも活用されている。例えば、基板製造ラインの検査工程に導入され、基板を直接スキャンすることで、部品が正しく搭載されているかどうかを確認する用途にも活用されているという。
そして、2025年6月にはScanSnapシリーズの新たなフラッグシップモデルとして、「iX2500」を発売。時間や場所、デバイスの垣根を越えて、いつでもどこでも利用できる新たな利用提案を行っている。
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