自作沼への入り口か? ロジクールGの新ゲーミングキーボード「G512 X 75」は“盛り込みすぎ”な意欲作だった(5/5 ページ)

» 2026年08月25日 12時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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境界線を超えるから「キワ」モノなのかも

 編集部で漏れたという「キワモノ」という言葉は、かなり的を射ていたな、という印象だ。G512 X 75はゲーミングキーボードの枠で評価しても、自作キーボードの枠で評価しても、どちらにも完全には収まらない。

 デュアルスワップ、SAPPリング、スイッチストッカー、True 8K、そしてまぶしいほどのライトバーにパームレスト。この機能の重ね合わせは、ゲーミング側から見ても自作側から見ても前例の少ない混ぜ方になっている。

 視野を市場全体に広げると、この立ち位置の妙がもう少しはっきりする。ガスケットマウントにホットスワップ、アルミ削り出しのボディーといったカスタム機の要件は、この数年で広東省のブランド群がほぼ埋め尽くした。

 入力体験と所有満足を突き詰める方向は彼らが押さえ、競技性能を突き詰める方向は欧米のゲーミングブランドが押さえている。G512 X 75が進出してきたのは、その2つの狭間の「速さのために作られていながら、中身を自分でいじることができる」という一角であるように思える。

 自作沼に深く浸かったユーザーにとって、G512 X 75は「盛り込みすぎの八方美人」という印象を持つかもしれない。だが、G512 X 75の役割をロジクールの安心感をベースにしながら、カスタムキーボードカルチャーによって先行しているカスタム性を新たなスタンダードとする端緒を開くことだと考えれば、この「キワモノ」な構成も理解できる。

 41キーにとどまるデュアルスワップ対応と9個のみの付属アナログスイッチ、別売となったパームレスト、そして樹脂製のボディーはコストとカルチャーを絶妙なバランスで実現した結果と思える。

 スイッチを差し替え、リングを足し、アクチュエーションを詰める。この行為そのものが面白いと感じた人は、いずれ本物の沼に足を踏み入れることになるのかもしれない。その最初の一歩として、保証とサポートの付いた大手メーカー製ほど都合のよい入り口はないだろう。

 既製品のゲーミングキーボードに物足りなさを覚え始めたものの、自作につぎ込む時間があればもっとゲームに費やしたい――そんなゲーマーにとって、G512 X 75は「いじる楽しさ」の扉を開けてくれる1台となりそうだ。

photo 専用のパームレストとセットで使ってこそ、真価を発揮できるモデルと言えそうだ
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