ノートPCのバッテリー持ちを劇的に変えた新世代SoC──Intel、Qualcomm、AMDの最新動向を探る:笠原一輝の「もう、どうなってもいいや!」(1/2 ページ)

» 2026年09月04日 16時00分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

 最近のノートPCは、バッテリーが持つようになったな……。そう感じているユーザーは多いのではないだろうか。実のところ、2024年に登場したノートPC向けSoCの世代から、高い性能と長時間のバッテリー駆動を両立できるようになっている。

 具体的には、Qualcommの「Snapdragon Xシリーズ」と、Intelの「Core Ultra(シリーズ2)」が、そういった新世代のSoCに該当する。現在は、それぞれ後継となる「Snapdragon X2シリーズ」と「Core Ultra(シリーズ3)」がリリースされている。

 このような新世代SoCは、従来のノートPC向けSoCと比べて何が違うのだろうか?

左がIntelのCore Ultra(シリーズ3)、右がQualcommのSnapdragon X2 Elite Extremeだ

アイドル、ピーク、平均などさまざまな状態/指標での消費電力がある

 ノートPCが長時間のバッテリー駆動を実現するということは、ノートPCに搭載されているデバイス(SoC、ディスプレイ、メモリ、ストレージなど)の消費電力が減ったことを意味する。ノートPCの多くは、複数の世代にわたって同等のディスプレイ、メモリ、ストレージなどを採用している。このため、最近のAI PCで消費電力が下がった大きな理由の1つは、SoCの低消費電力化にある。

 ただし、一口に消費電力といっても、PC向けSoCを評価する際の指標はいくつかある。というのも、消費電力はPCの稼働中に変動しており、常に一定の電力を消費しているわけではないからだ。

 一般的なPCの消費電力に関する指標は、以下の通りだ。

  1. アイドル電力(Idle Power)
  2. PL2(ターボ時最大電力)
  3. PL1(定格電力) TDP(Thermal Design Power)/PBP(Processor Base Power)
  4. 平均消費電力(Average Power)

 Windows OSがS0と呼ばれる稼働状態にあるとき、SoCがどのように動作しているのかを示したのが図1だ。

Windows OSでSoCが動作している時のクロック周波数や電力などの概念図

 OSが起動し、必要なサービスや自動起動アプリケーションなどが立ち上がった後、SoCはアイドルと呼ばれる待機状態へ移行する。アイドル状態では、SoCのうちOSの稼働に必要な部分を除き、クロック供給を止めるなどして、稼働状態の中で消費電力を最も低く抑える。

 一般的に1W以下で、ノートPC向けの低消費電力SoCでは数ミリWから数百ミリW程度と、処理中に比べて非常に低い消費電力になる。

 アプリケーション(例えばOfficeアプリやブラウザーなど)を起動すると、SoCはアイドル状態から、PL2と呼ばれるターボ動作時の電力制限値まで消費電力を引き上げる。定格より高いクロック周波数で動作することで、アプリケーションなどを高速に起動できる。

 消費電力と発熱量が増えると、冷却能力や設定された動作時間に応じてクロック周波数が徐々に下がり、PL1と呼ばれる長時間維持可能な電力制限値へ移行する。しばらくPL1付近で動作した後、処理が終わると再びアイドル状態に戻る。

 このように、SoCはアイドル/PL2/PL1の各状態を行き来しながら動作している。ノートPCがバッテリーで駆動している間に消費した総エネルギーを、バッテリー駆動時間で割った値が「平均消費電力」だ。この平均消費電力が低いほど、バッテリー駆動時間は長くなる。

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