エンタープライズ向けのAIサーバと聞くと、一般的なPCユーザーには縁遠い世界の話に思えるかもしれない。しかし、CPUやGPUの性能向上に伴う“爆熱化”をどう抑えるか、言い換えると冷却効率をどう高めるかという課題は、ハイエンドPCと通じる部分がある。
この記事ではCOMPUTEX TAIPEI 2026においてASUSTeK Computer(ASUS)が開設したプライベートブース(参観に申し込みが必要なブース)の展示内容から、データセンターの最前線で採用されている合理的な冷却の仕組みや、自作PCとも親和性の高い標準規格を用いた最新マザーボードの動向をレポートする。
AIサーバにおけるこれからのトレンドとして注目されるのが、発熱の大部分を占めるGPUを水冷(Direct to Chip方式)とする一方で、CPUは空冷のままとする「ハイブリッド冷却」だ。
ASUSのプライベートブースでは、これからのAIデータセンターをけん引するであろうNVIDIAの次世代プラットフォーム「NVIDIA HGX Rubin NVL8」と、IntelのXeon 6プロセッサを組み合わせた最新鋭の完全水冷ラックマウントサーバ「XA NR1I-E12LR」と、ハイブリッド冷却ラックマウントサーバ「XA NR1I-E12L」の2タイプが展示されていた。
完全水冷モデルはNVIDIAのリファレンス設計に従っており、高密度環境での熱効率を追求したものとなっている。しかし、今回ASUSが“独自設計”として強くアピールしていたのは、後者のハイブリッド冷却モデルだ。
サーバ1台当たりの消費電力が24.4kWに達する構成の場合、実は消費電力の大部分はGPUが占めており、約22kWにもなるという。見方を変えると、CPUの消費電力は全体から見てさほど大きくなく、全体の10%以下(約2kW)にとどまるそうだ。
消費電力の大きさは、基本的に発熱の大きさと比例する。さすがにGPUを空冷するのは厳しいかもしれないが、CPUなら空冷でも十分に冷却が可能というのがASUSの考えである。
全ての熱源を水冷化しない最大の理由は「メンテナンス性の向上」にある。CPUやメモリ回りを空冷のままにしておけば、パーツを交換する際に冷却液を抜く「水抜き」作業が不要になるのだ。
フル水冷だと、パーツ交換のたびに配管を外し、冷却液を排出して、交換後に再び液を満たす……という手間がかかる。一方で、ハイブリッド冷却なら従来のPCと同じ要領で素早くパーツ交換が行える。
ASUSによると、ハイブリッド冷却はメンテナンスにかかる時間を最大50%も削減できるという。
これからの世代を担う次世代プラットフォーム「NVIDIA HGX Rubin NVL8」と、Xeon 6プロセッサを搭載するAIサーバ「XA NR1I-E12L」。GPUは水冷だが、CPU部分は空冷を採用するハイブリッドモデルだ次世代のハイブリッド冷却が注目される一方で、現在出荷されている現行世代のハイエンドプラットフォーム「NVIDIA HGX B300」を搭載した“完全空冷”ラックマウントサーバ「XA NB3I-E12」も展示されていた。
本製品は水冷機構を持たないため、熱を排出するには物理的に大量のファンと空気の通り道となる空間が必要になる。その結果、ボディーの背が非常に高く、かつ分厚い構造となっている。
展示機は一般的な19インチラックに収まる設計だが、サーバラックの規格には「OCP(Open Compute Project)」準拠の21インチ幅のものもあり、それぞれに合わせた柔軟な設計が求められているという。
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