NVIDIAがPC向けArm SoC「N1/N1X」で帰還? Windowsとの“匂わせ”から読み解く次世代ハードとPC市場:Windowsフロントライン(2/2 ページ)

» 2026年05月31日 15時30分 公開
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「Episode:Return of the NVIDIA」(NVIDIAの帰還)

 前置きが長かったが、ここで発表されるとみられるのが長らくうわさされていたNVIDIAの「N1」ならびに「N1X」のPC向けArm SoCだ。

 現在、QualcommのSnapdragon X2 Eliteシリーズ向けにWindows 11の「26H1」というバージョンのOSが展開されているが、「26H1」は本来“2種類のArmプロセッサ”向けに最適化されたOSバージョンだとされており、もう1種類の最適化先が「N1/N1X」というわけだ。

 今回のファン氏の講演ではデータセンター向けを含む広範なAI戦略についても説明が行われると思うが、同時に目玉の1つとしてPC向けプロセッサ市場への復讐――ではなく復帰が発表され、N1/N1Xの紹介と搭載ハードウェアのアピールがMicrosoftやPC OEMメーカー関係者とともに行われるという筋書きだ。

 NVIDIAのPC向けプロセッサ市場復帰は2013年に登場した「Surface 2」の「Tegra 4」以来13年ぶりのことであり、まさに満を持しての帰還という感じだ。

Computexのファン氏の講演では何が発表されるのか(写真はCOMPUTEX TAIPEI 2023での同氏の会見を撮影したもの) COMPUTEXのファン氏の講演では何が発表されるのか(写真はCOMPUTEX TAIPEI 2023での同氏の会見を撮影したもの)

 N1/N1Xについて現時点で判明している情報は少ないが、おそらくは「ハイエンドPC」市場がターゲットになっていると思われる。CUDAに対応したNVIDIA GPUがコアに組み込まれていることは確実なので、ターゲットとしてはゲーミングPCやクリエイター向けPCが中心となる。

 また、近年ではローカルLLMの動作のためにPC上に大容量メモリや高性能のGPUを搭載する需要もあり、こうしたユーザーもターゲットになるかもしれない。結果として、大量のCPUコアと最新世代に近いNVIDIA GPU、そして大容量メモリを搭載することとなり、フォームファクターもノートPCを中心に、Mac mini/StudioのようなコンパクトなデスクトップPCまで、比較的幅広いラインアップをそろえる可能性が高いとみている。

 実際、NVIDIAの基調講演のタイミングで解禁されるとみられるノートPCの新製品情報がリークされており、そこに記載された内容がこの推測を裏付けるものとなっている。

 それによれば、上位版のN1Xについて、20のArmコアを備えた6144CUDAコア(GeForce RTX 5070相当)搭載のBlackwellベースGPUとなっている。

 メモリについての記載はないが、こちらもおそらくは複数の容量オプションが用意され、CPU+GPUの共有分と合わせて最大で64〜128GB程度のメモリが搭載可能なのではないかと予想する。

 スペックを見れば分かるように明らかにハイエンド領域の製品で、価格帯も(N1の)最低ラインが30〜40万円クラスで、(N1Xの)上位モデルでは100万円台に達する可能性がある。

台湾・台北市内にある「Taipei 101」を望む 台湾・台北市内にある「Taipei 101」を望む

 手頃な価格……という面ではやや厳しいが、これまで「なぜArmプラットフォームをWindows PCで選ぶのか」という積極的な理由が主に“省電力”にあったことを考えれば、明確にパワフルなプロセッサを採用した超ハイエンドモデルがNVIDIA GPUを搭載して登場した意義は大きい。

 Qualcommが300ドルPCをターゲットにした「Snapdragon C」を発表したばかりだが、これまで主にミドルレンジに偏っていたWindows for Armの世界が、ハイエンドとローエンドのラインアップが拡充されたことで全方位をカバー可能になり、近年の対応ソフトウェアの拡充と合わせ、ようやく軌道に乗ってきたという印象を受ける。

 また、今回のN1/N1XとSnapdragon Cは明確にコンシューマー市場をターゲットとしており、MicrosoftがSurfaceの新製品をまずIntelプロセッサで固めた点と合わせ、当面の方向性として「Arm SoCはコンシューマー、Intel系はビジネス」のような形で区分けされた点にも注目したい。

 2026年後半から2027年前半にかけて、PC市場の動向を読み解く上で面白いトレンドだ。

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