亡くなった家族が、画面の中からその姿、その声で語りかけてくる。それを可能にするAI故人サービスは、日本国内でも2024年末頃から複数の企業が提供するようになっている。
その中でも、複数タイプのAI故人を追加投入するという独自のスタンスをとっているのが、AIソリューション企業のニュウジアだ。
同社はまず、2024年12月に双方向のコミュニケーションが取れるAI故人サービスとして「TalkMemorial.ai」(トークメモリアル・エーアイ)の提供を開始した。
その9カ月後には、故人が画面から語りかける片方向タイプと、対話可能ながら専門スタッフを介さず、利用者自らが素材をアップロードして生成する「双方向タイプ ライトプラン」を追加した。
さらに2026年1月には、亡くなったペットから双方向型のAIアバターを生成する「PetMemory.ai」(ペットメモリー・エーアイ)という姉妹サービスも投入している。
元祖のプランは、後に「双方向タイプ プレミアムプラン」と区分けするようになった。それぞれのサービス概要と料金体系は以下の表の通りだ。
双方向のコミュニケーションが可能なタイプは、同社のサーバにアクセスして利用するのが基本線となる。素材は故人の正面の姿と音声の入った動画が必須だ。
加えて、故人の生い立ちや性格、依頼者との思い出などの情報をテキストで提供することで、より「らしさ」を再現できるように整えていく。ペット向けでは写真とテキスト情報が必須素材となる。犬と猫なら、鳴き声を含めたコミュニケーションも取ることが可能だ。
サービス開始から1年強が経過した。具体的な契約数は非公開ながら、人向けのTalkMemorial.aiだけでも100件を優に超える依頼を受け、アバターを生成してきた。
そのうち、もっとも高価な双方向タイプ プレミアムプランの依頼は50件超に及ぶ。依頼件数はメディアに取り上げられたときに急増することもあるが、おしなべて見ると横ばいに近いペースだという。
一般的な消費者向けサービスとしては、決して多い数値ではないだろう。けれども、忌避感が根強く残るAI故人サービスとしてはなかなか堅調な推移といえる。どんなニーズがTalkMemorial.aiに集まっていて、同社としてはこれからどんな方向にこのサービスを伸ばしていくつもりなのか、代表取締役の柏口之宏さんにインタビューした。
TalkMemorial.aiは、積極的な宣伝活動を行っていない。逆風を伴うサービスであることが初めから分かっていたからだ。柏口さんは言う。
「開発段階で100人にヒアリングしたら、8割から9割の方から『そんなものはいらない』と言われました。実際、万人向けにはならないサービスだと思います。大切な人を亡くしたとき、1〜2割の人の選択肢として提供できたらいいなと。そういう感覚で続けています」(柏口さん、以下同)
AIによるアバターの構築が求められる故人の属性は大きく2つある。依頼者の配偶者、あるいは子どもだ。依頼者の親が求められるケースはむしろレアだという。
「配偶者やお子さまとの死別は心の準備が追いつかないことが多く、より深い悲嘆に沈んでいる方が多いと思われます。依頼される文章を拝見していると、『心の整理がついていないのですが』との表現がよく目に入ります」
AIアバターという「別人」であっても、故人に近い存在と会話がしたい。大切なその人がいる空気を感じたい。そういった悲痛な思いから、自力でこのサービスを見つけ出し、依頼する人が多いのだそうだ。とりわけ、双方向タイプはそのパターンが大半だという。
ただし同社の倫理規定により、死後の出来事への言及はできないようにしている。例えば、2025年に亡くなった人が2026年の出来事を踏まえた会話をするといった行為はできない。
「それを可能にすると、故人の時間が止まっていないことになります。生きている家族とリアルタイムの併走ができてしまう。そこは依存を生む危険性がありますから、意識的に避けています」
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