以前、お伝えした通り、Windows 11最新の大型アップデート「26H2」の一般提供(GA:General Availability)が開始された。
既存のWindows 11ユーザーで定期的にMicrosoft Updateを適用しているユーザーであれば、累積アップデートの形で更新内容が蓄積されている。そのため、このGAのタイミングで配信される「eKB」(enablement Knowledge Base)を適用することで短時間での26H2への移行が完了するというのは、以前にも触れた通りだ。
いわゆる“ローリングアップデート”形式で順次各ユーザーにeKBの配信が行われる形だが、レポートにもあるように手動でインストールも可能だ。ただしPCメーカーごとのハードウェア検証が完了しておらず、手動適用によって問題を起こす可能性も高いため、基本的にはWindows Updateで通知が行われるのを待つことをお勧めする。
なお、この26H2は「24H2」から「25H2」まで続く「Germanium(ゲルマニウム)」のOSコアを搭載したバージョンの3番目にあたり、Germaniumシリーズの最終版にあたる。
2027年にやってくるとみられる次期「27H2」ではOSコアが新しい世代へと入れ替わるため、eKBのような簡易アップデートは行われず、比較的大規模な“リフレッシュ”になると思われる。
Windows 11のHome/Proエディションでは特定バージョンのサポート期限が配信開始後24カ月、Enterprise/Education/IoTといったエディションでは36カ月に設定されている。つまり、現在も24H2を利用している個人ユーザーは間もなくサポート期限が切れるので、26H2(もしくは25H2)への移行が必須だ。
Windows 11 Home/Proのサポートライフサイクルのページにアクセスすると、上記のようにバージョンごとのサポート終了日が記載されているが、そのトップページに気になる表記があることに気付くだろう。
26H2が「Snapdragon 850」のSoCをサポートする最後のOSバージョンになるのだという。前述のように、OSコアが次期27H2のタイミングで切り替わるため、Germaniumコアを採用する26H2を最後にサポートされなくなるということを意味する。
理由は不明だが、Snapdragon 850は2018年6月にCOMPUTEX TAIPEIで発表されたQualcommとしては初の「PC利用を意識してスマートフォンとは別系統でリリースされたSoC」であり、既に10年選手に近い。
以前に、IntelのNehalem世代以降に導入された命令(POPCNT)への対応も含めてWindows 11サポートが切られた前例もあるが、おそらくは搭載メモリが4〜8GBクラスという現在ではかなり最低スペックに近いもので、プロセッサのパフォーマンスの厳しさやメモリ拡張ができないといった問題も考えられる。
加えて、ハードウェアの古さからセキュリティ上の懸念もありサポート対象外とされた可能性がある。
興味深いのは、別ページのWindows 11がサポートするArmプロセッサリストの中に含まれるSoC群は、Snapdragon 850を除いて対象外となっていることだ。
Snapdragon 7c/8cは2019年後半の登場であり、時期的には近い。ただ、Snapdragon 850には注釈として「Devices with these CPUs may not be manufactured with Windows 11 pre-installed and may only be upgraded to Windows 11 by a customer.」という表記があり、同SoCを搭載したPCはWindows 11をプリインストールして出荷されたことがないというのが分かる。
つまり、それ以外のSoCはメーカーが(当初はWindows 10をプリインストールして販売しながらも)後にWindows 11をプリインストールしたモデルを販売しているということだ。
こうした理由もあり、2020年以前にリリースされたSoCについても一応はサポートを継続し、SoCの提供開始から少なくとも10年程度、おそらくは27H2かその次の世代くらいまではサポートが行われるのかもしれない。
というわけで懐かしの写真集となるが、COMPUTEX TAIPEIでのQualcommの発表イベントの模様を紹介したい。
Windows RTとしてはNVIDIAの「Tegra」がPC向けSoCとして先行しているが、正真正銘のメインストリームWindows PC向けSoCを提供したのはQualcommが初となる。
当初はスマートフォン向けの「Snapdragon 835」がWindows on Armとして提供されたが、Snapdragon 850は第2弾にあたる。
一応、850の型番はモバイル向けには提供されておらず、その意味では初のWindows on Armの専用SoCだったと言えるだろう。ただ、当時はArm向けにコンパイルされたソフトウェアがほとんどそろっておらず、エミュレーション頼みでプロセッサ自身もピークパフォーマンスやマルチスレッド動作に最適化されていたとは言えず、「バッテリーは持つが性能はやや厳しい」という評価が多かったように思う。
価格帯も、ミドルハイという形でIntelやAMDといった競合が出すメインストリームやエントリー向けの製品と比べると価格や性能面で見劣りするため、本格的な市場の受け入れにはもうしばらくの期間を必要とした。
Windows on Arm最大の特徴は、LTEを内蔵して「Always On, Always Connected PC」という部分だった。後にセルラーモデムを搭載しない製品も登場しているが、これはWindows側も上手く特徴を生かせなかったのだと考えている
Snapdragon 850のSoCを手に持つ米Qualcomm Technologiesでモバイル担当SVP兼GMのアレックス・カトージアン(Alex Katouzian)氏(当時)。なお、同氏は現在Intelに在籍している
Snapdragon 850 SoCのプロセッサユニット群。現在のNPUの前身となるHexagonのVector Unitが搭載されていたりするが、Kryo CPUはPC向けに最適化されていたとは言いにくく、後のOryonへとつながっていく
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