外観やスペックの確認はこれくらいにして、各種ベンチマークテストを通して本製品の実力を詳しくチェックしてみよう。なお、今回テストに用いたACEMAGIC Retro X3と、スコア比較用として用意したミニPCの主なスペックは以下の通りだ。
さまざまなアプリケーションを実行してシステム全体のパフォーマンスを測定する「PCMark 10」を用いて、実利用環境に近い形での実力を計測した。結果は以下の通りだ。
ACEMAGIC Retro X3はAmazon.co.jpの商品ページでRyzen 9 7940HSより高速であるとうたわれていたが、PCMark 10の総合スコアで比較してみると、Ryzen 9 7940HS搭載のミニPCと比べて約13.3%高いスコアを示した。
搭載メモリ容量が「16GB vs 32GB」と本機にとって不利な条件であったこともあり、WebブラウジングやWeb会議の性能を測るEssentialsや、3Dモデルレンダリングなどクリエイティブな作業を測るDigital Content Creationテストでは、比較用ミニPCに軍配が上がった。
しかし、ライティングや表計算など生産性関連の性能を測るProductivityテストでは、ACEMAGIC Retro X3が大差をつける結果となった。
メモリ容量のハンディを跳ね返し、総合スコアでRyzen 9 7940HS搭載モデルを上回った事実は、Ryzen 7 H255の持つ基礎的な処理能力がいかに高く、実作業において強力に作用するかを如実に示している。「Ryzen 9 7940HS搭載PCより速い」といううたい文句に間違いはないようだ。
続いて「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」(FF14ベンチマーク)を用いて、ACEMAGIC Retro X3が実際のゲームプレイに耐えうるかチェックしてみた。
今回のテストではゲーム内解像度をフルHD(1920×1080ピクセル)に設定し、画質を「最高品質」「高品質(デスクトップPC)」「標準品質(デスクトップPC)」の3パターンで実施した。結果は以下の通りだ。
内蔵GPUでありながら、フルHDでここまで高いスコアをたたき出すRadeon 780Mは、2023年春に発表されたアーキテクチャとは思えないほどの高いパフォーマンスを発揮している。
後継のRadeon 880Mが高い評価を受けている中でも、Radeon 780Mの実力はまだまだ現役だ。PCパーツ価格が高騰している現在、コストパフォーマンスを重視するユーザーにとって非常に心強い内蔵GPUといえるだろう。
ゲーミングPCとうたっているのであれば、AAAタイトルも内蔵GPUで動作するのではと考え、少し意地悪なテストを実施した。トップクラスに負荷の高い「Cyberpunk 2077」を用意し、画質プリセットを「ウルトラ」に設定した上で、ゲーム内のベンチマーク機能を使って平均フレームレートをチェックしてみた。
Cyberpunk 2077はFSRに対応しているため、今回は「FSR無効」「FSR 2.1(パフォーマンス設定)」「FSR 4(ウルトラパフォーマンス設定)」の3パターンを用意。それぞれ「フルHD(1920×1080ピクセル)」と「HD+(1600×900ピクセル)」時の結果を測定した。各パターンでのテスト結果は以下の通りだ。
【フルHD】
【HD+】
ここでRadeon 780Mの強みである「RDNA 3アーキテクチャ」が最大限に生きてくる。FSR 4は発表当初、RDNA 4がサポートするFP8命令でしか利用できなかったが、現在はRDNA 3がサポートするINT8命令ベースでも利用可能になっている。
今回はRDNA 3世代のRadeon 780Mでもテストを実施してみたが、このFSR 4による恩恵は驚異的といっていい。内蔵GPUでありながらフルHD、ウルトラ画質で平均40fpsを超えてくるのは見事だ。
従来、ゲームの動作が重ければ解像度を下げればよいといわれていた。しかし、低解像度で描画した映像をアップスケーリングし、AIや予測技術で新しいフレームを生成(補間)するFSRを有効化した場合、ゲーム解像度を下げたとしてもパフォーマンス向上の幅は小さくなる傾向がある。だからこそ、フルHDのまま高いフレームレートをたたき出せるFSR 4の有用性が際立つ。
強力なRyzen 7 H255の地力と、RDNA 3アーキテクチャによるFSR 4対応の組み合わせが、ACEMAGIC Retro X3を超小型ゲーミングPCへと昇華させ、高コスパなゲーミング環境を実現している。FSR 4に対応したゲームであれば、内蔵GPUであっても怖いもの知らずといってよいだろう。
それでは総評に移ろう。ACEMAGIC Retro X3は、結論から言うと「スモールスタートしたい人にとって有力な候補になり得る、高コスパな選択肢」だと筆者は考える。
かわいらしい見た目とは裏腹に、解像度やグラフィックス設定を少し落とすだけで、内蔵GPUでもCyberpunk 2077のようなAAAタイトルをプレイできる性能を備えているためだ。
もちろん、最高画質で高フレームレートを狙うような使い方には向かないが、SNSで見かけた面白そうなインディータイトルを遊ぶなど、「まずはゲームが動く環境が欲しい」という要求には十分応えてくれる。
加えてUSB4ポートを備えており、後からeGPUで性能を引き上げる余地も残されている。できるだけ安くゲーミング環境を用意し、必要に応じて環境を育てていきたいユーザーの心に深く刺さる、魅力的な一台といえるだろう。
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