本体右上に、プログラマブル・ダイヤルが2基並ぶ。F12キーの脇に張り出すように配置された24段階ラチェットのダイヤルで、双方向の回転とシングル/ダブルクリックに対応する。
本体奥側、USB Type-C端子の脇には2つの物理ボタンが並んでいる。貴重なトッププレート領域を占有せず、独立したボタンは思いの外に操作性がよい。左のジョイスティックアイコンはゲームモードボタン、右のスキャナ風アイコンは後述するスキャンボタンだ。
本体には磁気式アナログスイッチ、SAPPリング、交換用キーキャップ、引き抜き工具、それにUSB Standard-A→USB Type-Cケーブルと保証規定が付属する。
G512 X 75で最も目を引くところは、半透明カバーから透けて見えるキースイッチ群だろう。
冒頭でロジクールG初が3つもあると記したが、キースイッチストッカーの搭載はキーボード史上初かもしれない。これだけで“イカレっぷり”が伝わってきそうだが、これはけっしてイキったデザインのみのものではない。
各キーキャップの下にはメカニカルスイッチが装着された状態で出荷されているが、ここに並ぶターコイズグリーン軸のスイッチはアナログスイッチとなっている。本機はCherry MX互換のメカニカルスイッチとのホットスワップだけでなく、WASDキーを含む左側のキーと矢印キー、合わせて41キーをTMR磁気式アナログスイッチと物理的に入れ替えることができる。
従来のゲーミングキーボードはアナログかメカニカルか、どちらを選ぶかがスタート地点だった。この2つの間には互換性がないからだ。
タイプ感など理想的なフィーリングの実装には高度な技術が必要だとは言え、メカニカルスイッチの電気的な構造は接触すればオン、離れればオフという極めてシンプルなものだ。
そのため、メカニカルスイッチ同士は事実上の標準規格による互換性がある一方で、オン/オフで表現できないアナログスイッチとは基板から別物となっている。
G512 X 75はそこに「どのキーをアナログ/メカニカルにするか」という第3の選択肢を持ち込んできた。しかもこれは何度でも交換可能で、望むならシーンによって使い分けることもできる。G512 X 75が「キワモノ」と称される最大の理由はここで、同社はこれを「デュアルスワップ」と呼んでいる。
G512 X 75で採用されているアナログスイッチは「Tunnel Magnetoresistance」(トンネル磁気抵抗)を利用したもので、磁気センサー技術としてはホール効果センサーの後継とされる。
磁石の接近をトンネル磁気抵抗効果の変化として読み取るため、高感度かつ温度安定性に優れるというメリットがある。メカニカルスイッチがセンターポール(中央の軸受け部分)と位置決め用の突起2本、電極2本の計5ピン構成であるのに対し、アナログスイッチの方は位置決め用の2ピンしかなく、電極は存在しない。
つまり、G512 X 75ではデュアルスワップを実現すべく、(各キーどちらか1つは確実に使われないにもかかわらず)電極ピンによるスイッチ内部での導通を検出する仕組みに加えて、TMRセンサーを基板側に備えている。TMRセンサーがステム直下ではなく近傍に配置されているのは、両方のスイッチが干渉しないための物理的制限によるものかもしれない。
アナログスイッチのアクチュエーションポイントは0.1mmから4.0mmまでキー単位で設定でき、キー連続入力を高速化するラピッドトリガー、浅押しと深押しに別の入力を割り当てるマルチアクション、AキーとDキーのような相反入力の優先度を決めるSOCD設定と、アナログキーボードに期待される機能は一通り押さえている。
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