発表会では、ブラザー販売 執行役員の兼広友里恵さんが登壇し、ブラザーの歩みとP-TOUCH CUBE誕生の背景について解説した。
ブラザーのラベルライターは1989年の初代「PT-6」から37年の歴史を持つが、かつては液晶画面とキーボードを備えた「メカメカしく、作業をするための無骨な事務道具」(兼広さん)という位置付けが強かった。
そもそも、ブラザー工業が開発していた個人向けワードプロセッサー「ピコワード」を使い、ファイリングの背表紙やカセットテープ、ビデオテープのラベルを作成するユーザーがいたことから発想を得て誕生したのが、ラベルライター「P-TOUCH」だった、という背景もある。
しかし、ラベルライターが“無骨な事務機器”である、という常識を打ち破ったのが、2016年に登場した世界初のスマートフォン専用ラベルライター「P-TOUCH CUBE」だ。
「ラベルライターの命ともいえるキーボードを捨てることには、社内でも議論があった」と兼広さんは振り返る。キーボードを省くことに踏み切った背景には複数の側面があった。
1つ目は、生活者の入力装置としてスマートフォンが完全に定着したことだ。ハードウェアキーボードより、スマートフォンでの入力を得意とする人が増えたことから、キーボードを省略した。これにより、本体の小型化とシンプルなキューブ型フォルムを実現している。
2つ目は「ラベル=ダサい作業道具」から「おしゃれな暮らしのアイテム」への転換だ。ラベルライターそのものの無骨さに加え、出力されるラベルは赤や黄色、緑といった、“目立つ”目的にかなってはいるものの、どうしてもインテリアやその場の空間にそぐわなくなってしまう。
そのため、ラベルを貼付すれば整理整頓できると分かっていても、積極的に暮らしに取り入れようと考える人が少なかったという。
そこで、ラベルライターそのものの見た目をコンパクトかつシンプルで美しいキューブ形状にしてインテリアの邪魔をしない、部屋に自然になじむハードウェアに仕上げた。そして出力結果に直結するラベルテープのカラーリングや印字色、テープそのもののテクスチャーなどに工夫を施すことで、“おしゃれな暮らしのアイテム”へと格上げされるようになったのだ。
見た目だけでなく、品質にもこだわった。熱転写(プリント)層の上に透明フィルムを重ねるブラザー独自の高耐久ラミネート技術をラベルテープに採用している。これにより、擦れや水に強い高品質なラベルを提供し、使い勝手の良さを生み出した。
また、自社開発アプリ「P-touch Design&Print 2」や専用コミュニティー「Label Place」を通じて、デザイン性の高いテンプレートやフォントを配信している。
兼広さんは「売って終わりではない、アプリとコンテンツで勝負に出たというのがP-TOUCH CUBEのポイントだ」と解説する。
「ハードウェアメーカーが“出して終わり”ではなく、お客さまと一緒に楽しい世界を作っていく。ビジネスモデルの1つのヒントがあるのではないかと考えている」(兼広さん)
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