古代ロマン的なアイコンと名称のProject Odeonだが、実はかなり野心的な試みだとみられている。1985年のWindows 1.0リリースから続く「コントロールパネル」の呪縛を、最終的に解くことがゴールとされているからだ。
2012年にWindows 8がリリースされたとき、新たに「設定」アプリが導入されたものの、主要な設定項目の大部分はコントロールパネルに残ったままだった。その後、段階的な移行が進められたものの、Windows 8.1からWindows 10を経た現在のWindows 11に至っても、なおコントロールパネルは生き続けている。こうしたなか、Project Odeonは40年以上続くコントロールパネルを終幕に導く存在になると期待されている。
なぜ、Windows 8から14年近くが経過してもいまだ移行が果たせていないものをProject Odeonなら実現できるのか。
その秘密は設定アプリの“モジュール化”にある。現在、設定アプリはOSの一部としてシステムに一体化された状態で提供されており、Patch Tuesdayなどの累積更新プログラムや年1回の大型アップデートのタイミングでしか更新できない。そのため、ライフサイクル全体で見ると、どうしても対応が遅れがちだった。
だが、Project Odeonでは設定アプリの機能そのものを、逐次更新可能な“ストアアプリ”としてOSから分離して提供する。これにより、OSのリリースサイクルに縛られずに更新やバグ修正を行えるようになり、遅々として進まなかった旧来のコントロールパネルからの移行を早める効果が期待されている。
ストアアプリに移行するメリットは他にもある。例えば累積更新プログラムのようなシステム更新のタイミングで設定アプリにバグ修正などの変更が加わると、同時に他のアップデートも適用されるため、ダウンロードすべきモジュールの容量が数百MBから数GB単位にまで膨らむ他、PCの再起動も求められる。
ストアアプリであれば“パッケージ”内の差分ファイルのみのダウンロードで済むため容量も少なく(おそらく数MB程度)、再起動が不要というメリットもある。この他、高頻度で更新をかけられるため、例えば新ハードウェアなどが登場したときにOSアップデートを待たずに新機能を導入できる。
Windowsの場合、クライアントとサーバを含め複数のエディションやバージョンが同時に展開されるため、設定アプリの更新だけでもMicrosoft側の作業負荷は高い。これをOSから分離することで、より柔軟に対応できる点も大きい。
初代ローマ皇帝アウグストゥス(Augustus)の時代にローマのパンテオン建造でも知られるマルクス・ウィプサニウス・アグリッパ(Marcus Vipsanius Agrippa)によって建立された、南フランスのニームにある古代神殿「メゾン・カレ(Maison Carree)」。なお、今回のテーマのオデオンとは全く関係ない「新しいハードウェアへの対応が迅速になるのは魅力だが、そもそもそんなに設定アプリを更新する意味があるの?」という方もいるかもしれない。もっともな疑問だが、最近のWindowsにはMicrosoft 365やOneDriveのサブスクリプション管理に加え、CopilotなどAI機能のクレジット管理など、ソフトウェアやクラウドの利用状況をリアルタイムに管理すべき要素が多分に含まれている。これらの情報は設定アプリに集まるため、アカウントやサブスクリプション管理のためのAPIアクセスが頻繁に発生し、いざAPIなどの仕様変更が行われた際に「次のOSアップデートまでお待ちください」というわけにはいかない。
Microsoft側の事情もあるが、サービスの刷新を迅速に行うには、受け皿となるWindows側の対応も必要というわけだ。
個人向けMicrosoft 365のストレージ容量が削減、代わりにAI機能を開放──Microsoftの狙いは?
さらば初期Windows on Arm 配信が始まったWindows 11「26H2」と次期「27H2」に向けた機能強化を考える
RTX Spark搭載「Surface Laptop Ultra」がお披露目か Microsoftが10月7日にイベント開催
「Copilot+ PC」ブランドは終了したのか? 普及に伴い変化するMicrosoftのAI戦略
Macの牙城を崩せるか――設定済みWindows PC「Project Zenith」が目指すローカルAI環境Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.