自作沼への入り口か? ロジクールGの新ゲーミングキーボード「G512 X 75」は“盛り込みすぎ”な意欲作だった(2/5 ページ)

» 2026年08月25日 12時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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24段階の切り替えが可能なラチェット・ダイヤルを2基装備

 本体右上に、プログラマブル・ダイヤルが2基並ぶ。F12キーの脇に張り出すように配置された24段階ラチェットのダイヤルで、双方向の回転とシングル/ダブルクリックに対応する。

 本体奥側、USB Type-C端子の脇には2つの物理ボタンが並んでいる。貴重なトッププレート領域を占有せず、独立したボタンは思いの外に操作性がよい。左のジョイスティックアイコンはゲームモードボタン、右のスキャナ風アイコンは後述するスキャンボタンだ。

photo 本体右上にあるデュアル プログラマブル ダイヤル
photo 本体奥側のゲームモードボタン(左)とスキャンボタン(右)
photo ゲームモードでは、あらかじめ設定したキーが無効になる。設定はユーティリティーの「G HUB」から行う

 本体には磁気式アナログスイッチ、SAPPリング、交換用キーキャップ、引き抜き工具、それにUSB Standard-A→USB Type-Cケーブルと保証規定が付属する。

photo 付属品は、本体に収納できる磁気式アナログスイッチとSAPPリング以外に、5つのキーキャップ、2基の引き抜き工具兼スタンド、USBケーブル、保証書だ
photo かな印字なしで75%レイアウトの日本語配列を採用する。ホワイトモデルは思いの外にポップな印象だ
photo 底面上部に、5つのSAPPリングを入れるスペースがある
photo サイコフレーム感あふれる本体側面

デュアルスワップ対応――キワモノ機構の核心

 G512 X 75で最も目を引くところは、半透明カバーから透けて見えるキースイッチ群だろう。

 冒頭でロジクールG初が3つもあると記したが、キースイッチストッカーの搭載はキーボード史上初かもしれない。これだけで“イカレっぷり”が伝わってきそうだが、これはけっしてイキったデザインのみのものではない。

 各キーキャップの下にはメカニカルスイッチが装着された状態で出荷されているが、ここに並ぶターコイズグリーン軸のスイッチはアナログスイッチとなっている。本機はCherry MX互換のメカニカルスイッチとのホットスワップだけでなく、WASDキーを含む左側のキーと矢印キー、合わせて41キーをTMR磁気式アナログスイッチと物理的に入れ替えることができる。

photo インパクト抜群なスイッチストッカーがキーボード上部にある
photo 透明カバーを外し、9つのキースイッチを固定できる

 従来のゲーミングキーボードはアナログかメカニカルか、どちらを選ぶかがスタート地点だった。この2つの間には互換性がないからだ。

 タイプ感など理想的なフィーリングの実装には高度な技術が必要だとは言え、メカニカルスイッチの電気的な構造は接触すればオン、離れればオフという極めてシンプルなものだ。

 そのため、メカニカルスイッチ同士は事実上の標準規格による互換性がある一方で、オン/オフで表現できないアナログスイッチとは基板から別物となっている。

 G512 X 75はそこに「どのキーをアナログ/メカニカルにするか」という第3の選択肢を持ち込んできた。しかもこれは何度でも交換可能で、望むならシーンによって使い分けることもできる。G512 X 75が「キワモノ」と称される最大の理由はここで、同社はこれを「デュアルスワップ」と呼んでいる。

 G512 X 75で採用されているアナログスイッチは「Tunnel Magnetoresistance」(トンネル磁気抵抗)を利用したもので、磁気センサー技術としてはホール効果センサーの後継とされる。

 磁石の接近をトンネル磁気抵抗効果の変化として読み取るため、高感度かつ温度安定性に優れるというメリットがある。メカニカルスイッチがセンターポール(中央の軸受け部分)と位置決め用の突起2本、電極2本の計5ピン構成であるのに対し、アナログスイッチの方は位置決め用の2ピンしかなく、電極は存在しない。

 つまり、G512 X 75ではデュアルスワップを実現すべく、(各キーどちらか1つは確実に使われないにもかかわらず)電極ピンによるスイッチ内部での導通を検出する仕組みに加えて、TMRセンサーを基板側に備えている。TMRセンサーがステム直下ではなく近傍に配置されているのは、両方のスイッチが干渉しないための物理的制限によるものかもしれない。

photo スペースバー周辺を外したところ。工場出荷時には赤いメカニカルスイッチが装着されている。基板のストライプは、デュアルスワップ対応キーを示している
photo 左がデュアルスワップ対応キー、右が非対応キーの基板部分。センターポール受けの左にセンサーが見える
photo 左2つがメカニカル、右2つがアナログのキースイッチだ。アナログスイッチはセンターポール部分に穴が開いており、電極ピンが存在しない

 アナログスイッチのアクチュエーションポイントは0.1mmから4.0mmまでキー単位で設定でき、キー連続入力を高速化するラピッドトリガー、浅押しと深押しに別の入力を割り当てるマルチアクション、AキーとDキーのような相反入力の優先度を決めるSOCD設定と、アナログキーボードに期待される機能は一通り押さえている。

photo アクチュエーションポイントは0.1〜4.0mmまで0.1mm刻みで設定できる
photo 高速トリガーではキーを押下げた後、リセットまでに必要な移動量を指定する。連続入力の高速化が期待できる
photo 「キーの優先順位」では、相反するキーを同時に押したときの動作を設定可能だ

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